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第6回 | プジョーの最新車デザイン・性能情報をお届け

eレジェンド コンセプト──これは大人の男にぶっ刺さる

『504クーペ』は、今から50年前にプジョーが生んだ名車である。ピニンファリーナの手による美しいスタイリングやトータルバランスの良さが高く評価され、世界的なベストセラーとなった。『eレジェンド コンセプト』は、その『504クーペ』の誕生50周年を記念して作られたコンセプトモデルだ。10月のパリサロンで披露されると、メディアやファンから大きな注目を集めた。理由は『504クーペ』をモチーフにしたデザイン。近未来的でありながら、そのスタイリングはどこか古風で懐かしさを感じさせるのだ。

『eレジェンド コンセプト』のスタイルやディテールに見る『504クーペ』の面影

フランス車やヨーロッパの旧車に詳しい人なら、『eレジェンド コンセプト』が全身から放つ懐かしさの理由が『504クーペ』に由来することはすぐにわかるはずだ。

『504クーペ』は、セダンをベースにピニンファリーナがデザインを手がけた美しいクーペ。デビュー年にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いている。このクルマがもつロングノーズ・ショートデッキのスタイリングは、普遍的な美しいクーペであるための黄金比のようなものだ。『eレジェンド』は、サイドビューを「プラットフォーム」「ボディ」「ウィンドウエリア」の3つのレイヤーにわけ、ボディとウィンドウエリアの比率を『504クーペ』と同様に仕立てることで、ヒストリカルなスタイリングを実現している。

とりわけ台形のライン、Cピラーの根本にある黒いガーニッシュ、後端に行くにしたがって下がっていくトランクデッキなどは、『504クーペ』と瓜二つである。

鉤爪を3本並べたかのようなヘッドライトが目を引くフロントセクションでは、黒いアルミのパネルをビルトインしてフロントグリルを分断。まるで1960〜70年代に見られたアイアンバンパーのようなイメージに仕上げている。しかし、これらは単なるデザインではなく、たとえばヘッドライトの下には運転支援機能のためのセンサーなどが組み込まれ、フロントバンパー下部のウィング形状は空力性能を高めることに貢献している。

テールランプも『504クーペ』をイメージした“鉤爪デザイン”だ。よく見れば、プジョーのライオンのエンブレムは当時のデザインで、ボンネットとトランクのそれぞれ先端にあしらわれている「e-LEGEND」の文字もクラシカルなフォントが使用されている。

ベルベット、パルダオ・ウッド…レトロモダンな内装。しかし中身は「未来のクルマ」

インテリアも一見先進的だが、どこかレトロな印象を受ける。その理由は、シートとカーペットに採用されたターコイズブルーのベルベット、そしてセンターコンソールなどにウルシ科のパルダオ・ウッドが用いられているためだろう。ベルベットは60年代のファッション界で流行し、パルダオもやはり60年代の家具を彷彿とさせる素材だ。

もっとも、中身は自動運転「レベル4」に対応した未来のクルマ。移動中はステアリングが格納され、運転を完全にシステムに委ねることができる。コクピットには乗員を取り巻くように49インチの巨大なデジタルスクリーンが備わり、あらゆる情報が表示されるほか、動画を観たりゲームを楽しんだりすることも可能。むろん各種の操作はAIによるパーソナル・アシスタントと会話するようにして行う仕組みだ。オーディオシステムはフランスのFOCAL(フォーカル)製アコースティック・アーキテクチャーで構成される。

しかし、運転する愉しみがないわけではない。ディスプレイの表示を最小限に抑える「ソフト」、ディスプレイをフル活用する「ハード」のほか、「レジェンド」「ブースト」という二つの“手動運転”モードが備わり、クルマを操る愉しさを味わうこともできる。

このうち「レジェンド」モードでは、コクピットに『504クーペ』をモチーフにしたメーターパネルが出現し、49インチディスプレイには木目が表示されて60〜70年代のムードが再現される。もうひとつの「ブースト」モードでは “未来のドライビングファン”を堪能できる。ディスプレイに路面が180度、透過するように映し出されるのだ。

まさに「未来のクーペ」の理想像。このクールなコンセプトEVは市販化されるのか?

言わずもがなだが、『eレジェンド』は100%のピュアEV。4WS(四輪操舵)機構を持つこの車は、最高出力340kW(462ps)、最大トルク800Nmもの大パワーを持つ。その加速はすさまじく、0-100km/hは4秒以下、最高速度は220km/hとされる。なお、バッテリー容量は100kWhで、航続距離は600km(WLTCモード)。25分間の急速充電で約500kmが走行可能というから、使い勝手でこれまでのガソリン車に劣ることもなさそうだ。

往年の『504クーペ』を感じさせるレトロモダンな内外装、自動運転レベル4による移動時の快適性、そして強大なパワーを操るドライビングファン。『eレジェンド』は、クルマ好きが求める「未来のクーペ」としての理想像を具現化したものといえる。

PSA(プジョー・シトロエン)は市販化への意欲を見せているものの、現時点でその可能性は限りなく低いようだ。とはいえ、『eレジェンド』は日本に導入された新型『508』と同じPSAの次世代プラットフォーム「EMP2」をベースにしている。ブガッティのような超高額な限定モデルとしてなら、市販化の価値はあると思うのだが…。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Peugeot Citroën
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Peugeot e-LEGEND Concept オフィシャル動画

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