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第42回 | エディトゥールPRIME

違法銃器から生まれた“平和”を刻むタイムピース

男が身に着けるべきアイテムを選ぶ際には、デザインや実用性だけでなく、アイテム自身が持つ付加価値も重要。その点でいえば、TRIWAが先ごろリリースした腕時計は、ズシリと重たい付加価値とストーリーを持つ、ある意味で大人の男性にこそふさわしいタイムピースといえる。ユニークな素材の由来を含め、この時計を身に着ける意義について紹介しよう。

「世界でもっとも付加価値のある金属」が素材

今回の新シリーズに採用された「Humanium Metal(ヒューマニウム・メタル)」という素材の名を、初めて目にした人も多いだろう。これは、ゴールドやプラチナのように自然界から採掘されたものではなく、犯罪や紛争などで使用された違法銃器を溶かし原料化した金属のことだ。その由来から「世界で最も付加価値のある金属」とも呼ばれる。

現在、世界(特に発展途上国)には何百万もの違法銃器が存在し、それにより毎分1人が命を落としている計算になるという。このように平和の妨げとなっている違法銃器の存在を広く知らしめるため、スイスの平和団体が中心となり始まったのがヒューマニウム・メタルの生産だ。2017年には、この活動がカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルで「ライオンズイノベーション」を受賞し注目されることとなった。

この活動に共鳴したのが、クラシカルなシルエットと北欧のコンテンポラリーでシンプルなデザインのミックスが特徴となるスウェーデンのウォッチ・ブランド「TRIWA(トリワ)」。特別な付加価値と意味を持つ素材を用いた腕時計をリリースすることで、違法銃器の存在をより多くの人に知ってもらうだけでなく、売り上げの一部を紛争によって引き裂かれた地域の復興や武器によって負傷した被害者の救済にあてるという。

デザインにも込められた、平和への強い意思表示

ヒューマニウム・メタルが用いられているのは主にケース部となる。

個別の型で形成された上で表面に“ブラッシュ”と“ポリッシュ”という相反する二つの仕上げが施されており、側面にはヒューマニウム・メタルを示す「Hu」が刻印されている。

盤面にデザインされた赤いワンポイントには、銃器に対する強い反対の意思が表現されている。ダークグレーのヘアライン加工を施したダイヤルも特徴的だ。裏蓋には個別のシリアルナンバーを刻印。Miyotaのムーブメントを搭載しており、5気圧の防水性能を有している。

デザイン的に、もっとも印象深いのがストラップだ。環境に配慮したリサイクルペットボトルを利用したキャンパス素材で、カラーは渋めのグリーン(つまりミリタリー・グリーン)。

このストラップにより、一見してミリタリー・ウォッチとも受け取れるデザインに仕上げているのは、この時計の由来を暗に示すメッセージということなのだろうか。この時計を見て、ベトナム戦争当時、アメリカのヒッピーたちが反戦の意を込め、敢えてミリタリールックに身を包んだというストーリーを想起する人もいるに違いない。

これほどに強いメッセージ性を持ちながら、北欧ブランドならではのシンプルなデザインにより、腕時計としての魅力も十二分に発揮している、今回のシリーズ。ケース径34mmの「HU34D-SS08091」が130本、39mmの「HU39D-CL080912」が150本という限定商品となっている。価格はそれぞれ、税別3万5000円。TRIWA直営店では、このほかに白い盤面の限定モデル(34mm、39mm とも10本)も発売されている(こちらも税別3万5000円)。

経験を重ねた大人として世界を見回す立場となったからこそ、あらためて向き合いたい「平和」。ヒューマニウム・メタルでつくられた腕時計は、身に着ける人だけでなく、それを目にする人の魂をも揺さぶる存在となるはずだ。

Text by Toshiro Ishii

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