男の嗜み見聞録/横山剣のオシャレ心を刺激する“出会い”とは
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クレイジーケンバンド横山剣「ファッションは頭に描くスタイリング」

「東洋一のサウンドマシーン」として「クレイジーケンバンド」を率いる横山剣さんといえば、ハットにサングラス、そしてイカしたスーツスタイルでお馴染みのハンサム・ガイ。ニューアルバム「もうすっかりあれなんだよね」にからめて、ファッションと音楽作りの関係性を伺った。

頭に描くスタイリングを、そのまんま着こなす

「7月だったら夏のど真ん中だったけど、8月は夏の終わりを感じるので、ジャケットもアリかなと。妄想の葉山マリンリゾートスタイルでね」

この日の剣さんの装いは、なんともさわやか。聞けば、アルバムをイメージしたスタイリングなんだとか。

「ボーダーのボートネックに、白く短いホワイトデニムにスリッポン。スタイリストさんに言ったらそのまんまの感じに仕上がって。頭に描いたものができました」

その“的確さ”に感服するばかり。思えば曲作りに関しても同様。頭に思い描いたものを形にする作業なのだ。

曲作りも、まず明確なイメージから

「今回影響を受けたのはアジアですね。頭を空っぽにするために、バリ島に行ったんですよ。そうしたらスピリチュアルなものだけじゃなくて、経済的なパワーも肌で感じちゃってさ。絶倫でグイグイ来るすごいものが、ええ。力強さと生命力から、日本に帰ってバーッと浮かんじゃいましたね」

曲作りのリソースと共に街角で一目惚れした謎のペンダントもお土産に、帰国したのはこの春先。ちょうどデモテープを作るタイミングだったとのこと。

「何もない状態でスタジオに入って、脳内で覚えていればそれを録音する。最初にメロディやビートありきで、フレーズはハナモゲラ語であることがほとんどですね。それをメンバーに回して、帰ってきたものに言葉を載せる。それは原石を削るような、自動車のライン工場のような」

冒頭の「SOUL PAINT」では70年代ファンクなギターにオマージュを捧げ、2曲目の「開拓者」ではチャールズ・ブロンソンのような“マンダム”なワイルドなビートを刻み、続く「間違いだらけのクルマ選び」では夢と現実の境界線とともに、映画「激突」を意識した迫る危機感を表したという。剣さんの作る曲には、いつも明確なイメージソースがあるのだ。

いかに偶然に出会い、カタチにするか

「それは偶然の出会いから生まれることが多いですよ。たとえばファッションでも、自分で探しに行くっていうよりも、予感のある場所に行く感覚。お店の人に『何をお探しですか?』と聞かれても困っちゃう。何もお探しでないし、強いて言えば出会いをって。予感を信じていく。旅行も目的を決めないで適当に降りた場所であったみたいに。予感まかせなんですよ」

行き当たりばったり出会えたものは、往々にしていいものだとか。だがそれがファッションであれ景色であれ、音楽に変換してしまうのがサウンドマシーンたるゆえん。

「問題は、偶然であったソースをいかに形にするかってことなんですよね。あれこれいじっているうちに、そうなる予定じゃないものになることも多いんです。最終的に生き残ったものが作品になるんですけど、それはほんの一握り。『ああこっちにしておけばよかった』みたいなことも多いんですね、ええ」

Text by Masayuki Kisyu

Photographs by Kazuya Hayashi