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第45回 | エディトゥールPRIME

東京會舘新本館。歴史を彩った社交の殿堂がリニューアル

帝国劇場が「文化の殿堂」なら、東京會舘は「社交の殿堂」である。帝劇から遅れること11年、初代本館は1922年(大正11年)に同じ丸の内三丁目に誕生。関東大震災、大政翼賛会による徴用、GHQの接収などを経ながら、100年近くにわたり財界のエスタブリッシュメントに愛されてきた。芥川賞・直木賞の受賞会見ではつとに知られ、パーティなどでここを訪れたことがある人も多いのではないか。2019年1月8日、この東京會舘本館がリニューアルオープン。伝統の意匠を受け継ぎつつ、外観・内装ともに刷新された。

東京會舘本館は、三菱財閥当主などのエスタブリッシュメントに愛された社交の殿堂

東京會舘本館といえば、かつては大手企業のトップを集めた財界のパーティが頻繁に開かれ、メインバーでは三菱財閥の当主が早い時間からグラスを傾けていたものだ。建物の前にはそうしたエスタブリッシュメントの黒塗りの専用車がずらりと並んでいた。

財界人に愛された理由のひとつは、皇居前という好立地にある。東京會舘本館は、丸の内エリアのなかでも皇居外苑と丸の内仲通りの双方に面する希有な街区に立地しており、皇居のみならず、日比谷公園も一望できる抜群の眺望を愉しむことができる。

初代本館は1922年に、二代目本館は1972年に竣工。そして2014年から二代目本館の営業を停止し、建て替えを進めてきた。新本館が開場した建物は「丸の内二重橋ビルディング」といい、東京會舘、東京商工会議所、三菱地所が共同保有する。地上30階建てで、敷地面積は9900平方メートル、延べ床面積は17万3000平方メートルに及ぶ。

東京會舘新本館は、このうち地下1階、地上1階から4階、同7階でバンケットルーム、レストラン、バー、ウェディングを運営。むろんワールドクラスの設備とホスピタリティを有する「大人の社交場」としての存在感は、リニューアルしても健在である。

各界のトップエリートたちが集う日本有数の会員制クラブ「東京會舘ユニオンクラブ」

コンセプトは「NEW CLASSICS(ニュークラシック)」。つまり日本経済の生き証人としての伝統と文化を守りつつ、現代的な要素を取り入れて変化していくということだ。

エントランスにある「TOKYO KAIKAN」のロゴは、より現代的なデザインに仕上げられた。しかし、外観と館内には、モダンのなかにも古き佳き面影が伝わり特別な瞬間を予感させる。メインバンケットの「ローズルーム」は、立食パーティなら1800人まで対応可能な規模に拡大。これは丸の内エリア最大級だ。さらに最新の音響機器、500インチの超大型スクリーンを完備し、国際規模のMICE(マイス)にも対応。それでいて伝統の意匠も残している。ローズルームとは、初代から受け継ぐ歴史のある名である。また、「薔薇のように美しい」と称された天井の装飾は、薔薇のかたちのシャンデリアへと継承された。

東京會舘を代表するフレンチレストラン「RESTAURANT PRUNIER」は、三ツ星レストラン「ラ・コート・ドール」「ダニエル・メトリ」で本場の味を習得した松本浩之氏を新シェフに迎えた。その一方、1934年に当時の料理長がパリから持ち帰り、80年以上にわたって大切に受け継がれてきた「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」を変わらず提供する。

伝統といえば、「東京會舘ユニオンクラブ」の継承も見逃せないだろう。1972年に開設されて以来、各界のトップエリートが集ってきた日本有数の会員制クラブで、英国風の重厚感のある内装、そしてGHQ接収時代を経験したことにより、由緒正しいメンバーシップクラブのあり方を具現化している。大切なゲストをもてなすための特別な空間だ。

再開発で多様な人々が集う街へと変貌する丸の内。東京會舘新本館の生き残り策は?

かつて丸の内は低層のビルが並ぶオフィス街だったが、丸ビルが誕生したことをきっかけに高層ビル化が進み、とりわけ2010年代以降は再開発プロジェクトが活発化している。東京會舘本館が入る丸の二重橋ビルディングも、丸の内・大手町エリアの再開発にともない建て替えられたプロジェクトだ。そのなかで、企業や団体が主催するバンケット(宴会)が売上高の半分近くを占める東京會舘新本館が新たな客層をどのように取り込むのか。

ともあれ、社交の殿堂としての歴史と伝統が今なお息づく空間にモダンを取り入れた東京會舘本館は一見の価値ありだ。近くに行った際にはぜひ立ち寄ってみてほしい。

Text by Kiyoshi Nanamori
Photo by (C) Tokyo Kaikan
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
東京會舘新本館 オフィシャル動画

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