メディア個別 さようなら、カシオペア… 変わりゆく 〝寝台列車の旅〟の姿 | editeur エディトゥール

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第4回 | 男の隠れ家 powered by éditeur

さようなら、カシオペア… 変わりゆく 〝寝台列車の旅〟の姿

去る3月19日、寝台特急「カシオペア」の姿が消えた。
これが客車方式の寝台特急の終焉を
意味すると思うと、一抹の寂しさを感じてしまう。
旅情をかき立てる、あの姿に想いを馳せて……

北へと旅立つ期待感を胸に
皆が待ちわび、旅を楽しんでいた

運転士の交代シーン。

 

目的地に到着するまでの〝道のり〟は旅の醍醐味のひとつだ。その時間をどう過ごすか? 車窓に流れゆく風景は? などを想像するだけで、旅への期待が高まってくる。とはいえ、どこに行くにも便利でスピーディな現代。旅情に重きを置くとなると、単なる移動では心満たされない。

車窓を“2人占め”できる展望室タイプのスイートはカシオペアに1室のみ。

 

旅情を満たすには寝台列車が適している。だが北海道新幹線の設備切替に伴って、豪華寝台列車「カシオペア」、夜行急行「はまなす」が廃止。残る定期運行の寝台列車は「サンライズ出雲・瀬戸」(東京〜出雲市・高松間)のみとなった。不定期夜行快速列車として「ムーンライトながら」「ムーンライト信州」があるものの(予定)、旅のありようは大きく変わる。はたして夜中に長距離を走破するスタイルは衰退してしまうのか。

今後は団体臨時列車として新たな道を歩む「カシオペア」。来春には豪華クルーズトレイン「トランスイート四季島」が上野から走り出す。今、私たちができる応接は、列車に乗り旅に出ることだ。

~鉄道写真家の追想~

夜明け前が印象的な、ある舞台の終演

満天の星空が広がる東の空が、漆黒から濃いブルーに色合いが変化する未明の時間。やがて地平線にオレンジ色が広がり始めるのを見計らうかのように、ヘッドライトを輝かせて「カシオペア」がやってきた。

時計は午前4時を回ったところ。カシオペアの乗客たちはまだ眠っているのだろうか。それとも、僕と同じ空を眺めているのだろうか。夕刻から夜通し走る夜汽車の旅のなかで、夜明けの時間が一番好きだった。列車の走る姿を撮る時も、乗車して旅をする時も、夜明けのシーンを楽しみに撮影してきた。

この春、追いかけてきた舞台の一時代が終演した。「クルーズトレイン」という新たな役者たちは、どんな舞台を演じてくれるのだろうか。

文・写真◎米屋こうじ

主をなくした、13番ホーム

カシオペアが入線する15時頃、上野駅の13番ホームは、一種独特の雰囲気──期待と不安、静寂と喧騒が入り混じった長距離旅の情緒が漂っていた。

カシオペアを初めて見た時、精悍なシルバーメタリックの車体に、列車旅の新たな未来を感じた。機関車牽引の客車という形態が葬られようという時代の新型寝台客車である。心躍らずにはいられなかった。

以来、13番ホームの主として日々旅立っていった。カシオペアの廃止は、一般運行する客車方式の寝台特急の消滅と上野駅発の夜行列車の終焉を意味する。連綿と続いてきた鉄道文化の一片がまた過去のものに。

そして主を失ったこのホームが、以前のような情緒で満たされることはもはやないだろう。

文・写真◎金盛正樹

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男の隠れ家 2016年5月号 『さようなら、カシオペア…』
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カシオペアとは?
カシオペア
平成11年(1999)に誕生した寝台特急。展望室タイプのスイート、メゾネットタイプのスイート、ツイン、ダイニングカー、ラウンジカーで構成。

上野発16:20→札幌着翌8:54、札幌発16:12→上野着翌9:24で、上野発は火・金・日、札幌発は月・水・土で運行。7、8月は毎日運行していた。
プロフィール
米屋こうじ(よねや こうじ)
1968年、山形県生まれ。小学生時代に地元を走る寝台特急「あけぼの」を見て衝撃を受ける。日本と世界25カ国を取材・撮影。ヨーロッパ、アジア各国の夜行列車にも乗車。著書に写真集『I LOVE TRAIN』(ころから)ほかがある。
金盛正樹(かなもり まさき)
1967年、兵庫県生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。中学1年のときに友人の影響で鉄道写真を始める。商業写真スタジオに7年間勤務したのち、1996年よりフリーランス。日本鉄道写真作家協会所属。

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