pixta_31720618_S(2)
- 備えとして知っておきたい。介護とお金の基礎知識 -

格差はどれほど? 「介護施設」の種類とサービス内容

「親が遠くに住んでいる」、「仕事が忙しい」などの理由で在宅介護ができない場合の選択肢となる「介護施設」の利用。しかしひと口に「介護施設」といっても、規模や価格、サービス体制などさまざまだ。たとえば公的施設と民間施設とでは、どれくらいの違いがあるのか。介護施設の種類とサービス内容について、介護業界専門コンサルタントの齋藤直路さんに聞いた。

今回のアドバイザー

齋藤直路さん

株式会社スターパートナーズ代表取締役・介護業界専門コンサルタント

介護業界専門コンサルタントとして介護事業の改革や行政等の委員会委員を務め、講演や研修なども多数。介護事業経営に関する一般社団法人介護経営フォーラム・代表理事でもある。著書に『はじめてでもわかる! 介護施設&老人ホームの探し方・選び方』(サンライズパブリッシング)がある。

大きく2種6パターンにわかれる介護施設。それぞれの特徴は?

運営主体、目的、サービス、入居条件などによって、さまざまな種類にわかれるという介護施設。具体的には、どのようなものがあるのだろう。

「まず介護施設は、運営母体が公的機関か民間かで2分することができます。さらに、そのなかでも、入所条件やサービス内容により種類がわかれます」(齋藤さん、以下同)

とのこと。以下に、その種類を整理しておこう。

1)介護保険施設

主に自治体や社会福祉法人が運営する公的な施設の総称。民間施設に比べ、入所条件や滞在期間に制限がある場合が多い。

●特別養護老人ホーム

原則として要介護3以上、自宅で介護できない65歳以上が入居できる。24時間、生活上の世話を受けられるのが特徴。これまでの「施設」というイメージとは異なった、家庭的な雰囲気と個室での生活環境が整った「ユニット型」と呼ばれる種類も増えている。

●介護老人保健施設

退院後、すぐに自宅に戻れない人が対象。リハビリを行なって自宅に帰ることを目的とする。医師が常駐していて、症状が悪化しても診察や治療を受けられる。ただし、自宅へ帰ることが目的なため、原則3カ月間という決まりがある。

●介護療養型病床

長期にわたって療養が必要な人のための施設。病院や診療所に併設、隣接する形で設けられている。

2)有料老人ホーム

主に株式会社が運営する民間施設の総称。介護保険施設に比べコストはかかる傾向があるが、種類も多様で選択の幅も大きく、融通がきく場合もある。また、公的介護保険が適用される施設もある。

●介護付き有料老人ホーム

その施設内で介護保険を利用したサービスを受けられる点が特徴。施設に勤務するケアマネージャーがケアプランを作成し、スタッフがサービスを提供する。

●住宅型有料老人ホーム

施設スタッフによる見守り、食事の提供、掃除・洗濯、レクリエーションなどを提供。介護が必要になった場合、介護保険が適用できる外部のサービス業者を利用する場合が多い。

●グループホーム

認知症と診断され、自宅で生活できない人が介護職員の援助を受けながら、共同生活を送る施設。要支援2と要介護と判定された人が入居できる。

有料老人ホームは月額10〜40万円程度。入居一時金が必要になることも

ここで、いちばん気になるのが費用の問題。民間が運営する有料老人ホームと、公的な介護保険施設では、費用にどのくらいの違いがあるのだろうか。

「有料老人ホームの多くでは、入居一時金を設定しています。金額は50万円から最高で1億円という場合もあります。月額料金の内訳は、居室利用料、介護費、食費、管理費、水道光熱費、サービス費、消耗品費など。施設によって10〜40万円とかなり開きがありますね」

また、おむつ代、個別外出、週4回以上の入浴介助などのサービス内容をオプション料金としてさらに支払わなければならない施設もあるので、入居前にしっかり確認すべきという。

「一方の介護保険施設では、入居一時金の制度はありません。ただし、居住費、食費などは自己負担となりますので、入居後にそれらの費用を支払うことになります。金額は全国でほぼ均一化されていて、特別養護老人ホームのユニット型と呼ばれる個室に要介護度3の人が入る場合、居住費は約6万円、食費は約4.2万円、介護サービスが費用2万2860円と、介護保険1割負担と想定して、月額12万3360円です。ちなみに相部屋を選ぶと、1カ月8万7000円となりますので、月に10万円程度必要だと考えた方がいいかと思います」

ケアマネージャーに頼り切りになりすぎないよう注意が必要

専門の介護施設で面倒を見てもらうことによる最大のメリットは、介護者である家族の負担軽減だろう。齋藤さんによれば、さらに介護される側のメリットも大きいという。

「専門家が介入することで、疾患の特徴が把握できますので家族の理解も進みます。また、一般的に介護施設に入ると、介護・看護・リハビリ・栄養の専門家がいるため、生活リズムが安定し、栄養状態も改善するので、回復するケースも多いといえます」

もちろん、メリットばかりではない点には注意しておく必要があるとも。

「まず介護施設やサービスの種類がとても多いので、業界をまったく知らない一般消費者の目線では、どの施設、どのサービスがいいのか見分けることが大変困難です。よって、結果的に月額いくらかかるのかなど、費用負担の見通しが立ちづらい面もあります。また、多くの人がケアマネージャーに頼り切りになりがちになる傾向があります。実は、ケアマネージャーには多様なバックグラウンドがあります。その方の経験や法人内の事業内容によって、バイアスがないとも言い切れない面もあるようです。確かに複雑な制度設計のなかで、難しいことでもありますが、疑問点はケアマネージャーや行政等の専門家に積極的に質問してほしいです。また、自分でもある程度判断ができるように調べたり、さまざまな人のアドバイスを聞いてみましょう」

コスト面だけでなく、介護する側される側の考えによっても、選択肢はさまざま。いずれにしても、介護施設の利用を検討する際には、事前にある程度のリサーチをしておくことが重要になるだろう。

最後にアドバイザーからひと言

「疑問点は遠慮なく聞くこと。介護施設選びに焦りは禁物ですが、納得がいく施設探しのためにも親が元気なうちからぜひ検討を始めてみてください」

Text by Akihiro Fukuda(Seidansha)
Edit by Kei Ishii(Seidansha)