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第44回 | ポルシェの最新車デザイン・性能情報をお届け

甦るポルシェ935──伝説のモビー・ディックが復活した

2018年12月初め、ポルシェのみならず、すべてのスポーツカーのアイコンである『911』が8世代目へと生まれ変わった。発表されたのはLAオートショーの開幕前夜。会場はロサンゼルスのポルシェ・エクスペリエンスセンター。しかし、この日からさかのぼること2カ月余り前、同じカリフォルニア州において、1976年に『911』のレーシングカーとしてデビューしたマシンの新型車もお披露目されていた。その名は『935』だ。

ポルシェ935/78“モビー・ディック”。1970年代後半のレースシーンを席巻したマシン

グループ5は、1976年から1981年まで行われていたFIA(国際自動車連盟)のレースである。別名はシルエットフォーミュラ。ベースは市販車だが、それを大幅に改造したうえ、エンジンはレース専用に開発したものを使用したことからそう呼ばれた。

このグループ5で圧倒的な強さを誇ったのが、『911ターボ』をベースに、グループ5規定のレーシングマシンとして開発された『935』シリーズだ。機械式燃料噴射を用いた巨大なターボチャージャーで600psものパワーを生み出し、1976年から数年間にわたって文字どおりレースシーンを席巻。1979年のル・マン24時間レースも制している。

事実上最後のワークスマシンとなったのは『935/78』、通称モビー・ディック(白鯨)。空気抵抗を低減してル・マンの名物ストレート「ユノディエール」で優位に立つため、後部のカウルを長く伸ばし、ロングテール化した独特の形状が白鯨を思わせたのである。今回登場した新型『935』は、このモビー・ディックをオマージュした一台だ。

ボディカラーには「マルティーニ・ストライプ」。白鯨のようなロングテールも継承

ベースは現行型『911』の最強バージョンである『911 GT2 RS』。もっとも、かつての『935』がそうだったように、ボディの大部分をカーボンファイバーに置き換えるなど、大幅な改造が施された。目的は当然、軽量化だ。『911 GT2 RS』より全長も全幅も大型化されているにもかかわらず、車体重量は1380kgと90kgほど軽くなっている。

独特の長いテールは、むろんモビー・ディックを模したもの。白を基調に赤・水色・紺のマルティーニ・ストライプをあしらっているのもモビー・ディックへのオマージュだろう。マルティーニとは、イタリアの酒造メーカー「Martini & Rossi(マルティーニ・エ・ロッシ)」のこと。モビー・ディックはこのカラーリングをまとってル・マンを戦った。

室内には最新の装備が採用されている。コクピットにはコスワースのデジタルメーターとカラーディスプレイを備え、カーボンファイバーのステアリングホイールは最新型の『911 GT3 R』に採用されているもの。1座のみのバケットシートはレカロ製だ。

エンジンは『911 GT2 RS』が搭載する3.8L 水平対向6気筒ツインターボと基本的には同じで、7速PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング)を組み合わせる。ただし、リミテッド・スリップ・ディファレンシャルはレース用に最適化されているという。

往時を思わせるスタイルをもつ新型『935』は77台の限定生産。価格は9007万円

ポルシェは昔から、たとえレーシングマシンであっても市販するスタイルを取っている。かつての『935』も多くのプライベーターが購入してレースに参戦し、1979年のル・マン24時間は『935』のワンメイクレースのようになったくらいだった。

したがって、この新型『935』も当然市販モデルだ。しかし77台の限定生産で、価格は70万1948ユーロ。日本円に換算すると約9007万円である。ボディカラーのマルティーニ・ストライプもオプションだという。デリバリーは2019年を予定している。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Porsche AG.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Porsche 935 オフィシャル動画

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