甲州ワインのために生まれた陶製ワインタンブラー
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甲州ワインのために生まれた陶製ワインタンブラー

140年以上のワイン製造の歴史を持つ山梨県が誇る甲州ワイン。日本固有の品種である甲州ブドウを用いたワインで、近年は世界における評価も高まっている。そんな白ワインをより美味しく嗜むために、なんと陶製の専用タンブラーが登場した。

湯のみ茶碗でワインを飲む独特の文化がきっかけに

甲州ワインのために生まれた器の名は「Roppo 甲州ワインタンブラー」。ワインコンサルティング会社「テイストアンドファン」と山梨市の窯元「六鵬窯」が共同で開発し、今春より販売している。なんとも珍しいこのワインのための陶製タンブラーについて、ワインのジェネラリストである「テイスト&ファン」代表の沼田実氏に話を聞いた。

沼田氏によると、誕生の背景には、その土地のワインをその土地の器で飲むという地産地消のような考えがあったそう。そのなかで着目したのが、一升瓶ワインを湯のみ茶碗に注いで飲むという山梨独特の楽しみ方。

「山梨には、昔から一升瓶ワインを磁器の平型湯のみで飲む文化がありました。ビールはコップで飲んでいて、ワインもコップでもよかったはずなのに、なぜ湯のみだったのか。それは、おいしかったからだと思うのです。実際に、磁器や陶器の湯のみで飲むと渋みや苦みが和らぐんです」と沼田氏は語る。

かつての甲州ワインはブドウの品質や醸造技術の問題から、酸化気味であったり、渋みや苦みが強過ぎたりした。そのような荒い酒質のワインに、湯のみが合っていたのだそうだ。ただ、現在はブドウの品質も醸造技術も格段に向上。湯のみでは今の甲州ワインの個性を活かし切れないため、昔ながらの伝統に敬意を表しつつ、新たな器として陶製のタンブラーが考案された。
器を作っている山梨市の「六鵬窯」は、陶工の田村六鵬氏が主宰。標高650mの高台に位置し、眼前には甲府盆地が広がり、その向こうに富士山を眺められる。沼田氏からの提案を受けて、この地で試作を重ねた器は3種類(上写真)に絞られ、昨秋、ワインの専門家たちによる最終選考を実施。香りが華やかなもの、渋みや苦みが強調されたもの、樽で熟成されたものなど5種類の異なる甲州ワインを器に注ぎ、議論を交わした結果、今回のタンブラーに決定したそうだ。

タンブラーに注いだ甲州ワインとともに寿司や刺身を

ひとつひとつ手作りされるタンブラーは胴の部分がふくよかで、上部がすぼまった形状。素材と同じく、この形にも理由があるそうで、沼田氏によると、丸い形状のワイングラスがワインに丸みを与えるのと同様に、タンブラーも少し丸い形状によって尖った酸や苦みを柔らかくしているそうだ。また、先すぼまりのため、一旦広がった香りが先で逃げずに凝縮される効果もあるという。

では、この器に注いだ甲州ワインとともにいただく食材はどのようなものを合わせるといいのだろう。甲州ワインは地元では和食と一緒に飲まれてきた歴史があり、陶製タンブラーもやはり和食に合う器だそうだ。また、山梨は四方を山に囲まれているものの、寿司店が際立って多く、人口に対する店舗の割合は全国一。マグロの消費量も多いことで知られている。そこで、沼田氏が特におススメするのも寿司や刺身といった生魚とのマリアージュだ。
「生魚はワインと一緒に食べると少し生臭さが気になってしまうんですが、ワインを磁器や陶器に注ぐことで生臭さが和らぐんです。また、甲州ワイン自体にさまざまなスタイルがありますから、生魚以外にも必ずなにか合うものがあります。たとえば和食ならば鰻や焼き鳥、天ぷら。ワインですからもちろん洋食、西洋料理にも合いますし、デザイン面でも、洋食のテーブルに置いても違和感なくいただけると思います」(沼田氏)
ところで、甲州ワイン以外を飲んでもいいのだろうか。沼田氏に聞いてみたところ、マスカットベーリーAやブラッククイーンという日本固有の品種のブドウを使った赤ワインにも合うそう。これらは香りや酸味が強い場合があるものの、陶器のタンブラーは風味を損なわずに落ち着いた味わいにしてくれるのだとか。

なお、この「Roppo 甲州ワインタンブラー」は六鵬窯のほか、山梨や東京などのワイナリーや酒店などで購入でき、ネット販売している店舗もある。タンブラーのHPにはこれらの店舗に加え、この器でワインを味わえる飲食店の情報も掲載されているのでチェックしてみては。

Text by Fumio Miyata