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第107回 | 大人のための最新自動車事情

この発想は大胆すぎる──ディスコ仕様のEQフォーツー

クルマにはいろいろな顔がある。家族を持つ人には快適な移動手段で、余裕のある大人の男にとっては趣味の領域。作業現場ではクレーン車やミキサー車として活躍し、サードプレイスとしても存在感を高めている。キャンピングカーはその代表だ。つまりさまざまな使い方があるのだが、こういうクルマは相当めずらしいのではないだろうか。先日、メルセデス・ベンツ傘下のsmart(スマート)が『スマート モバイルディスコ』という変わったワンオフモデルをイタリアで公開した。なんとその場をダンス空間にしてしまう超コンパクトEVである。

“移動ディスコ”に改造されたスマートの超コンパクトEV『EQフォーツー』

スマートは「メルセデス生まれのシティコンパクトカー」をキャッチフレーズとするブランドだ。開発当初のコンセプトは、メルセデス・ベンツ『Sクラス』の駐車スペースに2台が収まる小ささ。最小限のボディサイズに、最大限の利便性、快適性、安全性を凝縮させている。

ラインナップは2人乗りの『for two(フォーツー)』と4人乗り仕様の『for four(フォーフォー)』。全長はそれぞれ約2.76m、約3.55mしかなく、ターボモデルも存在する。そのEVバージョンとして2018年春にデビューしたのが、『EQフォーツー』と『EQフォーフォー』だ。

EQはメルセデス・ベンツのEVブランドで、『EQフォーツー』はリアに最大出力81hp、最大トルク16.3kgmを発生する電気モーターを搭載。0~100km/h加速12.7秒、最高速度130km/hの性能を備える。

『スマート モバイルディスコ』は、この『EQフォーツー』を移動ディスコにカスタムしたもの。ミドルエイジにとっては、クラブではなく「ディスコ」を名乗っているところがうれしい。

巨大なアームで空中へと上昇するDJブース、フロントグリルからはスモーク!

デザインを担当したのはドイツのインダストリアルデザイナー、コンスタンティン・グルチッチ氏。手がけた多くの作品がMoMA(ニューヨーク近代美術館)などのパーマネントコレクションに選定されている著名デザイナーだ。

超コンパクトEVの『EQフォーツー』を移動ディスコにカスタムする…。その大胆な発想を実現するのは容易なことではなかったようだ。スマートのオフィシャル動画には、グルチッチ氏が入念に設計する姿や、さまざまなパーツを加工する様子が収められている。

とりわけ苦労がうかがえるのはDJブースだ。ディスコである以上はDJブースが不可欠。しかし、『EQフォーツー』の小さな車体のどこにブースを設置すればいいのか? 答えは空中である。

写真を見ると、車体の後部にクレーン車のような巨大なアームを装着し、その先にゴンドラのようなDJブースが設置されている。このアームを操作することでブースが上昇し、パフォーマンスを盛り上げる仕掛けだ。ブースの下には光で演出するために回転式のスポットライトが装着され、ヘッドライトもさまざまな方向へ光を放つことができる可変式に変更された。

さらに、フロントグリルの奥には、ライブパフォーマンスに欠かせない演出となるスモークを発生させる「フォグマシン」まで設置するという凝りようである。

ミキサーコンソール、プロ仕様の音響システムも完備…ただし一般販売されず

もちろんDJブースには、ターンテーブルやミキサーコンソール、プロ仕様のJBLサウンドシステムなど、DJパフォーマンスに必要なそのほかの機材も搭載する。

車体下部にはLEDウォッシャーが装着され、ホイールはアンダーボディを照らすバックライト付きだ。たしかに、このクルマならどんな場所にも自ら走って駆けつけ、その場をダンス空間に変えてしまうことが可能だろう。

ただし、『スマート モバイルディスコ』は、ドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアムで9月9日まで開催されていた展覧会とのコラボレーションによって製作されたワンオフモデルで、一般には販売されないという。

どうしてもほしいというニーズが高まるようなら、イタリアなどのカスタムビルダーがオーダーメイドで移動ディスコ仕様車を製作するかもしれないが…。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Daimler AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
smart mobile disco オフィシャル動画

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