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第2回 | 今さら聞けない「宇宙ビジネス」の基礎知識

宇宙空間は3つある。宇宙ビジネスが狙う「低軌道」とは

宇宙ビジネスが急激に拡大している。アマゾン、グーグル、フェイスブック、アップルといった巨大企業が宇宙開発にこぞって巨費を投資し、そのさまは一攫千金を狙う採掘者が金脈探しに明け暮れた19世紀アメリカの「ゴールドラッシ」に例えられるほど。事実、宇宙に浮かぶ小惑星にはレアメタルなどの貴重な資源が眠っている。しかし、今注目されているのはそうした資源の採掘だけではなく、未開拓の宇宙空間に広がる無限のビジネスチャンスだ。では、その「宇宙空間」というのは具体的にどこにあるのか。全4回でお届けする<今さら聞けない「宇宙ビジネス」の基礎知識>。そもそも宇宙空間とはいったいどんな「場所」なのか?

宇宙ビジネスの対象となっているエリアは「深宇宙」「静止軌道」「低軌道」の3つ

宇宙ビジネスと言われても、話が大きすぎて多くの人には実感が沸かない。宇宙のことは映画のなかでしか知らないからだ。「宇宙空間」を正確に理解している人は少ないだろう。

宇宙ビジネスコンサルタントとして欧米の宇宙プロジェクトに参画してきた大貫美鈴氏の『宇宙ビジネスの衝撃──21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』(ダイヤモンド社)には、宇宙ビジネスが行われている「場所」についても詳しく書かれている。

宇宙ビジネスの対象となる場所は、大きくわけて「深宇宙」「静止軌道」「低軌道」の3つ。この3つのエリアによって、そこで行われる宇宙ビジネスの内容も異なっているという。

「低軌道」で2000年以降に活発化した高性能な小型衛星を利用した宇宙ビジネス

このうち「深宇宙」とは、月、小惑星、火星などのこと。月は地上から38万km、火星へは6000万kmの距離がある。つまり深宇宙とは「遠い宇宙」を意味するわけだ。月は宇宙基地、小惑星は資源開発、火星へは有人宇宙飛行など、今後の開発が期待されるエリアである。

「静止軌道」は、日本人になじみの深い「気象衛星ひまわり」が周回している場所だ。赤道上3万6000kmの軌道にあり、1980年代から1990年代にかけて各国が気象衛星や通信衛星、放送衛星などを打ち上げた。すでに商業化されている場所だが、現在は大型衛星を軌道上で修理したり、燃料を注入したりして延命するサービスの事業化が行われつつある。

それに対し、この10年余りの間に急速に商業化が進んだのが「低軌道」だ。低軌道とは、もっとも低い位置にある軌道=地球に近いところにある軌道のこと。「宇宙」と定義されるのは高度100kmを超えたところだが、低軌道はそこから2000kmあたりまでのエリアを指す。

この低軌道で2000年以降、高性能小型衛星による宇宙ビジネスが活性化しているのだ。

商業運航の新たなプラットフォームとしてもっとも注目を集める「サブオービタル」

小型衛星が事業化されて需要が高まると、それにともない衛星を打ち上げる手段の開発も活発化し始めた。たとえば、小型衛星を大型ロケットや中型ロケットのライドシェアで打ち上げたり、小型衛星専用のロケットを開発したりという具合。地上4000kmにある国際宇宙ステーション(ISS)まで衛星を貨物便で打ち上げ、そこから放出させる方法もあるという。

低軌道には、さらに「準軌道(サブオービタル)」「太陽同期軌道」「極軌道」といった軌道がある。とりわけ打ち上げられた機体が軌道に乗り、地球を周回することなく再び地上に戻ってくるサブオービタルは、商業運航などの新たなプラットフォームとして注目を集めている。

これらの宇宙空間で今、アマゾン・ドット・コム、グーグル、フェイスブック、そしてイーロン・マスクが率いるスペースXなどがビジネスチャンスをつかもうとしているのだ。

Text by Kiyoshi Nanamori
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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