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第10回 | 男の隠れ家 powered by éditeur

ゴッホとゴーギャン展 現実と想像を 二人の画家が描く

同時代を生き、同じく自分の志す芸術の道を一途に突き進んだファン・ゴッホとゴーギャン。それぞれの存在が互いの芸術において多大な影響を与えたのだった。

ここに注目!

●日本初となる二大巨匠が共演する展覧会!
●同一テーマを異なる表現で描く
●ゴッホとゴーギャンの作品が約50点集結

近代絵画のパイオニアとなった二人の画家

オランダに生まれたファン・ゴッホは、目指していた聖職者の道をあきらめ、独学で絵画制作に没頭していく。一方、ファン・ゴッホより5つ年上のゴーギャンはフランスに生まれたが、幼少期を南米ペルーで過ごした。パリで株式仲買人として働くかたわら美術に目覚め、第4回以降の印象派展に出品している。

二人の表現方法は対照的だった。印象派や日本美術から大きな影響を受けたファン・ゴッホは、明るい色彩と荒々しいタッチで目の前の「現実」を描いた。それに対してゴーギャンは、「野生的」「原始的」なものに創作源を見いだし、大胆な色彩と平面的な画面処理によって「想像」の世界を探求したのだった。



ファン・ゴッホの提案により、2人は南仏アルルで共同生活を始める。激しい議論を闘わせながら互いに刺激し合い、それぞれの傑作も生まれた。共同生活は短命に終わってしまうが、互いの存在と表現が双方に作用していたことは明らかである。

本展はそんな2人の画家の関係に焦点を当てた、日本初の試みとなる。国内外の主要美術館所蔵の作品約60点を通じて、彼らの関係性と芸術性を浮き彫りにしていく。

主(あるじ)なき椅子は互いの芸術へのオマージュ

ゴーギャンの椅子

ゴーギャンが愛用していた肘掛け椅子を描いた本作は、彼を象徴的に表した肖像画ともいえる。蠟燭は「夕方」か「夜」を暗示し、本はゴーギャンの創作源だった「想像」を意味しているのだろう。共同生活が破綻する前に描かれ、方向性の違いから激しくぶつかり合いながらも、ゴーギャンを尊敬していたファン・ゴッホの想いが伝わってくる。

©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)

フィンセント・ファン・ゴッホ 油彩/カンヴァス
90.5×72.7㎝ 1888年
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

肘掛け椅子のひまわり

ファン・ゴッホの死から11年、タヒチに移住したゴーギャンはヨーロッパからひまわりの種を取り寄せ、4点の「ひまわり」を描いた。ひまわりはファン・ゴッホの代表的なモチーフ。共同生活が破綻した後、二人が再会することはなかったが、本作は明らかにファン・ゴッホを偲んで描かれ、亡き友への賛辞が込められていると考えられる。

©Foundation E. G. Bührle Collection, Zurich

ポール・ゴーギャン 油彩/カンヴァス
68.0×75.5㎝ 1901年
E.G. ビュールレ・コレクション財団蔵

互いに刺激し合いながら新たな表現に挑戦

収穫

実りの季節を迎えた小麦畑での収穫の風景。1点の静物画を除き、画家自身が「最高傑作」と自賛した作品だ。刈入れから種まきまで、ファン・ゴッホは季節ごとに様々な表情を見せる小麦畑を繰り返し描いた。南仏アルルの光をたっぷりと浴びた黄金色の小麦、オレンジ色の屋根、青い荷車や尾根、空が、心地良いコントラストを創り出している。

©Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)

フィンセント・ファン・ゴッホ 油彩/カンヴァス
73.4×91.8㎝ 1888年
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

ブドウの収穫、人間の悲惨

アルルでの共同生活のなかで描かれた本作は、ファン・ゴッホの《収穫》とは対照的に、人間の不幸を主題にしている。背景にはアルル以前に滞在していたフランス北部のブルターニュの女性たちを描き、頬づえをついて悲嘆に暮れる女性のポーズはペルーで見たミイラを参照している。目の前の光景ではなく、記憶や想像を頼りに描いた本作を、ファン・ゴッホは大絶賛したという。

©Ordrupgaard, Copenhagen Photo: Anders Sune Berg

ポール・ゴーギャン 油彩/ジュート
73.0×92.0㎝ 1888年
オードロップゴー美術館蔵

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自画像
フィンセント・ファン・ゴッホ
油彩/厚紙
32.8×24.0㎝ 1887年
クレラー=ミュラー美術館蔵

1886年から2年間パリに滞在したファン・ゴッホは、30点近くもの自画像を描いた。経済的に節約する必要があり、モデルを雇えなかったからだ。初めは暗い色調が特徴的だったが、次第に明るさを増し、筆致も大まかになっていった。固く口を結び、じっと見据えるまなざしが印象的だ。
ポール・ゴーギャン
油彩/カンヴァス
65.0×54.0㎝ 1885年
キンベル美術館蔵

株式仲買人を辞め、画業に専念するようになった頃の作品。ゴーギャンもファン・ゴッホに劣らず多くの自画像を描いた。顔の片側を照らす光の表現に印象派の影響がうかがえる。妻やその家族には理解されなかったが、生涯絵を描き続けていくのだというゴーギャンの確固たる意志が見て取れる。
美術の豆知識
「ひまわり」がつないだ ファン・ゴッホとゴーギャンの絆
ファン・ゴッホといえば、「ひまわり」を思い浮かべる人も多いだろう。だが彼の膨大な作品数に比して、ひまわりが主題の作品は20点余りと実は少ない。日本の浮世絵のような明るい色彩を求め、太陽が降り注ぐアルルにユートピアを見いだしたファン・ゴッホにとって、ひまわりは太陽の象徴だった。彼はゴーギャンと共に暮らす家の壁を装飾するため、「ひまわり」の連作に着手する。まぶしいほどに明るい「ひまわり」には、友を歓迎しようという真摯な想いが込められていた作品なのだ。

程なく二人は決別し、ファン・ゴッホはピストル自殺を図る。ゴーギャンはタヒチに移住する際、亡き友の「ひまわり」のうち1点を一緒に持っていったのだった。
目には見えない世界を求め 理想の地、タヒチへ
ゴーギャンは早い段階から想像力を重視し、目には見えない世界を探求していった。「あまり自然に即して描いてはいけない。自然を前に夢見つつ、自然から抽象を引き出せ」というゴーギャンの言葉には、揺るぎない世界観がうかがえる。

画家に転身後は生活苦が続き、経済的な理由で移ったフランス北西部のブルターニュのポン=タヴェン村で、「野生的」「原始的」なものを見いだしたことは、その後の表現を方向づける大きな転機となった。次第にくっきりとした輪郭線に囲まれた平坦な画面や抑制された色使いが顕著になり、作品には神秘的で謎めいた雰囲気が漂うようになる。

憧れのタヒチは予想外に西洋文明が浸透していたが、大きなインスピレーションとなったことに変わりはなく、古今東西の文化を融合した唯一無二の絵画が生み出された。
イベント情報
ゴッホとゴーギャン展
10月8日(土)~12月18日(日)
東京都美術館 企画展示室

住 所 :東京都台東区上野公園8-36
電 話 :03-5777-8600(ハローダイヤル)
開室時間:9時30分~17時30分、金・10月22日(土)・11月2日(水)・3日(木祝)・5日(土)は~20時
(入室は閉室の30分前まで)
休室日 :月(ただし10月10日は開館)、10月11日(火)
観覧料 :一般1600円ほか
アクセス:JR「上野駅」より徒歩7分

巡回情報:2017年1月3日(火)~3月20日(月・祝)
     愛知県美術館(愛知県)

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