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第2回 | 備えとして知っておきたい。介護とお金の基礎知識

介護離職、その前に。介護を支援する休業・給付金制度の実態は?

親の介護をするために、転職や離職を強いられるケースは少なくないもの。働き盛りとしては、いわゆる「介護離職」の問題も、介護を考えるうえで避けては通れない。そこでおぼえておきたいのが、介護にあたる労働者の権利として与えられている休業や給付金の制度だ。詳しい話を専門家に聞いた。
今回のアドバイザー
太田差惠子さん
介護・暮らしジャーナリスト
ファイナンシャルプランナー(AFP:日本FP協会認定)。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」などの視点で、さまざまなメディアを通して情報を発信。『親の介護には親のお金を使おう!』(集英社)など、著書多数。また、子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、法人化するなど、幅広く活躍する。

年5日休める介護休暇と年93日休める介護休業

親の介護が必要になると、仕事を休まなければならないケースも出てくる。そこでおぼえておきたいのが、国が定めた「介護休業制度」。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんによれば、介護休業制度は「介護休暇」と「介護休業」に分類されるという。

「介護休暇とは、仕事と介護の両立をサポートするための制度。要介護状態の家族の介護や世話をする労働者に対して与えられた権利です。1年に家族1人につき年5日、2人以上なら10日間取得可能になっています。半日単位での取得も可能なので、『まる1日休むのはちょっと難しい…』という人にオススメです」(太田さん、以下同)

とはいえ、年に5日の休暇では、満足な介護ができないと考える人も多いはず。そんな場合に利用したいのが「介護休業」だ。

「介護休業とは、身体・精神上の負傷や疾病、障害によって、2週間以上にわたり(常時介護が必要な状態の)家族を介護するための休業のこと。介護休暇と似たような名前ですが、大きな違いは仕事を休むことのできる日数です。介護休業では年間93日(3回を上限に分割可能)まで休むことができます」

介護休暇、介護休業はともに、日雇い労働者など一部を除き、パートを含め、ほとんどの労働者が対象となる。

休業中も賃金の67%がもらえ、企業独自の介護支援制度も

前述のように、介護休業制度を利用すれば介護のための時間を増やすことができる。しかし、休んでいる間の介護費用や生活費はどうすればよいのか? もちろん、この問題をサポートする制度も用意されている。一定条件を満たすことで、所得保障を受けることができるのだ。

「介護休業中は、通常、無給ですが、『介護休業給付金』として、雇用保険から賃金の67%の給付(通算93日まで)を受けることができます。ただしこれには、休業前2年間のうち、雇用保険に原則12カ月以上加入していることなどの要件もあります。介護休業を分割して取得する場合は、支給も分割されます」

また、こうした介護休業制度を利用した公的な所得保障以外にも、民間企業が独自に介護支援制度を設けている場合もあるので、それらも上手に活用したいところだ。

「最近は『介護補助金サービス』や『家事代行補助制度』などを実施している企業も増えてきました。おむつの購入費や、遠距離介護の場合に交通費の一部などを助成するメニューを用意する企業も。勤務先の福利厚生サービスのメニューも確認してみましょう」

介護休業手続きは会社へ、給付金申請は会社からハローワークへ提出

最後に、介護のための休業や給付金申請の手順について聞いた。

「介護休暇・介護休業したい場合、申請は会社に対しておこないます。会社規定の申請書に必要事項を記入し、提出してください。会社によっては、有給休暇からの取得など、相談対応しているところもあります。介護休業を使うなら、このタイミングで介護休業給付金の申請を行ってもらうように依頼しましょう。介護休業給付金を取得するためには、会社が『介護休業給付金支給申請書』『雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書』などをハローワークに提出する必要があります」

手続きはやや面倒だが、得られるメリットはかなりなもの。近い将来、介護をする必要が出たときに備えて、ぜひおぼえておこう。

最後にアドバイザーからひと言

「介護離職は、退職金や将来の年金額にも影響します。自分自身の生活設計が大きく崩れてしまう危険性があるので、一時的な感情で決断しないようにしましょう」

Text by Mitsuo Okada(Seidansha)
Edit by Kei Ishii(Seidansha)

取材協力
太田差惠子のワークライフバランス/ 太田差恵子の遠距離介護

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