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第17回 | ITが働き方を変える?最新ビジネスハック事情

管理職が注目すべき「プレゼンティーズム」問題。その解決策は?

「体調管理は自己責任」という認識がまかり通る、日本のビジネスシーン。無理をしてでも働いたほうが会社のためになる、と思っている人も多いかもしれないが、実はその考え方が業績低下の大きな一因になっているという。ここ数年、マネジメントの世界で話題となっている「プレゼンティーズム」問題と、問題解消のために企業が行うべき取り組みの一例について紹介しよう。

欠勤よりも深刻な影響を及ぼす体調不良によるパフォーマンス低下

人的コスト削減と人材不足という2つの要素が絡み合い、全体的にみれば悪化の一途を辿っている日本の労働環境。そうした状況下で注目されているのが、「プレゼンティーズム」というキーワードである。

これまで、従業員の健康状態が原因となる業績低下は、病気や体調不良などによる“欠勤”(これをアブセンティーイズム/absenteeismと呼ぶ)によって起こる、という考えかたが前提となっていた。そのため、まずは欠勤を減らすことが解決策とされ、特に日本では結果的に「多少の無理をしてでも出勤すべき」という風潮が生まれたといってもよい。

対してプレゼンティーズム(疾病就業)とは、従業員が出社していても、ストレスや睡眠不足などが原因となる体調不良によって、本来発揮されるべきパフォーマンスが低下している状態のこと。アブセンティーイズムが重視されていた時代には、パフォーマンスが低下していても欠勤よりはマシと考えられていたわけだが、近年の調査では、むしろプレゼンティーズムのほうが業績低下の原因として深刻であることがわかりつつある。

たとえば経済産業省が2016年に配布した「健康経営の推進に向けた取組」という資料によれば、十分な睡眠(睡眠休養)がとれている人とそうではない人を比べた場合、アブセンティーイズムによる損失の差は10%以下であるのに対し、プレゼンティーズムによる生産性損失の差は、30%以上にもなるとされている。このほか、軽度の風邪や花粉症といった“欠勤までには至らない”程度の体調不良も、プレゼンティーズムに影響を及ぼすという。

食事、睡眠、運動量の改善が要。しかし従来の手法では限界が

このように、プレゼンティーズムが企業の業績低下に大きな影響を及ぼすことがわかってくれば、体調管理を従業員個人の責任として良いのか? という疑問に行き当たるのは当然のこと。すでに国を挙げて取り組まれている「健康経営」の観点からも、すでに従業員の健康管理を、マネジメントの一環に取り入れる動きは活発になっている。

プレゼンティーズム解消として、もっとも基本的な取り組みといえるのが、健康の根本を支える「食」、「運動」そして「睡眠」の改善だ。

これまでも、社員食堂のメニューを工夫したり、就業中に運動の時間を設けたりといった取り組みを多くの企業が行っていたわけだが、従業員が増えるほど平均的な施策しかとれないという限界があった。また従業員の立場でみても、平均的な施策では具体的な効果もさることながら、「自分にあったケアをしてもらっている」という感覚を得ることが難しく、パフォーマンス向上に欠かせない心理面での満足度アップにつながらなかったのも事実だろう。

プレゼンティーズム解消の救世主となるITソリューション

そうしたプレゼンティーズム解消の妨げとなる“壁”を壊したのが、急激に進化したIT、なかでもIoTやビッグデータの分野だ。その一例となるのが、NTTドコモが提供する睡眠マネジメントプログラム「my sleep」である。

睡眠の状態を計測するウェアラブルデバイスを装着することで、個々の睡眠習慣を把握し最適な改善策をフィードバックするという点では、すでに普及している既存の活動量計でも同様の機能が提供されている。しかし「my sleep」はデバイスやアプリの機能に加え、WEBセミナーによる睡眠改善に役立つノウハウの提供などを含む、良い睡眠習慣の持続を目的とする包括的なソリューションとなっていることが大きな特徴だ。従業員が個々に睡眠にかんするセルフマネジメント能力を獲得できるだけでなく、従業員全体の健康にかんするデータを管理側で把握することで生産計画の参考にするなど、もちろん企業側にとってもメリットがある。

「my sleep」のような睡眠マネジメントのほかにも、食事改善や運動不足解消など、プレゼンティーズム解消を目的とした法人向けのソリューションは、これから一層発展していくに違いない。マネジメントにかかわるビジネスパーソンなら、生産性向上という費用対効果面だけでなく、従業員の満足度や幸福度の向上にもつながる福利厚生の施策としても注目すべきだろう。

Text by Toshiro Ishii

睡眠マネジメントプログラム「my sleep」とは?

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