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第4回 | 今さら聞けない「宇宙ビジネス」の基礎知識

申込者は1000人以上!「宇宙旅行」が本格的に始まる日

スタンリー・キューブリック監督のSF映画『2001年宇宙の旅』が製作されたのは1968年のことだ。当時は米ソの宇宙開発競争が熾烈を極めていた時期で、61年にソ連が世界初の有人宇宙飛行を成功させると、アメリカもアポロ計画を推進し、69年に世界初の月面着陸を成功させた。人類にとって、宇宙はまだ未知の世界だったのだ。それからちょうど50年。まもなく人類は宇宙に旅行する時代を本格的に迎えようとしている。すでに申込者も全世界で1000人を超えているという。全4回でお届けしてきた<今さら聞けない「宇宙ビジネス」の基礎知識>。最後のテーマは「宇宙旅行」だ。そこにはどんなビジネスチャンスがあるのか?

エクセルやワードを作った天才プログラマーはすでに2回も宇宙旅行を経験している

じつは、宇宙旅行そのものはすでに実現している。スタンリー・キューブリックの映画のタイトルそのままに、2001年、アメリカの実業家がロシアの宇宙船「ソユーズ」に乗って国際宇宙ステーション(ISS)に行き、1週間ほど滞在してから地球へ帰還しているのだ。

宇宙ビジネスコンサルタントとして欧米の宇宙プロジェクトに参画してきた大貫美鈴氏の『宇宙ビジネスの衝撃──21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』(ダイヤモンド社)によると、その費用はおよそ2000万ドルだったという。日本円に換算すると約22億円。これによって、世界の大金持ちは「財力があれば宇宙に行ける」ことに気づいたのだ。

それから2009年までにISSを訪れて滞在する宇宙旅行を経験した人は7人いる。そのうちのひとりは、エクセルやワードを開発した天才プログラマー、元マイクロソフトのチャールズ・シモニー。しかも彼はリピーターとなり、2回も宇宙旅行を経験しているという。

4分間の無重力体験ができる弾丸飛行「サブオービタル」なら数千万円の費用で行ける

しかし、1回につき20億円以上の費用が必要となると、宇宙旅行に行けるのはごく一部の大金持ちに限られてしまう。そこでいま注目されているのが「サブオービタル旅行」だ。

サブオービタルとは「準軌道」のこと。地上400km付近のISSに滞在する「オービタル(軌道)旅行」に対し、サブオービタル旅行は地上100km超えを目指す。いわば“弾丸飛行”のようなものだ。地上100kmからでも眼下に地球を見渡すことは十分可能で、約4分間の「無重力体験」をすることもできるという。本書によれば、サブオービタル旅行の費用は数千万円。高級車一台分のお金で宇宙に行けるようになれば、宇宙旅行はぐっと身近なものになる。

それを可能にするのがサブオービタル機だ。この機体は現在、イギリスの多国籍企業ヴァージン・グループやアマゾン傘下のブルーオリジンなどが開発中で、有翼型、カプセル型、水平型、空中発射型といったバリエーションがある。離陸から地球に帰還するまでかかる時間もさまざまだが、弾丸飛行中の約4分間の無重力体験ができる点は共通しているという。

サブオービタル旅行の商業運行がスタートすれば、多くの人が宇宙へ行くようになるだろう。事実、ヴァージン・グループの宇宙旅行会社が計画するサブオービタル旅行には700人以上が申し込みを行い、そのほかを含めればすでに全世界で1000人以上の申込者がいるのだ。

宇宙服、宇宙食、宇宙ウエディング…。サブオービタル旅行は新しい観光産業になる?

自分が宇宙旅行に行かなくても、この先宇宙はより身近なものになっていく。サブオービタル旅行はチケット代のほかにも、さまざまなビジネスチャンスが期待されるからだ。

たとえば、宇宙に行くには訓練が必要となるので、「宇宙旅行訓練」を手がけるベンチャー企業が出てくるだろう。また、「宇宙服」という新しい市場も間違いなく誕生する。もちろん「宇宙食」の需要も高まる。有名シェフが手がける宇宙食などはいかにもありえそうだ。

なかでも「宇宙ウエディング」や「宇宙ハネムーン」は期待できる宇宙ビジネスになると本書は指摘する。結婚や新婚旅行は人生において大きなイベントで、特に最近はオンリーワンのウエディングが注目を集めている。宇宙旅行は新しい観光産業になるかもしれないわけだ。

Text by Kiyoshi Nanamori
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

書籍はこちら
『宇宙ビジネスの衝撃 21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』

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