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第20回 | 40代からの身近な病気 内容と対策を知っておこう

心筋梗塞の前兆を正しく理解し、心臓の異常を事前に察知する心構え

心疾患は、がん(悪性新生物)と肺炎に並んで日本人の3大死因に数えられている。中でも心筋梗塞は突然死のリスクが高い心疾患である。狭心症と同じく「冠動脈疾患」に当てはまり、動脈硬化が発症の原因である。
今回のアドバイザー
杉岡 充爾(すぎおかじゅうじ)
日本循環器学会専門医 日本抗加齢学会専門医 すぎおかクリニック院長。
千葉県船橋市立医療センターの救急医療に約20年、最前線で日夜心筋梗塞などの生死に関わる治療に携わり、約10000人の心臓の治療にあたる。病気の前段階で予防できるような医学の重要性を強く感じ、「世の中から心臓病患者を一人でも減らす」というミッションの元に、2014年船橋市にすぎおかクリニック開院。
わずか1年でのべ18000人が通院、誠実で感じに同じ目線で寄り添う人柄が噂となり患者が殺到、満足度100%という驚異のクリニックとしてテレビ、雑誌などに出演。
また、予防医学の点から、食習慣管理を中心に指導する「ヘルスコンサルティング」をエグゼクティブをはじめとした多くの人に提供。
著書に「強い血管を作れば健康になる」、「1日10分!強い血管を作る5つの習慣」、「毎日のカラダが楽になる 最高の疲労回復法」がある。

心筋梗塞の前兆をチェック

心筋梗塞はその前兆を敏感に察知することが重要になってくる疾患だ。以下で前兆を詳しく紹介しているので頭に入れておいてほしい。頭にあるだけで、もしもの時への大きな備えとなるだろう。

症状の特徴をチェック

心筋梗塞の症状は、主症状の「心臓発作」と副症状の「放散痛」に分けられる。

主症状は心臓発作

心筋梗塞の主症状は、突然起こる心臓発作だ。胸の広範囲が「押される」「締め付けられる」感覚と表現されることが多い。痛みというよりは違和感に近いのである。「身の置き場がないような感覚」という方もいる。前兆の狭心症発作の症状は数分で終わるケースから30分ほど続くケースもある。心筋梗塞を起こすと症状は約1日中続くこともある。一度症状がおさまると何事もすっと消え、忘れた頃にまた同じ症状が突然現れるのである。

背中や左肩などが痛くなる「放散痛」

心筋梗塞では放散痛という症状が起こることもある。心臓とはまったく別の身体の一部が心臓発作に起因して痛くなる症状だ。「背中」「左肩」「奥歯」「腰」の痛みが代表的に知られており、中でも「背中痛」を訴える患者は多い。これらの痛みを感じた場合は心筋梗塞の可能性がある。そのほか、
・首元が締め付けられるような感覚
・肩こり
・腕がしびれるような感覚
・胸焼けや吐き気
・寒気
・めまい
などを感じた場合も注意が必要だ。近年では「下痢」や「げっぷ」も副症状として心筋梗塞の前兆に関係しているのではないかと考えられている。

関連リンク:見逃し厳禁!心筋梗塞のリスクはメタボ健診でわかる

発症シチュエーションをチェック

緊張・ストレスを感じたとき

心筋梗塞のリスクは、緊張やストレスを感じたときに高まるという研究結果が2004年に発表されている。52か国、2万4767人(1万1119人の急性心筋梗塞の患者と非患者1万3648人)を対象に社会的ストレスの有無を点数化したもので、精神的ストレスを感じていると心筋梗塞の発症率が1.55倍になることが判明した。

運動・興奮時

運動している時や興奮を覚えた時なども、発症のリスクは高まる。階段の上り下りや普段しないような激しい運動をした時。飲酒した日や翌日、悪夢を見たあと、性行為中や後などの興奮状態のときも心筋梗塞のリスクは高まるのだ。

くつろいでいるとき

上記2つのシチュエーションでの発症ケースが多いことは事実であるが、くつろいでいる時にも発症することが大いにある。家のソファでゆっくりしている時に、いきなり発症したというケースも少なくない。現代医学をもってしても、心筋梗塞を発症するシチュエーションを完全に特定することは困難な現状だ。心筋梗塞はシチュエーションによらず「突然発症する」と思っておくべきであろう。

前兆となる症状は軽く、非常に見分けにくい

心筋梗塞の前兆となる症状は軽いため、心臓専門医であっても前兆を見抜くことは容易ではない。「いきなりだった」「まさかあんなことが前兆だとは思わなかった」は心筋梗塞経験者の多くが口にする感想だ。「心筋梗塞による死亡例のうち、約3分の1が病院搬送前」であるというデータも存在し、早期発見の難しさを物語っている。

もし検査で心筋梗塞の発症がわかったとしても、症状がかなり進行した後であるケースもある。少しでも前項で紹介した心臓発作と放散痛の症状を感じたら迷わずに病院で受診をすることをすすめる。上記で紹介した予備知識と体の症状を照らし合わすことが前兆を見逃さないための1番の方法である。

超重症例の特徴を紹介。すぐに病院へ

以下のような症状がみられる場合は重症の可能性が高い。本人が自ら感じる症状と周りから見てわかる症状にわけて紹介する。

本人が感じる症状

・手足の異常な冷たさ
・大量の冷や汗
・吐き気をもよおし嘔吐
・立っていられないほどのふらつき
・気を失う
本人が感じる症状は上記が代表的だ。もしも2回目以降に同じ症状が出て、前回よりも「強く」「長く」「スパンが短く」感じたら、狭心症が悪化している状況、つまり不安定狭心症で、心筋梗塞への危険性が高まっている状況といえる。

周りから見てわかる症状

心筋梗塞を発症しているかどうかは、本人じゃなくても判断することはできる。
・息苦しそうにハーハーしていて呼吸が荒い
・顔面蒼白(顔色が悪い)
上記が周りから見てわかる症状だ。本人は気がついていないケースもあるため、心筋梗塞の前兆のような症状を訴える身内には特に「きちんと伝える」ということが大切となる。

心筋梗塞の前兆を感じ、まずかかるべきは「循環器内科」

心筋梗塞の前兆を感じたら、まずは「循環器内科」の受診をすすめる。心筋梗塞の治療では、主に心臓カテーテル治療を行う。症状が重篤であればバイパス手術、程度がごく軽いときは薬物療法を行う。また病院選びでは、各分野のスペシャリストを有している病院を選ぶようにしたい。心臓血管外科にいる心臓外科医は心筋梗塞の手術のエキスパートではあるが、手術の際には麻酔も必須となるため手術の成功は「麻酔科医」の腕も大切だといえるからだ。

心筋梗塞にかかりやすい人や時期の特徴

心筋梗塞へのかかりやすさは人によって異なるし、時期によっても変わる。

7つのリスクファクター

リスクファクターとは、特定の病気の発症率を常人よりも高める危険因子のことを指す。心筋梗塞のリスクファクターは以下の7つである。
・高血圧
・肥満
・糖尿病
・高脂血症
・高尿酸血症(痛風)
・ストレス
・喫煙
7つのうち「3個以上」当てはまっていると要注意ゾーンだ。早急な生活習慣を見直し、病院で検査を受けることをすすめる。

かかりやすい年齢

男性・女性とも中高年の発症率が高いという点は男女共通だ。以下では男女別に発症確率が高い人の特徴をまとめている。

男性

最も注意しなければならないのが、老化で血管が脆くなりやすい50歳以上の中高年である。ただ、50歳未満の年齢でも
・高血圧
・メタボ
・ヘビースモーカー
などリスクファクターに当てはまることをしている方の発症のリスクは高まる。

女性

発症率が高い年齢は60歳以上だ。女性は閉経後の発症リスクが高い。閉経をしていなくても「卵巣摘出手術」を受けている女性は、年齢を問わず発症しやすいという統計が出ていることも記しておく。

こんな検査値結果は要注意

人間ドックなどで検査を受けると様々な検査値をみることができる。中でも心筋梗塞発症に関わる検査値は以下だ。
・動脈硬化指数(LDL-C/HDL-C)
・食後血糖値
・ヘモグロビンA1c(HbA1c)
・BMI
・尿酸値
上記の数値が異常値を示していると心筋梗塞の発症の有無に関わらず「心筋梗塞予備軍」であるといえる。

かかりやすい時期

心筋梗塞を最も発症しやすい時期は冬だ。夏の1.5倍の発症率である。これは寒さで血管が縮みやすい事が原因。血管が収縮するとより血管が詰まりやすくなるのだ。

かかりやすい時間帯

心筋梗塞は「突然おこるもの」と思っておくべき病気であることは前述のとおりである。発症の時間帯に関しても基本「四六時中」であるが、中でも「8~10時頃」「20~22時頃」の時間帯に発症しやすいとされている。起床後すぐや就寝時、飲酒時などは脱水症状を起こしやすいので、コップ1杯以上の水を飲むことを心がけることが大切だ。

関連リンク:心筋梗塞の発症率が最も高い時間帯を知る

心筋梗塞を早期発見するための検査の種類

心筋梗塞を早期発見するためには、定期的に検査を受けることが大切だ。検査の方法はいくつがある。初期段階は「運動負荷心電図」、異常なら「冠動脈CT検査」や「RI検査」という流れだ。重症化が予想される場合は「心臓カテーテル検査」を行う。ここでは「冠動脈CT」と「心臓カテーテル検査」の2つをくわしくみていこう。

冠動脈CT

造影剤を注射して冠動脈の状態を評価する検査が、冠動脈CT。冠動脈の形態や、血栓・石灰化などを調べることができるので、早期の段階での心筋梗塞を発見することが可能だ。心臓カテーテル検査と比べて低侵襲・体にかかる負担が少ない検査といえる。検査は20~30分ほどで、費用は3割負担で1万円程度。

心臓カテーテル検査

カテーテルを冠動脈の入り口まで挿入し冠動脈内に造影剤を流し込んでX線撮影するのが、心臓カテーテル検査。血流をリアルタイムで見ることができるため、冠動脈内の詰まりや場所などを正確・確実に診断することが可能だ。造影中に感じる痛みもほとんどない。検査は15~30分ほど。費用は負担の割合や入院日数などによっても変わるが、3割負担で日帰りの検査だと3万4000円前後の病院が多い。

心筋梗塞を未然に予防する 

心筋梗塞を未然に予防するための心がけについて紹介する。

前兆に敏感になる

前兆に敏感になることが、心筋梗塞の早期発見につながる。狭心症の早期症状がみられたタイミングで即座に病院を受診しておくことで、早い段階での治療が可能となる。重症化する前に対処することができるのだ。前兆は前述したとおり軽度で気が付きにくく忘れやすい。しかし、こんなことで病院へ行ってもいいのだろうかと遠慮する必要はない。危険を感じたら躊躇することなく病院へ行くべきである。

事前に予知することはできるのか

前兆から心筋梗塞の発症を予知することは、最新医学をもってしても困難だ。しかし、数ある前兆の中には心筋梗塞の疑いありと断定できるものも少なからずあるという専門家もいる。

関連リンク:心筋梗塞の予知は不可能?知っておくべき前兆とは

動脈硬化が起こりにくい生活をする

動脈硬化になってから生活習慣を変えるのでは遅い。動脈硬化を発症しにくい生活を心がけ、実践することが大切である。

禁煙する

心筋梗塞のリスクを高める喫煙だが、およそ2年禁煙することで発症のリスクを減らせるといわれている。喫煙は動脈硬化や高血圧だけにとどまらず、肺気腫や肺がんなどの病気の一因にもなるため、早期に禁煙すべきだろう。

食事バランスに気をつける

1日3食、主食・主菜・副菜・その他に分けて30品目をバランスよく摂取する。塩分の多いインスタント食品や加工食品を避け、外食も控えることが大切だ。

有酸素運動を習慣にする

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、心臓や肺のポンプ機能を鍛え、全身の血行を促進する。ウォーキングでは背筋を伸ばして歩幅を広く、息が上がるくらいの速度で30分ほど歩くだけでも効果がある。

関連リンク:心筋梗塞の予防に役立つ、体の動かし方を知る

ストレスフリーな生活を心がける

強い精神的なストレスや睡眠不足は血圧を上昇させるため、心臓に負担をかけることになる。趣味や運動でストレスの発散口を確保することや、ストレスを受け取らないマインドセットをすることが意外と重要だ。

関連リンク:お風呂の入り方にも注意!安全な入浴方法を知る

健康診断を毎年受ける

毎年心電図の検査を受けて心臓の状態を把握しておくことが大切だといえる。専門の医師による定期的なチェックが予防に繋がるのだ。

関連リンク:家庭での健康管理も大切!家庭用血圧計の選び方を知る

もしもの場合。心筋梗塞の治療法

心筋梗塞の治療法を見ていこう。

冠動脈カテーテル治療

腕または足の付根の動脈から入れて心臓の冠動脈まで達した管を風船のように膨らませて冠動脈を拡げる方法が冠動脈カテーテル治療だ。心筋梗塞の代表的な治療である。低侵襲のため、治療中の痛みも少なく回復も早いことがメリットだ。デメリットは、冠動脈の血管全域の改善ではなく部分的な治療となるため、別の部位に狭窄が起きてしまう可能性があることだ。

外科治療(手術)

心筋梗塞の外科治療として行われるのが、「冠動脈バイパス手術」だ。症状が重篤な場合には、外科治療が必要になってくる。

冠動脈バイパス手術

自分の血管を使って詰まった冠動脈にバイパスを作り冠動脈の血流を改善させる方法が、冠動脈パイパス手術。血管そのものを取り替えるため、再発のリスクが低いというメリットがある。デメリットは、侵襲が大きいため回復までに時間を要することや、熟練した技術が必要なために手術できる場所が限られてしまうことだ。

薬物治療

初期の心筋梗塞や狭心症でごく症状が軽い場合に使用されるのが、薬物療法。「抗血小板・抗凝固薬」「血管拡張薬」「血圧降下薬」などがある。

抗血小板・抗凝固薬

血管にできた血栓を溶かすことを目的に抗血小板薬、抗凝固薬を投与する。

血管拡張薬

冠動脈を広げて血流を良くする働きと全身の血管を同時に広げて心臓の負担を軽くする働きがあるのが、血管拡張薬である。

血圧降下薬

名の通り、血圧を下げるための薬が、血圧降下薬。心筋梗塞の発作を抑える作用が期待できる。

関連リンク:心筋梗塞を発症したらどうなる?治療法を詳しく知る関連リンク:創作と思うなかれ!意外と多いセックス中の腹上死関連リンク:日本心臓病学会公式ホームページ

心筋梗塞を詳しく解説。「冠動脈疾患」の1種 

心筋梗塞は「冠動脈疾患」とよばれる病気の1種であり、よく似た病気には「狭心症」がある。

冠動脈とは

冠動脈とは、心筋(心臓の筋肉)に酸素や栄養素を送るための血管のことだ。左冠状動脈と右冠状動脈の2本に分かれているが、左冠状動脈は前下行枝と回旋枝の2本に分かれているので冠動脈は合計3本あることになる。

冠動脈疾患の種類

「狭心症」と「心筋梗塞」の2つが、冠動脈疾患に当てはまる病気だ。

狭心症

心臓の冠動脈が狭くなり血液が流れにくくなることで起こる症状が、狭心症。「安定狭心症」と「不安定狭心症」の2つの症状の起こり方がある。「安定狭心症」の場合は、症状が起こる状況がある程度予想できる場合のことをいう。一方で、「不安定狭心症」は、症状が起こる状況が予想できず、状態が不安定にて心筋梗塞になりやすい状況のことだ。後者の場合は、すぐに入院するなど厳重な治療が必要になる。

心筋梗塞

冠動脈に血液がまったく流れない症状が心筋梗塞である。心筋に血液が届かないので心筋が壊死してしまう危険な状態だ。簡単にいえば、心筋梗塞は狭心症が悪化した状態といえる。日本では、年間約10万人が急性心筋梗塞を発症し、うち3~4万人が死亡している。

しかしだからといって狭心症が安全な状態であるとはいえない。一口に狭心症といっても、3本ある冠動脈のうち「どこが」「何本」「どの程度」狭くなっているのかによって症状の重さは異なるからだ。範囲と場所によっては重篤な症状を引き起こすことも珍しくはない。

心筋梗塞の前段階は不安定狭心症。その原因は「冠動脈の攣縮」と「動脈硬化」

不安定狭心症が進行した状態が心筋梗塞であることは前述のとおり。その不安定狭心症が発症する原因と、心筋梗塞の症状が重篤化する原因は「冠動脈の攣縮」「動脈硬化」の2通りある。
「冠動脈の攣縮」は文字通り、冠動脈が瞬間的に痙攣して、心筋の酸素が一時的に酸素不足を引き起こすものだ。ここでは「動脈硬化」についてくわしくみていく。

動脈硬化とは

動脈の壁が厚くなったり固くなったりすることで、血管本来のしなやかさや柔軟性が失われた状態のことだ。血管内部の脆くなった部分に悪玉コレステロールが溜まり、「粥腫(じゅくしゅ)」という塊ができることが主な原因だ。粥腫は別名「プラーク」とも呼ばれる。何らかの原因で破れたプラークを覆うように血栓が集まって血管幅を狭めた状態が、不安定狭心症である。より大きな固まりとなって、完全に閉塞した場合が心筋梗塞となる。

動脈硬化の原因

動脈硬化の原因は上記で紹介したプラーク以外にも、
・高血圧
・糖尿病
・喫煙
・肥満
などがある。高血圧や糖尿病になると血管が傷つきやすくなるため、固くなりやすい。喫煙は血管を収縮させるため、代謝を悪化させプラークを増やすことになる。肥満になると、血中の脂を減らす善玉コレステロールが減少してしまうのだ。

4大因子

動脈硬化を引き起こす因子としては、「過食」「労作」「寒さ」「喫煙」が4大因子として知られている。

監修協力
すぎおかクリニック 

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