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第33回 | アウディの最新車デザイン・性能情報をお届け

アウディA7 Sportback──CLSにどこまで迫れたのか

クルマの形状といえば、セダンやクーペ、ワゴン、SUVが上げられるが、自動車メーカーが独自に定める名称もある。クルマ好きなら一度は耳にしたことがある「Sportback(スポーツバック)」はそのひとつだ。これは、クーペの美しさにセダンのプレステージとアヴァントの機能性を兼ね備えた、アウディ独自のコンセプト。この「Sportsback」を冠するモデルの最高峰が『A7 Sportback』。『A8』と並ぶアウディのフラッグシップである。初代のデビューから7年。今回、初のフルモデルチェンジにより第二世代へと進化した。

新世代アウディのデザインコンセプトにより生まれ変わった『A7 Sportback』

静的でフォーマルな印象を与えるプレミアム4ドアセダン『A8』に対して、動的でカジュアルな印象を与えるプレミアムスポーツ4ドアクーペ『A7 Sportback』は、より若々しい成功者から愛される一台だ。その躍動感は、エクステリアデザインにもよく現れている。初代モデルで好評を得た流麗な4ドアクーペスタイルを、最新のデザイン言語に基づいてよりダイナミックに一新した。

最新のデザイン言語とは、2014年に発表されたコンセプトカー『Audi prologue(アウディ プロローグ)』が示したデザインの方向性だ。張りのある大きな面とシャープなエッジ、シンプルで力強いラインなどが特長で、『A7 Sportback』にもこのデザインコンセプトが反映されている。

フロントマスクは、低く幅広いシングルフレームグリル、細いヘッドライト、大胆な縁取りがなされたエアインレット、低く伸びたボンネットなどが、グランツーリスモとしてのスポーティな性格を主張している。

スポーティさは、サイドのシルエットでも顕著だ。最大の特徴は後方に向かって滑らかに下降するルーフライン。そこに、長く伸びたボンネット、長いホイールベース、短いオーバーハング、そして低い全高が加わり、クーペの流麗さを感じさせるデザインだ。ホイールハウスの上のアーチ状の膨らみは、アウディのモダンアイコンである「Audi quattro」から継承された。

リヤは先代と同じく、ヨットのように両側が細くなっている。ハッチゲートの後端はリップ状に少し突き出した形状。スポイラーが内蔵されており、120km/h以上で自動的に伸長してリヤのダウンフォースを高める。


洗練性、スポーティネス、先進性、直感的操作性…4つの価値を重視した室内

インテリアは、「洗練性」「スポーティネス」「先進性」「直感的な操作性」という4つの価値を重視してデザインされた。洗練性とスポーティネスでは、水平ラインと細いインストルメントパネルが室内に広々とした印象を与え、ドライバーに向けて少し角度が付けられたセンターコンソールがグランツーリスモとしてのスポーティなキャラクターを強調している。

先進性、直感的な操作性では、2つの大きな高解像度タッチディスプレイがポイント。「MMIタッチレスポンス」と名付けられた新しいUI(ユーザーインターフェイス)を提案している。物理的なボタンやスイッチ類を排してディスプレイ上での操作に集約した結果、ダッシュボード周りは美しくクリーンなデザインとなった。

上側の10.1インチスクリーンは、インフォテイメントシステムを操作するためのもの。その下の8.6インチスクリーンでは、空調システムの操作や、文字の入力を行うことができる。タッチするとボタンを押したときと同じように、触覚と音によるフィードバックも発生し、直感的に操作ができるように工夫されている。

ダイナミックなルーフラインにもかかわらず、室内の乗員のスペースは拡大。先代モデルと比較すると、室内長は21mm、後席ヘッドルームは5mm広くなり、ニールームにも頭上にも余裕が生まれた。また、ゲージコンパートメントの幅も1050mm広くなっており、通常時でも535Lの大容量を確保。リヤシートを折り畳めば、最大1390Lまで拡大できる。リヤハッチゲートを足のジェスチャーによって自動的に開閉できるのもうれしい気遣いだ。

新型『A8』と同じセンサーを搭載し、あらゆる場面でドライバーをサポート

『A7 Sportback』は『A8』と並ぶフラッグシップ。センサー類も『A8』と同で、5つのレーダーセンサー、5つのカメラ、12の超音波センサー、1つのレーザースキャナーと、最大で合計23個に及ぶ。ここから得られた情報を車載コンピューターが照合分析して、クルマの周囲の環境モデルを常時算出。各種ドライバーアシスタンスシステムにより、さまざまな場面でドライバーをサポートしてくれる。

具体的には、交差点など視界の悪い状況で車両前方を横切る車両を監視し、必要に応じてドライバーに段階的に警告を与える「フロントクロストラフィックアシスト」、万が一の車両側面からの衝突にも備える「プレセンス360」、さらに、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、アクティブレーンアシスト(ALA)、トラフィックジャムアシストの3つの機能を統合した「アダプティブドライブアシスト(ADA)」などを備えた。

特に、「ADA」は秀逸だ。今回は法律との兼ね合いで見送られたが、『A8』と同様に、『A7 Sportback』は「レベル3」の自動運転実現を見据えて開発されている。それだけに、「ADA」は非常に洗練されており、自然でスムーズな加減速やステアリングアシストに仕上がった。

最先端の機能だけじゃない。『A7 Sportback』は自ら操る愉しさにもこだわる

「ADA」をはじめとした高度なドライバーアシスタントシステムは、高速道路の渋滞時に疲労を軽減してくれたり、万が一の事態で事故の可能性を減らしてくれたりする。とはいえ、『A7 Sportback』に魅力を感じるカーガイなら、自らステアリングを握る愉しさにもこだわりたいはずだ。もちろん、プレミアムスポーツ4ドアクーペだけに、そこは抜かりない。

心臓部には3.0L V6「TFSI」エンジンを採用。直噴、Bサイクル、ツインスクロールターボ過給といった最新のエンジンテクノロジーにより、最高出力250kW(340 hp)、最大トルク500 Nmを発生させ、0ー100km/h加速は5.3秒を実現した。また、このエンジンにはマイルドハイブリッドドライブシステム(MHEV)が組み合わされ、実際の走行条件で100km走行あたり最大0.7Lの燃料消費を削減。これに、7速SトロニックトランスミッションとAWDクラッチを採用する最新のquattro4輪駆動システムを組み合わせることで、燃料消費量12.3km/L(JC08モード)を達成した。

ハンドリングでは、ステアリングの切り角が大きくなるにつれてステアリングレシオが変化するプログレッシブステアリングを全モデルに設定。また、新しく「ダイナミックオールホイールステアリング(AWS)」がオプション設定されている。

「AWS」は、時速60km/h以下の低速で後輪が前輪と反対の方向に操舵され、パーキング時や市街地を走行している場合の取り回し性を改善。ステアリングを最大限切った場合の回転半径は0.5m小さくなる。一方、60km/h以上の速度で走行している場合は、後輪は前輪と同じ方向に操舵され、直進性や車線変更時の操縦安定性を向上させる。

足回りは、多くの部分をゼロから新設計したサスペンションが採用された。スチール製スプリングを備えた標準的なサスペンション、もしくは車高を10mm下げたスポーツサスペンションを選択でき、さらに減衰力を調整できる「ダンピングコントロールサスペンション」は「AWS」とのセットオプションとして準備された。

これらのこだわりにより、応答性と乗り心地が大きく向上。ワインディングロードではダイナミックで俊敏なハンドリング性能で、長距離の高速走行ではラグジュアリーな快適性で、満足できるドライビングプレジャーを堪能することができるだろう。

『A7 Sportback』の価格は988万円から。導入時には2種類の限定モデルも

気になる価格は、『A7 Sportback 55 TFSI quattro debut package』が988万円、『A7 Sportback 55 TFSI quattro S line』が1066万円(税込み)。

また、導入時には、エクステンデッドレザーのインテリア、バング&オルフセンサウンドシステム、ダイナミックオールホイールステアリング(四輪操舵システム)、ダンピングコントロールサスペンションなどのハイグレードな装備を満載した2種類の限定モデル(合計250台)も発売する。こちらはそれぞれ1058万0000円、1161万0000円だ(税込み)。

直接のライバルは、言わずもがな三代目へと進化したメルセデス・ベンツ『CLS』だ。プレミアムスポーツ4ドアクーペという存在を生み出した元祖に、どこまで迫れたのか、また追い越せたのか。購入を検討するカーガイにとっては、うれしい悩みが増えそうだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) AUDI AG.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
the new Audi A7 Sportback オフィシャル動画

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