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第4553回 | NOMOOO powered by éditeur

泡盛の「シー汁浸漬法」とは?復活した伝統的製法の秘密に迫る!

今回は、かつて広く普及していたものの一度廃れてしまった泡盛の製造方法「シー汁浸漬法」をピックアップ。

なぜ廃れたのか、そもそも「シー汁」とは?などなど、徹底的に解説します。

そして、最後には復活したシー汁浸漬法による泡盛を紹介。ぜひ最後まで読んでくださいね!

    目次

  • そもそも「シー汁」とは?
  • 「シー汁浸漬法」とは?
  • 「シー汁浸漬法」が廃れた理由
  • 昔醸 翠古
  • まとめ

そもそも「シー汁」とは?

シー」とは、沖縄では「」という意味。「シークヮーサー」のシーも、酸っぱいということを表しています。

つまり、シー汁とは酸っぱい汁(水)のことで、かつて沖縄ではこのシー汁を使用した泡盛の製法「シー汁浸漬法」が、どの酒造でも当たり前に行われていました

しかし、昭和30年後半まではこの製法が使われていましたが次第に行われなくなっていき、久米島の米島酒造を最後に一度姿を消したとされています。そして近年まで、どの酒造も「なぜ、かつてシー汁浸漬法を採用していたのか」はっきりとした理由が分からないという状況でした。

その後、忠考酒造の製造部研究開発課課長である熱田和史氏が東京農業大学の小泉武夫教授の下、「古式泡盛『酸汁(シー汁)浸漬法』の醸造学的意義と復活化へのアプローチ」をテーマに研究を開始。

そしてその研究が認められ、忠考酒造の熱田 和史氏は平成18年に沖縄の泡盛メーカとして初めて博士号を取得したのだそう

さらに同年、「醸造に関する技術的進歩に貢献したものに授与」される、日本醸造協会技術賞を忠考酒造代表取締役”大城 勤”氏と共に受賞。この研究は業界において高く評価されたのです。

「シー汁浸漬法」とは?

シー汁浸漬法は500年の歴史を持つとされる泡盛の、伝統的な製法の一つ。

中国の明代末期1637年、宋応星(そう おうせい)によって書かれた産業技術書「天工開物(てんこうかいぶつ)」に、シー汁と類似する記載があることから、中国から伝わり泡盛の製法に採用されたと言われています。

シー汁浸漬法の特徴

現在の一般的な泡盛の製法である、原料の米を洗い、水に漬け、蒸すという工程との違いは、原料米を洗わずに浸漬させるというところ。

この浸漬液が、繁殖した乳酸菌などの微生物の働きにより酸性状態になり、独特の酸っぱい匂いを発生させることから、シー汁浸漬法と呼ばれているのです。

また、このように生まれたシー汁を廃棄せず一部を取り置きし次回の浸漬に使用する点も、シー汁浸漬法の特異な点と言えるでしょう。

浸漬する時間は、夏期が17~18時間、冬期が22~23時間程度だったとされています。
ちなみに、シー汁が充分発酵していない場合は「疎酸(うるしー)トーン」と呼ばれ、浸漬時間を延ばしたのだそう。

製造上の特徴

麹菌や酵母菌は盛んに活動すると熱が発生するので、麹や醪(もろみ)は早いスピードで温度が上がっていきます。しかし、麹菌も酵母菌も暑さに弱く、特に酵母菌は30度を超えると死んでしまうほどなのです。

この性質により、特に夏場の麹作りや醪の温度管理は非常に難しいものだったのだそう。

シー汁浸漬法が採用されていた理由の一つは、上記の現状を打開した、製麹時や醪においての急激な温度上昇が抑えられるという特徴にあります。

そのメカニズムは以下の通り。

まず、浸漬水中の乳酸菌が米の表面を食べます。すると、通常の浸漬に比べお米の栄養素が少なくなります

ビタミン類などの栄養素が少なくなると、麹菌や酵母菌の生育が抑えられ、活動量が減少。これが、急激な温度上昇が防げるのです。

また、麹菌以外の雑菌も増えにくくなるため、麹を作る際の汚染が少なくなるのも、シー汁浸漬法のメリットの一つ。

米の外側は、タンパク質や脂質が多く、酒にとっては不快な臭いや味の原因になりますが、溶かされた効果で、高級アルコールやエステルなどの香気成分が増え、軽快で華やかな酒質になるのです。

精米歩合が高い、日本酒の吟醸や大吟醸と同じですね。

このようなことから、シー汁浸漬法の製造上の特徴は、こうした品温の管理がしやすい、汚染が少ない、原料米(硬質米)が蒸しやすいというメリットが挙げれます。

香味の特徴

先ほども少し触れましたが、シー汁浸漬法により造られた泡盛の香味の特徴は、軽快で華やかな酒質というところです。また、柔らかな味わいやコクのある甘みが生まれることも分かっています。

これは、シー汁浸漬液に繁殖している微生物が原料米の性質を大きく変化させ、この作用が製麹、発酵に影響を及ぼすからです。

「シー汁浸漬法」が廃れた理由

まず挙げられるのは、設備の近代化による影響です。シー汁浸漬法のメリットの一つに、製麹時や醪においての急激な温度上昇が抑えられるという品温管理のしやすさがありましたが、近代化に伴い、各酒造の品質管理のレベルが向上し、そのメリットを利用する価値がなくなりました

また、微生物の衛生管理を問題視する声や、生産性の向上を目指しための作業の簡素化、省力化をの問題が挙げられたことも理由でしょう。

確かに、近代化した設備による衛生管理力やシー汁浸漬法だと半日以上掛かる米蒸しも、現在では1時間程度でできるという事実からも、その指摘は一概に間違いとは言えませんよね。

こうしてシー汁浸漬法は一度、学問的な研究が行われることもなく姿を消したのです。

しかし、現代ではシー汁浸漬法のメカニズムが解明され、同製法による泡盛が一般的な泡盛にはない香味の特徴を持つことが立証されました。

昔醸 翠古

それでは最後に、そんなシー汁浸漬法を復活させた忠考酒造が、シー汁浸漬法により造り上げた一本「昔醸 翠古(むかしづくり すいこ)」を紹介します。

泡盛  昔醸 翠古(すいこ) 30度1800ml出典:泡盛  昔醸 翠古(すいこ) 30度1800ml

現代の、画一的な酒質になってしまった泡盛とは一味違う、古き製法で造られた新しい泡盛

芳醇な香りとコク、そして他に類を見ない甘味をあわせ持っています

そして同商品はなかなか味わえない、限定流通品の銘柄。ぜひその舌で味わいをお確かめください。

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まとめ

一度は衰退してしまったシー汁浸漬法は、忠考酒造による発見によって見事に復活した製法でした。

昔ながらの製法で造られた泡盛を、ぜひ一度味わってみてくださいね!

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※この記事はグルメ情報サイト「NOMOOO」から提供を受けて掲載しています
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