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第6回 | 備えとして知っておきたい。介護とお金の基礎知識

初期費用だけで平均80万円。在宅介護のコストを考える

40代に突入し、いよいよ現実味を帯びてきた“介護”。要介護者の意向や家庭の事情で、自宅での介護を選択肢に入れている人も多いだろう。その一方で、在宅介護にはどれくらいの費用がかかるのか、何が必要なのかなど、不透明な部分が多いのも正直なところ。一般社団法人マイライフ協会の児玉浩子さんに在宅介護とお金の関係について聞いた。
今回のアドバイザー
児玉浩子さん
一般社団法人マイライフ協会
一般社団法人マイライフ協会代表理事。行政書士、ファイナンシャルプランナー(AFP)などの資格を持つ。講演活動や個別相談を通し、高齢者の老後の生活支援に努めている。著書に『99%の人が知らない 老後の安心をデザインする方法』がある。

住み慣れた家での介護ができる在宅介護、初期費用で80万円かかるケースも

介護スタイルのひとつとして、要介護者が住み慣れている場所でケアをする「在宅介護」を想定する人は多いだろう。そこで気になるのが、在宅介護にかかる費用だ。2015年度に生命保険文化センターがおこなった調査(※)によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、初期費用に平均80万円、月々の費用は平均7.9万円かかるという。はたしてどのようなことに費用がかかるのか、まずは具体的な内訳を聞いてみた。

「初期費用の代表的な例は、自宅の段差を解消するバリアフリーへのリフォーム。また、ポータブルトイレや入浴用品などの福祉用具の購入も事前準備として必要になります」(児玉さん、以下同)

介護に必要な介護ベッドやトイレ用の手すり、歩行器、車いすなどの福祉用具はレンタルを利用するケースが多いという。

「在宅介護の場合は、家族の不在時に介護ヘルパーを依頼するほか、介護施設へのショートステイ費用など、介護サービスの利用にもお金がかかります。また、サービス付き高齢者向け賃貸住宅に住む高齢者の場合も在宅介護を指します。在宅介護は『施設介護以外の介護』と考えると、その費用はまちまちですね」

家庭の環境や要介護者の健康状態によっても費用には差が生じるが「自宅であれば、毎月の部屋代がかからない点や、高齢者の住み慣れた家で介護を受けられる点」にメリットがあるという。

在宅介護の事前準備には介護保険の利用が必須

いずれにしても多額の出費が想定されるため「在宅介護の場合は公的介護保険の活用が大前提」となる、と児玉さん。公的介護保険とは、介護が必要になった際にさまざまな介護サービスを受けられる社会保険制度だ。

「公的介護保険を利用すれば住宅修繕費として上限20万円のうち自己負担割合分を除く7割から9割が支給されます。そのほか、福祉用具の購入は年間で10万円の購入費のうち自己負担割合分を除く7割から9割が支給されたり、公的介護の介護サービスとして、ホームヘルパーに訪問してもらい、食事や排せつ、入浴や家事などの援助を受けることができます」

また、介護ベッドなどの福祉用具のレンタルは介護保険の自己負担分(1〜3割)でまかない、地域密着型のデイサービスやショートステイなどの福祉施設も利用することが可能だという。

「公的介護保険を受けるためには、各自治体に申請をして、要介護認定を受ける必要があります。要介護度は、要介護認定等基準時間と高齢者の健康状態によって判定され、それらをもとに、公的介護保険からの支給限度額が決まります」

たとえば、高齢者の「立ち上がりや歩行が不安定で、排せつ、入浴などに一部、介助が必要。ひとりで外出するのが難しい」状態で介護に「32分以上50分未満」の時間がかかるならば「要介護1」と認定されるなど、こまかく区分されているという。以下が要介護度と区分支援限度額の一覧だ。

●要支援1:5万30円
●要支援2:10万4730円
●要介護1:16万6920円
●要介護2:19万6160円
●要介護3:26万9310円
●要介護4:30万8060円
●要介護5:36万650円

各市町村のホームページなどに認定調査を受ける方法などが公開されているので、事前に調べておくと良いだろう。

自治体が提供している支援サービスの活用もオススメ

公的介護保険のほかにも、自治体が提供している介護支援サービスは多数あるため、ぜひ活用してほしい、と児玉さん。

「食事の宅配サービスや電磁調理器、火災報知器などの給付。高齢者住宅改修費助成、高齢者おむつ支給、福祉タクシーによる在宅高齢者移送サービス費用の助成などが、主な自治体支援サービスです。ただし、自治体支援サービスは地域によって差があります。現段階で支援や介護が必要ではなくても、親の住んでいる地域の地方公共団体について調べておくと安心ですよ」

介護保険をはじめ、施設介護よりも費用を抑えるための工夫ができる在宅介護。しかし、その状況ゆえに行き詰まりを感じることもあるそう。

「家族が在宅介護をする場合、介護者に精神的・身体的な負担がかかります。さらに、介護をするために介護離職をする可能性も高いので、ご家族間でしっかり話し合う必要があります」

在宅介護のメリットとデメリット、それぞれを理解したうえで、介護のスタイルを決めていく必要がありそうだ。

※…生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/4.html

Text by Miki Ohnuki(Seidansha)
Edit by Kei Ishii(Seidansha)

取材協力
一般社団法人マイライフ協会

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