40男、至高の一皿を求める/NY発、熟成肉ステーキとフレンチ前菜の共演
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NY発、熟成肉ステーキとフレンチ前菜の共演

毎年1000万人以上の観光客が訪れ、最先端の食が堪能できるニューヨーク。近年、このNYから、ステーキハウスやオイスターバー、スイーツなどが続々と日本に上陸している。なかでも、ひと際異彩を放っているのが六本木の『BLT STEAK』である。同店の創業シェフはフレンチで名を馳せた国際的なトップシェフ、ローラン・トゥーロンデル氏。同店は、本場の最高級アメリカンステーキを味わえるのはもちろんだが、前菜にフレンチのエッセンスが散りばめられ、ビストロのテイストも兼ね備えたまったく新しいステーキハウスだ。

ドライエイジングで味わう、選び抜かれた“最高位”牛肉

ステーキハウスである以上、まず重要なのは「どんな肉が使われているか」ということだ。『BLT STEAK』で提供される牛肉はすべてUSDA(アメリカ農務省認定)の格付け最高位で、全体の2〜3%しか与えられないプライムグレード。赤身なのにほどよく脂が乗り、絶妙な柔らかさをもつのが特徴だ。その贅沢な牛肉をじっくりとドライエイジングをかけているのも嬉しいポイントである。余分な水分を飛ばし、アミノ酸を活性化させることで、肉の旨味や風味を最大限に引き出す。

看板メニューは「プライム ドライエイジング ポーターハウス」。アメリカンステーキの代名詞といえるTボーンは、骨のまわりの肉が他の部位と比べて柔らかく、また骨のなかには旨味やコラーゲンを含む「髄液」が流れ、味わいが深い。

『BLT STEAK』のステーキは、アメリカンスタイルに分厚くカットした牛肉を専用の釜で925℃の高温で焼き上げるのが特徴だが、その際にも工夫が凝らされている。5分ほど焼いた後、一度釜から出して休ませ、レアやミディアムなど、焼き加減の希望に合わせてこの工程を繰り返す。そうすることで、旨味である肉汁を閉じ込め、外はカリッと香ばしく、中身はジューシーな極上のステーキに仕上がるのだ。

肉自体が最上級であるため、最初はソースを付けず、そのまま食べることをおすすめしたい。ひとしきり肉の味を楽しんだら、次にソースで変化をつける。定番のステーキソースをはじめ、ビネガーとオリーブオイルに香草と刻んだ玉ねぎを入れたさっぱりとしたチミチュリなど、ソースは8種類以上用意されている。

目と舌で楽しめる趣向が凝らされたフレンチな前菜

この店のもうひとつの魅力はステーキが出てくるまで前菜で存分に楽しませてくれることである。前菜は1品1品の完成度が高いうえ、見た目にもさまざまな趣向が凝らされている。たとえば、氷の上にアボガドとマグロのチョップが乗った「マグロのタルタル」(下の写真)。名物の「ポップオーバー」には、その大きさに驚くに違いない。これはシュークリームの生地のような外見に、中が空洞となっているデニッシュの一種で、同店ではグリュイエールチーズをかけて焼き上げている。こういった料理のプレゼンテーションの高さは、やはりフレンチ出身のシェフゆえだろう。
料理に合わせるアルコールは、ビールならクラフトビールを中心に10種類以上、ワインもカリフォルニアワインをはじめ、前菜にも合わせやすいようフランスなどのヨーロッパワインも取り揃える。白は3〜4種類、赤は7種類前後、すべてグラスでオーダーできる。さらに、オリジナルカクテルも季節に合わせて用意されている。

NYに旗艦店がある『BLT STEAK』は全世界に28店舗を展開しているが、日本人の旅行先の定番、ハワイの店舗は著名人やセレブの間で有名である。泉ガーデン5階にあるこの六本木店は日本初進出となった店舗だ。ドアマンが迎え入れてくれるエントランスをくぐると、天井高が6mもある開放的な空間が広がり、これを円形の少し変わった形のシャンデリアが照らす。
対照的に、今年4月に並木通りロイヤルクリスタル銀座 8階にオープンした銀座店は、シックでモダンな落ち着いた雰囲気。
銀座店のエントランスにある写真は“ウォールストリート・ブル”といい、NYの店舗に飾られているのと同じものだ。この2つの店舗を、接待で利用したり、女性と訪れたり、シチュエーションによって使い分けるのが通の楽しみ方である。ちなみに、デートの際は両店舗ともにある半円になったソファ席を抑えておくといいだろう。アメリカンステーキとフレンチが共演する『BLT STEAK』は、クラシカルなステーキハウスのイメージを塗り替えてくれるに違いない。

Text by Taisuke Seki(euphoria FATORY)