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第47回 | 大人ライダー向けのバイク

50周年を祝う美しきベスパ──特別仕様のプリマベーラ

「プリマベーラ(Primavera)」とは、ルネッサンス期のイタリア人画家サンドロ・ボッティチェッリによる絵画の名で、イタリア語では「春」を意味する。その名のとおり、累計生産台数3万7000台を誇るイタリアンスクーター『ベスパ プリマベーラ』は、メーカーのピアッジオに春をもたらし、「Vespa」の名を世界に広げた記念すべきモデルだ。2018年は、その『プリマベーラ』の誕生から50周年にあたるメモリアルイヤー。それを記念してピアッジオが用意したのが『Yacht Club』と『50th Anniversario』の2台のスペシャルモデルである。

『ベスパ』の歴史上、もっとも成功したベストセラーモデル『プリマベーラ』

『プリマベーラ』はピアッジオにとって特別な存在だ。初期型が発表されたのは今から50年前の1968年。『ベスパ』の歴史上、もっとも成功したモデルといわれている。

1882年に船舶用の部品製造からスタートしたピアッジオが『ベスパ』の第一号モデルを発表したのは、第二次大戦が終結した1945年のこと。イタリアはその2年前、連合国軍に降伏していたものの、国内では混乱状態が続いていた。そんなかで、創業者の後を継いだ息子のピアッジオ・エンリコ氏が復興の足がかりとして立ち上げたプロジェクトが『ベスパ』だった。

またがらずに着座できる薄いステップボード、エンジンやメカ部分をすっぽり覆うシート下のボリュームはメリハリが利いていた。そのプロトタイプを見たエンリコ氏が「まるでペスパ(スズメバチ)じゃないか」と叫んだことが『ベスパ』という名の由来となった。

設計したのは航空エンジニアだったコラディノ・ダスカニオ氏。『ベスパ』が持つ頑丈なスチールのモノコックボディ、片持ち式のフロントホイールといった特徴には、航空機設計の技術が生かされているわけだ。むろん、その思想は現行モデルにも受け継がれている。

新型『プリマベーラ』をベースに作られた2台の誕生50周年スペシャルモデル

往時の『ベスパ』と現行モデルとの大きな違いは、2ストロークエンジン+ハンドルシフトのMTに代わって、4ストロークエンジン+ATが採用されるようになったことだろう。

余談だが、2ストローク時代は給油時にライダー自身が付属のメスシリンダーを使ってガソリンにオイルを混ぜなければならず、焼きつきを恐れて混合比率を濃くするユーザーも多かったため、リア周りは常にオイルでベタベタに汚れていた(それも『ベスパ』らしさだった)。

スペシャルモデルとして登場した『Yacht Club(ヨットクラブ)』(メイン写真と上の写真)と『50th Anniversario(アニベルサリオ)』(下の写真)の2台は、7月に日本上陸をはたした新型『プリマベーラ』がベースだ。

新型『プリマベーラ』は、初代を再現するかのような優美なイタリアンデザインをまとい、高輝度のLEDヘッドライト、新デザインのLEDテールランプ、これも新デザインの5スポーク12インチアルミホイール、クローム仕上げのハンドルバースイッチトリムなどを備える。

エンジンは4ストローク空冷単気筒SOHC3バルブに電子制御の燃料噴射。ミッションはATで、ボタンひとつでエンジンが始動するセルスターターを装備する。また、これまで日本市場になかった150ccの『プリマベーラ150』が導入されたのもトピックだろう。

『ヨットクラブ』のベースはこれまで日本に設定のなかった150ccバージョン

『ヨットクラブ』は、『プリマベーラ150ABS』をベースに、品のいいホワイトのボディカラーにネイビーのアクセントを施した特別仕様車だ、

ボディの両サイドに描かれたスペシャル・グラフィック、ブルーペイントのフロントステアリングコラムカバー、ステップボードのラバー・インサートなどに配したネイビーのカラーリングなど、ヨットセーリングの世界観を表現した専用デザインが与えられている。ネイビーのシートに白いパイピングも演出として効果的。しかし、最大のポイントは特別仕様のホイールだ。車体色に合わせたネイビーは、なるほど「ヨットクラブ」のイメージになっている。

もうひとつの『アニベルサリオ』のベースは『プリマベーラ125ABS』。こちらは初代モデルの誕生50周年を祝うべく用意された限定アニバーサリーモデルである。

イタリア語で空色を意味する「アズーロ50」、濃い臙脂色の「マルーン50」という2色の専用ボディカラーまとい、いずれもシートにはボディカラーに合わせたステッチが入っている。イタリア男の視線からすると、ポップなアズーロは未婚女性向き、シックなマルーンは既婚女性向きといったところだろうか。5インチホイールにはグレーのペイントが施され、レッグシールドには専用エンブレムを装着してスペシャル感を演出している。

オードリー・ヘップバーンが映画で乗った『ベスパ』は乗り心地が悪かった!?

価格は『ヨットクラブ』が49万8000円、『アニベルサリオ』は47万5200円(いずれも税込み)。『ヨットクラブ』は発売中で、『アニベルサリオ』の発売は10月を予定している。

これも余談になるが、世界中で大ヒットした1953年の映画『ローマの休日』では、オードリー・ヘップバーンとレゴリー・ペックが『ベスパ』で気持ちよさそうにタンデムして脚光を浴びた。あれは1948年型の『ベスパ125』、通称“フェンダーライト”。リアショックが備えられた最初のモデルだったので、乗り心地は格段に良くなっていたはずだ。

それ以前の『ベスパ』はリアサスがなくリジッドだったため、じつは乗り心地がかなり悪かった。撮影では『ベスパ』をトレーラーに積んで固定していたので関係はないのだが。

Text by Koji Okamura
Photo by (C)
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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