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第13回 | マクラーレンの最新車デザイン・性能情報をお届け

その最高速は403km/h──マクラーレン スピードテイル

F1における名門レーシングチーム「マクラーレン」。そのテクノロジーを活かしたハイパフォーマンスモデルを製造する自動車ブランドが「マクラーレン・オートモーティブ」だ。展開するラインナップは3つ。エントリーモデルの「スポーツシリーズ」、主力スーパーカーの「スーパーシリーズ」、そして、最上位のスーパースポーツ「アルティメットシリーズ」である。究極のサーキット仕様モデルでありながら、公道での走行も可能な「アルティメットシリーズ」は、常にマクラーレンが持つ最高のテクノロジーが注ぎ込まれてきた。そのシリーズの最新モデルが、同社初のハイパーGTとなる『スピードテイル』だ。

マクラーレン史上最速のマシン『スピードテイル』は、GTを上回る「ハイパーGT」

最高速度403km/h。自動車記事としてはいささか下品かもしれないが、このクルマの圧倒的なポテンシャルを伝えるために、あえて最高速度から話を始めた。マクラーレンいわく、GTを上回るハイパーGT。同社史上最速であり、世界でも有数の最高速度は、比類なきエアロダイナミクス、パワートレイン、そしてダイナミックパフォーマンスが精巧に組み合わされたことにより達成されたという。

まずはエクステリアだ。アーティスティックで近未来的な形状は、SF映画に出てきても違和感がないほどだ。しかし、このスタイルは見栄えだけを狙ったものではない。水切り石のような鋭さを感じさせるのっぺりとした平面フォルムは、空気抵抗を最大限まで低減するためにデザインされた極限の機能美がなせるもの。真横から見ると、空気の流れが見えるようでもある。

自然界における最高の形状の「ティアドロップ型」で時速400km/hオーバーを実現

空力へのこだわりを象徴的に示しているのが、リアビューカメラだ。固定式ドアミラーが乱気流を発生させるのに対し、小型カメラはその影響を最小限に抑えられる。普段はイグニッションが作動したときにドアから滑り出るが、最高速用に最適化された「ヴェロシティモード」を選択したときには、車体に収納され乱気流をまったく発生させない。

また、フロントホイールにもこだわりが見てとれる。カーボンファイバー製スタティック・エアロカバーを装着することで、ホイールアーチ周辺の乱気流を削減した。

時速400km/hオーバーでは、ほんの少しの乱気流でも大きな障害になる。『スビードテイル』を上方から見ると、ティアドロップ型の形状であることがわかる。これは、自然界における最速の形状といわれており、この造形によってフロント・スプリッターとエアとのコンタクトがスムーズになり、同時にロングテールからエアを排出することで乱気流を抑制することができるという。さらに、コックピットのグラスハウスもティアドロップ型にすることで、エアロダイナミクスの効率性がより高められている。

現代的なクラフトマンシップと最先端が融合した『スピードテイル』の美しいデザイン

定員は3名。前席にはドライバーだけが乗り込み、シートは車体の真ん中に設置されている。その様相は運転席というより、操縦席、コクピットという表現がピッタリだ。

ウィンドスクリーンはルーフの一部となっており、シートの後ろまで伸びることでコックピットに十分な光が射し込む。ちなみに、ガラス部にはエレクトロクロミックテクノロジーが作動し、光が必要ないときには瞬時に半透明に変化させることができる。エレクトロクロミックとは、電流を流したり電圧をかけたりすると色が可逆的に変化する性質をもつ物資のことだ。

コントロールシステムは高解像度ディスプレイとタッチスクリーンに集約され、ボタンやスイッチがほぼ取り除かれた。エンジンのスタート、アクティブダイナミクスパネルの起動、ヴェロシティ・モード(最高速度に到達させるためにパワートレインとアクティブエアロダイナミクスを最適化し、車高を35mm低くする設定)の選択、ウインドウとドアの開閉制御は、ドライバーのヘッドアップパネルを通じて行う。

最先端のテクノロジーだが、これらのコントロールとスイッチやダイアルには、職人が手作業で研磨したアルミニウムが使用されている。美しい造作のインテリアは、現代的なクラフトマンシップと最先端のイノベーションが融合した結果だ。

シートはカスタムメイドのカーボンファイバー製で、セミ・アニリン仕上げの新しい軽量レザーを使用。製造プロセスで表面の下に空気を入れることにより、素材の密度が下がって重量が30%削減されたという。ラグジュアリーでありながら、軽量化にも妥協しない姿勢の現れだ。

マクラーレンは軽量化において、ロードカーでもレースカーでもカーボンファイバーを多用する。『スピードテイル』では、最先端のテクノロジーとイタリアの伝統的なテキスタイルの知識を組み合わせ、カーボンファイバーを密に織り込むことで、より軽量の複合素材を生み出す「デジタル・ルーム(織り)」を採用したという。その結果、乾燥重量はわずか1430kgに抑えられた。

このデジタル・ルームの手法を活用して、カーボンファイバーとチタニウムを使った独自の織り方も開発した。それが「チタニウム蒸着カーボンファイバー」だ。これにより、カーボンファイバーに明瞭な色味をつけることに成功。クロームの煌めきを備えた驚異的な仕上げを実現している。

『スピードテイル』の価格は2億5000万円! 限定106台の生産もすでに全台完売

走行性能に関しては、ハイブリッド・パワートレインを採用し、エンジンの回転数にかかわらず驚異的なスピードを実現するということ以外、詳細な発表がされていない。

数値だけを示すと、直線での加速は0-300km/hが12.8秒。これは、「アルティメットシリーズ」の先代ハイブリッドモデルである『P1』の16.5秒を大幅に上回る。このスピードに対応するため、ビスポーク・タイヤ「P-ZER」はピレリによって新しく開発されたという。

『スピードテイル』は限定106台で、すでに予約完売している。決して手に入れることはできないが、これだけのスペシャリティカーがどれくらいの金額になるかは気になるだろう。価格は、175万ポンド(税別)。日本円に直すと約2億5345万円だ。さすがは、最高経営責任者であるマイク・フルーウィット氏をして「アートとサイエンスが融合された究極のロードカー」と言わしめたクルマである。

『スピードテイル』は、12億ポンド(約1738億円)を研究開発に投入し、2025年までに18のニューモデルを導入するマクラーレンの新しいビジネスプラン「Track25」のファーストモデルだ。さすがに2億5000万円のクルマは夢のまた夢かもしれないが、「スポーツシリーズ」や「スーパーシリーズ」でも魅力的なモデルが登場するはず。それが、『スピードテイル』のDNAを継承するモデルであることを祈りたい。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) McLaren Automotive
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
McLaren Speedtail オフィシャル動画

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