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「トレインホステル北斗星」で体感するあこがれの寝台特急

1980年前後に一大ブームとなった“ブルートレイン”。カメラを手に、駅のホームへ写真を撮りに行ったという方も多いことだろう。しかし交通網の発達により今や運行数は激減、体験する機会がめっきり少なくなってしまった。そんな中、寝台特急を体感できるホテルが2016年12月15日、東京にオープンした。

本物の「北斗星」のパーツを使用したホステル

日本の高度経済成長とともに運行数が増し、1970年代半ばには1日28往復も運行していたというブルートレイン。しかし寝台特急「カシオペア」が2016年3月に廃止、現在定期運行している寝台夜行列車は山陰・四国エリアと東京を結ぶ「サンライズ瀬戸・出雲」(岡山で分割・併結)のみだ。

今回「トレインホステル北斗星」として生まれ変わった「北斗星」は、青函トンネルが開通した1988年3月に運転が開始された寝台特急だ。上野と札幌を結んだ北斗星は単なる移動手段ではなく、欧州の豪華列車を模した外観やエンブレムなどを採用するなど、旅そのものを楽しむために作られた車両であったことが最大の特徴である。

中でも最高級の個室「ロイヤル」(A寝台1人用)はビデオやオーディオ装置、専用シャワールームとトイレを備え、ウェルカムドリンクやモーニングコーヒー、朝刊サービスといった至れり尽くせりなホスピタリティを誇っていた。また個室以外にも様々なタイプの客室が用意され、車窓を楽しむためのロビールームやシャワールーム、食堂車“グランシャリオ”なども備えており、「走るホテル」と呼ばれたほどの豪華さだった。
その「北斗星」の実車に使われていたパーツを内装に使用したのが「トレインホステル北斗星」だ。入口には「北斗星」のヘッドマーク、中へ入ると壁面に牽引機関車の型番と特徴的なブルーのデザインがあしらわれ、ホテルのフロントは列車の方向幕のような書体と形式の案内板がかかるという、これだけで否が応でも旅気分が盛り上がるしつらえとなっている。

便利な立地&リーズナブルな料金

1階がフロント、2階がラウンジとキッチン、客室があり、3~5階はすべて客室、6階にはシャワーとランドリーという「ビル丸ごと寝台車」という個性的な宿泊施設「トレインホステル北斗星」は、東京駅までJR総武線快速で5分という便利な場所に立地している。

館内の寝台やイスなどは、実際に北斗星で使われていたものを移設。背もたれを倒すとベッドになるシートや読書灯などの明かり、洗面台の三面ミラー、廊下にあった折りたたみ式のイス、寝台に上がるためのハシゴ、各扉などなど、鉄道マニアが驚くほど細かな部分まで内装部品が各所に使われている。また寝台には枕、敷布団、掛け布団が用意され快適に眠ることができるが、「当時の雰囲気を味わいたい」という人には寝台に直接シーツを敷いてくれるという粋なサービスもあるそうだ。

ホテルの定員は78名で、一泊の宿泊料金は男女混合ドミトリー内二段ベッド(54名分)が2500円から、女性専用ドミトリー内二段ベッド(22名分)が2800円から、男女混合または女性専用ドミトリー内のA個室(半個室で各1名分)が4000円からとなっている(料金は税抜き。それぞれ季節変動あり)。チェックインは16~23時、チェックアウトは11時、シャワーやランドリーは24時間使用可能だ。またロッカーやスーツケースを置くスペースがあり、長期滞在も可能で、全スタッフが英語での案内がOKという訪日外国人向けとしても機能する。

旅情という言葉を耳にしなくなって久しいが、往時の雰囲気と歴史を感じながら快適に宿泊できる「トレインホステル北斗星」で、偶然にとなり合った人たちと「旅は道連れ世は情け」と洒落込もうではないか。

Text by Tamotsu Narita