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第28回 | エディトゥールPRIME

ナイキの「厚底シューズ」にランナーたちが注目する理由

実業団で活躍するマラソン選手から、趣味で走る市民ランナーにいたるまで、いま多くのランナーが熱い視線を注ぐランニングシューズがあるのをご存じだろうか。そのシューズとは、カーボンプレートが入った独特の「厚底」をもつナイキ『ズーム ヴェイパーフライ4%』。じつは、昨シーズンからこのシューズを着用したランナーが世界のメジャーレースで表彰台を独占しており、新色が登場するとその瞬間に在庫切れになるほどの人気を集めているのだ。

リオ五輪、ボストン、箱根駅伝。国内外の長距離界を席巻するナイキの厚底シューズ

10月初旬のシカゴマラソンで大迫傑選手が日本新記録の2時間5分50秒で3位に入ったのは記憶に新しい。この走りを支えたのがナイキの『ヴェイパーフライ4%』である。

『ヴェイパーフライ4%』を履いた選手が世界のメジャー大会で好成績を収めた例はほかにも数多い。昨年4月のボストンマラソンで表彰台に上がった3選手はいずれもこのシューズを使用し、今年9月のベルリンマラソンではケニアのエリウド・キプチョゲ選手が2時間1分39秒という驚異的なワールドレコードで優勝した。キプチョゲ選手は『ヴェイパーフライ4%』の開発にもかかわっていて、試作品を履いて走ったリオ五輪で金メダルに輝いている。

さらに、今年の箱根駅伝で6回目の往路優勝をはたし、総合でも2位に入った東洋大学の選手たちも、じつに10人中8人が『ヴェイパーフライ4%』を履いていた。こうした圧倒的な実績が評判を呼び、いまや入手することも困難な超プレミアモデルとなっているのだ。

クッション性があり、推進力も高い。速さの秘密はカーボンファイバー製のプレート

最大の特徴は「厚底」だ。ランニング時には体重の約3倍の衝撃が足にかかる。そのため初心者にはクッション性の高いシューズを使用する人が多い。一方、上級者が履くレース用のシューズは徹底的に軽量化され、クッションはあまり入っていない。負担は大きいが、その分パワーがよく伝達され、パフォーマンスを高めることができるというのが従来の常識だった。

ところが、『ヴェイパーフライ4%』は、靴底がカーボンファイバー製のプレートをクッション性のある特殊な素材で挟んだ3層構造になっていて、もっとも厚い部分で約4cmもの高さがある。まさに、これまでの長距離界の常識を打ち破る「厚底シューズ」だ。それでいて重量は28センチのシューズで184g。実際に手に持ってみると驚くほど軽いのである。

ナイキによると、開発のきっかけはキプチョゲ選手だったという。マラソンに高速化をもたらしたアフリカのランナーたちは、未舗装の道に慣れているので硬いアスファルトを嫌う。

そこでナイキに「クッション性があり、なおかつ推進力のあるシューズがほしい」と要請。それにより開発がスタートしたのが厚底シューズだ。結果は前述したとおり。大迫選手は直近の3レースにすべてこのシューズを履いて挑み、走るたびにタイムを大きく更新している。

厚底シューズは入手が困難。しかし比較的手に入れやすい割安の普及版が新たに登場

問題は、価格が2万8020円(税込み)とランニングシューズとしては割高であること。しかも、高くてもいいから手に入れたいと思っても、常に品薄状態で入手は困難。クッションが宇宙産業で使用される特殊な素材なので、大量生産ができないのである。各地のマラソン大会にナイキがブーズを出すと、40〜50代のランナーから問い合わせが殺到するほどだという。

そこでナイキが市場へ投入したのが『ヴェイパーフライ4%』の普及版となる『ズーム フライ フライニット』だ。ソールの素材がやや異なるが、コンセプトは同じで、ランニングの感覚もそれほど変わらない。価格も1万7280円(税込み)とお手頃となっている。

厚底シューズは、体への負担を軽減し、なおかつタイムを縮めたいという大人のランナーにとってもうってつけだ。長距離界の「厚底ブーム」はしばらく続きそうな気配である。

Text by Muscle Kabuta
Photo by(C)Nike, Inc.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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