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第7回 | 備えとして知っておきたい。介護とお金の基礎知識

世代によってサービス範囲が違う? 知っておきたい介護保険の基本

2000年4月に施行された、社会全体で介護を支えるための公的保険制度「介護保険」。40歳以上の男性なら、すでに保険料を支払っているはずだが、介護保険がどのようなしくみになっているのか、知っている人は少ないだろう。親の介護を考えるうえでも知っておきたい介護保険の基本について、一般社団法人マイライフ協会の児玉浩子さんに聞いた。
今回のアドバイザー
児玉浩子さん
一般社団法人マイライフ協会
一般社団法人マイライフ協会代表理事。行政書士、ファイナンシャルプランナー(AFP)などの資格を持つ。講演活動や個別相談を通し、高齢者の老後の生活支援に努めている。著書に『99%の人が知らない 老後の安心をデザインする方法』がある。

1割~3割負担で各種サービスが受けられるが、利用条件は年齢により異なる

被保険者が納める保険料と、国や自治体から出される公費が財源となる介護保険。まずは、その概要についておさらいしておこう。

「介護保険制度は、市区町村が運営する制度です。国民は40歳になると介護保険への加入が義務付けられ、保険料を支払うことになります。介護保険料を納めている人であれば、一定の介護サービスを1割から3割の自己負担で利用することができます。残りの費用は、介護保険制度の財源である公費と保険料から半分ずつ支払われることになります」(児玉さん、以下同)

ここで注意しておきたいのが、被保険者の年齢によってサービスの利用条件が異なる点。「第1号被保険者」と「第2号保険者」に分類されるというが、具体的には、どのような違いがあるのだろう。

「65歳以上の人が第一号被保険者に該当し、要介護となった原因を問わずサービスを受けることができます。しかし、40歳から64歳までの第2号被保険者は、関節リウマチや認知症などの特定疾病16種類が原因の場合に限り、介護保険のサービスを利用できます」

一般的な「介護が必要になる年齢」を考えれば、この区分で十分と思われるが、万が一若いうちに介護が必要になった場合には、あらかじめ利用できるサービスを確認しておくべくだろう。

介護を受ける場所や要介護者の状態によって、選べるサービスの種類が異なる

続いては、介護保険の範囲で利用できるサービスの種類について。児玉さんによれば、大きくわけて次の3つに分類されるという。

(1)居宅サービス

主に自宅にいながら受けられる介護サービスのこと。ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、入浴などの日常生活の介助を行う「訪問介護」、医師の指示を受けた理学療法士が利用者の自宅を訪問し、心身機能向上のためのリハビリをおこなう「訪問リハビリテーション」、利用者が介護老人保健施設や病院に日帰りで通い、食事、入浴、排せつなどの生活上の介護を受ける「通所介護(デイサービス)」など。介護老人福祉施設に短期間入所する「ショートステイ」や、自宅の介護環境を整えるための福祉用具の貸し出しも、居宅サービスの範囲に含まれる。

(2)施設サービス

常に介護を必要とする人が利用する特別擁護老人ホームや、リハビリに重点を置きたい人が利用する介護老人保健施設などの介護保険施設に一定期間入所して受けるサービスのこと。

(3)地域密着型サービス

市区町村が指定した事業者が、その地域に住む利用者を対象におこなうサービスのこと。内容は市区町村によって異なる。定員29人以下の小規模で運営される介護付き有料老人ホームや、認知症の人が少人数で共同生活をしながら認知症の緩和を図る高齢者グループホームなど、柔軟なサービスを提供している場合が多い。

実際には、この3つのサービスを条件にあわせて、使いわけていくことになるようだ。

「要支援」の段階では受けられないサービスも。まずはケアプランの作成が大切

とはいえ、自治体が認定する要介護者の“段階”によって、受けられるサービスに制限があるというから、ここも注意しておきたいところ。大きな境目となるのは「要支援認定」と「要介護認定」だという。

「要支援認定では、施設サービスの利用ができません。また、要介護認定を受けた場合でも、数値で示される段階によって、利用できるサービスに制限がある点にも注意が必要でしょう。たとえば、特別擁護老人ホームについては、原則として要介護3以上からの利用となります」

つまり、介護保険を利用するためには、まず要介護度の認定を受ける必要があるというわけだ。さらに、そこから、どのようなサービスを受けるのかをまとめた「ケアプラン」を作成する必要もあるという。

「要介護認定の申請は、市区町村の介護保険の窓口、地域包括支援センター、入院している場合には病院の医療福祉相談室などでおこないます。さらに認定を受けたあとで、どの介護サービスを受けるのかをまとめた「ケアプラン(介護サービス計画書)」を作成する必要があります」

もちろん、この「ケアプラン」は自分たちで作成しなくても大丈夫。要介護者は居宅介護支援事業所のケアマネジャーと契約し、プランを作成してもらうのが一般的だ。ケアプランが完成すれば、サービス内容やサービス事業所を調整し、介護保険サービスが提供されることになる。

しくみや手続きだけをまとめると、かなり煩雑な印象を受けるかもしれない介護保険。しかし、実際には相談窓口もたくさん用意されているので、わからないことがあったら、まずは気軽に相談してみると良いだろう。

最後にアドバイザーからひと言

「市区町村の窓口では、要介護認定の申請受付や書類作成支援を行っているほか、地域包括支援センターやケアマネジャーの事業所一覧の情報提供を受けることができるので、積極的に活用すると良いでしょう」

Text by Yurie Matsumoto(Seidansha)
Edit by Kei Ishii(Seidansha)

取材協力
一般社団法人マイライフ協会

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