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第29回 | 40代からの身近な病気 内容と対策を知っておこう

眼科医に聞いた!「視力回復」って本当にできるの?

成人の8割が眼鏡やコンタクトレンズなどなんらかの視力補正をしているといわれる昨今。40代男性の中にも、「できれば裸眼で毎日過ごしたい」と考えている人もいることだろう。そこで気になってくるのが、視力回復の可能性。40代から視力を回復させることができるのか、眼科医の荒井宏幸先生に伺った。
今回のアドバイザー
荒井宏幸
医学博士・眼科専門医
1990年に防衛医科大学校卒業後、同大学病院医員に。以後、自衛隊中央病院・国家公務員共済三宿病院医員や岡田眼科(横浜市)眼科部長などを経て、1998年 Queen's Eye Clinic  開設。1999年にみなとみらいアイクリニック(旧:南青山アイクリニック横浜) 主任執刀医、2010年に医療法人社団ライトを設立し理事長に。近視矯正手術・白内障手術を中心に眼科手術医療を専門とする。米国でLASIK手術を学び、国内に導入した実績から、現在は眼科医に対する手術指導・講演も行っている。数多くのスポーツ選手・タレントのレーシックを手がけ、TV出演も多数。

外科処置以外の視力回復法。その信憑性は…

毎朝コンタクトレンズをセットしたり、眼鏡をかけ続けるのは煩わしさを伴うもの。ズバリ、視力回復は可能なのだろうか? 荒井先生は次のように答える。

荒井先生「視力低下の原因は、主として近視の進行によるものが多いです。しかし、近視となった目は外科的な方法以外で回復することはできません。近視の多くは、角膜(黒目)の頂点から目の奥の網膜までの距離が長くなってしまうことが原因ですが、それを物理的に短くすることは目薬や飲み薬では不可能だからです。

よく、視力回復のためのトレーニングやメガネなどの話題が取り上げられていますが、基本的には近視以外の視力低下においても手術以外に視力を回復する手段はありません。視力回復トレーニング・メガネなどは、医学的に証明されていません。個人差も大きく一時的な回復しか得られないこともあるので、高額な費用が必要な場合にはお近くの眼科医に相談してみてください」

すでに浸透したレーシックの他にも、視力回復術は様々

では、確実に視力回復の効果が期待できる外科的な処置には、どのような方法があるのか。

荒井先生「眼鏡やコンタクトレンズを使っていて、生活スタイルの中で不自由を感じることが多いようであれば、手術的な視力回復を考えても良いでしょう。手術的な視力回復には、次のような方法があります。

【LASIK(レーシック)】
角膜(黒目)に特殊なレーザーを照射して、形を変えて凸レンズとしての度数を弱くし、近視や乱視を治す手術です。世界的に普及していて、多くのスポーツ選手などもこの手術を受けています。診療体制の整っている施設であれば、大きなリスクもなく精確な矯正が可能です。費用は施設によりますが、両眼で20〜40万円くらいでしょう。両眼同時に手術可能で、手術の翌日には1.0以上の視力が回復することがほとんどです。術後には定期検査が必要です。この手術により老眼が早く起こることはありません。また強度の近視でなければ、10〜20年は良い視力が維持できるでしょう。

【有水晶体眼内レンズ(アイシーエルなど)】
目の中に小さなコンタクトレンズのようなレンズを入れる手術です。レーシックと異なり、目の形などを変化させないため、見え方に問題があれば、取り出すことも可能です。強度の近視も治すことができます。費用は両眼で60〜90万円かかります。この手術も両眼同日に行い、翌日には1.0以上の視力回復が得られることが多いです。術後の定期検査は必要です。レーシックと比べて術後の見え方(視力の質)が良いため、最近では中等度以上の近視の治療には、この方法が多く選択されています。強度近視であっても、長期間での視力低下も少ないと言われています。

【オルソケラトロジー】
特殊な形状のハードコンタクトレンズを、夜間の就寝中に装用して、起床後にはずして近視を矯正する方法です。日中は1.0以上の視力が得られ、裸眼で生活することができます。ただし、この方法は視力を回復するのではありません。毎日、就寝時に装用しなければ翌日の視力は回復せず、装用を中止すると視力は元の状態に戻ります。オルソケラトロジーには近視の進行を抑制する効果があると言われており、手術が出来ない成長期〜高校生などが希望することが多い方法です。費用は両眼で10〜15万円程度です。装用を開始してから2〜3日で1.0以上の視力が得られることが多いです。3〜6ヶ月に一度の定期検査と、レンズ自体は2〜3年での交換が必要となります。交換時の費用は1枚につき3〜4万円程度の施設が多いと思います」

40代から始まる老眼。治すための手術が人気!

近視や乱視といった視力低下のほか、40代男性が気になるのが「老眼」についてだろう。

荒井先生「40歳代の中頃から老眼が始まります。これは加齢変化ですべての人に起こります。近視や乱視とは異なり『ズーム』の機能が低下するため、遠くが良く見える状態であれば、反対に近くが見えづらくなってきます。

しかし、老眼はレーシックや有水晶体眼内レンズの手術では治せません。老眼世代には【多焦点眼内レンズ】を挿入する手術があり、近視・乱視・老眼を同時に治すことができます。両眼で100〜160万円と高額ですが、老眼が進むこともなく、将来に白内障になることもないため、最近ではこの手術を希望する患者さんが増加しています」

様々な視力回復手術が存在するが、荒井先生曰く「まずは現在使っている眼鏡・コンタクトレンズが正しく合っているかどうかを検査してみることが大切」。視力が低くなっている原因は目の使い方に問題があることも多いため、自身が日頃から目を酷使していないかどうか省みてみよう。

最後にアドバイザーからひと言

荒井先生「近視が進まないようにするためにはパソコンやスマホなどを使わないことが有効ですが、現代では無理なことです。長時間のパソコンやスマホでの作業を極力避けたり、1日5分でも良いので遠くのものを見つめて、毛様体筋というピントを合わせる筋肉を緩めるように心がけると良いでしょう」

Text by Takumi Arisugawa

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