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第14回 | マクラーレンの最新車デザイン・性能情報をお届け

愛だろ、愛。──セナに捧げる特別なマクラーレンP1 GTR

1980年代後半から1990年代前半、日本は社会現象ともいえるF1ブームの真っ只中にあった。1990年の日本グランプリは、ゴールデンタイムに放映されたほどだ。なかでも、圧倒的な人気を誇っていたドライバーがアイルトン・セナ。音速の貴公子である。圧巻だったのは、1988年のシーズンだ。セナとプロフェッサーの異名をとったアラン・プロストを擁する「マクラーレン・ホンダ」は、開幕から11連勝。最終的には、じつに全16戦中15勝を挙げる快挙を成し遂げた。まさに無敵という表現以外は見当たらない。その快挙を支えたのが『MP4/4』。セナに初タイトルをもたらしマシンでもある。昨年は、その快挙から30年の節目。それを記念して制作されたのが、セナ仕様ともいえる特別なマクラーレン『P1 GTR』だ。

3億5000万円の『P1 GTR』をベースにしたセナファンによる特別なビスポークモデル

『P1』は、販売価格約1億円で375台だけが限定生産された、マクラーレンの最高峰モデル。カーボンファイバー製モノコック・シャシーに、合計916馬力を発生するガソリンエンジンと電動モーターのハイブリッド・パワーユニットを搭載したハイパーカーだ。

その『P1』のサーキット専用モデルが『P1 GTR』。価格はなんと約3億5000万円というから驚きである。そして、今回公開された『MP4/4』カラーを纏った特別な『P1 GTR』は、マクラーレンのカスタマイズ部門であるMSO(マクラーレンスペシャルオペレーションズ)が手がけたビスポークモデル(依頼者とメーカーが話をしながらオーダーメードで仕上げていくモデル)。これに至っては、ビスポークなので価格も発表されていないが、推して知るべしだ。

マルボロカラーのボディ、カーナンバー12。随所に散りばめたアイルトン・セナへの愛

そのエクステリアから、マクラーレン・ホンダ『MP4/4』をオマージュしていることはすぐに理解できるだろう。カーガイであれば、さらにその先まで読み取ることができる。ヒントは、ノーズに記された「12」の数字。そう、アイルトン・セナのカーナンバーだ。

『MP4/4』は、セナに初めてF1のタイトルをもたらしたマシンでもある。その30周年を記念して、セナの熱狂的なファンであるオーナーがオーダーしたのがこの特別な『P1 GTR』なのだ。製作に費やした月日はおよそ3年間。800時間以上をかけたという。開発段階のコードネームは「Beco(ベコ)」。セナの両親が彼を呼んだニックネームだ。

最大のこだわりは、なんといってもそのカラーリングだろう。往時のスポンサーであるマルボロを模したレッドとホワイトのボディカラーは、それぞれ「マクラーレン・ロケット・レッド」と「アニバーサリー・ホワイト」と称される。本来ならば、『MP4/4』と同様に側面に「Marlboro」の文字が欲しいところだが、このロゴは残念ながら使用できない。そのためF1のたばこ広告で現在採用されているバーコード風デザインが施されている。

細部にもセナファンならではのこだわりがみられる。フロントスプリッターとエアインテーク、両ドアには「SENNA,Driven to Perfection(セナ、完璧なドライブ)」のロゴが、マシンサイドにはセナの母国であるブラジルの国旗が、そしてノーズだけなくリアウイングにも「12」の数字が記された。

わずか8点の限られた写真から読み解く内外装は、一見すると通常の『P1 GTR』に近い。アルカンターラとカーボン製のステアリングもレーシングカーのようだ。しかし、よく見ると、ステアリングの中央には「SENNA,Driven to Perfection」のロゴが記されている。さらに、マクラーレンのリリースには『マクラーレン・セナ』に採用されている軽量レーシングシートの装着や、マルボロカラーのヘルメットなどの存在も触れられていた。

セナが愛した鈴鹿やモナコをマルボロカラーの特別な『P1 GTR』が走る姿を見たい

性能面でも大幅なカスタマイズが行われた。特にエアロダイナミクスでは、フロントダイブプレーン、フロントスプリッター、リヤガーニーフラップ、サイドに施された新開発のバージボードなどによって、通常の『P1GTR』を340kgも上回る約800kgのダウンフォースを実現した。また、エンジンもハイブリッドシステムもチューニングされ、パワーアップがはかられているという。

セナへのリスペクトと愛に溢れたマクラーレン『P1 GTR』。ここからは完全に妄想の世界だが、セナが愛した鈴鹿サーキットやモナコ市街地コース(厳密にいうとサーキットではないが)をマルボロカラーの『P1 GTR』が駆け抜ける勇姿をぜひ見てみたいものだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) McLaren Automotive
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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