ポール・マッカートニー(Paul McCartney)
- 40男が嗜む逸品 -

ポール・マッカートニーがビートルズ時代を語る

4月に『アウト・ゼアー』ツアーの日本公演を実現するポール・マッカートニー。近年のソロ作品はもちろんのこと、ウィングスやビートルズ時代の楽曲まで、50年にも及ぶキャリアの名曲の数々を演奏する音楽史的にも重要な公演となる。2回に渡る本インタビューの第2回目では、来日前に、その出発点となるビートルズ時代のことを語ってくれた。

ビートルズの1stアルバムは、『I Saw Her Standing There』でスタートする。この曲はポール・マッカートニーが仕上げたが、とくにアルバムの1曲目として書かれたものではない。 アルバムの曲順はいつも、メンバー4人とプロデューサーのジョージ・マーティンが膝を突き合わせ、ジグソーパズルのように組み替えながら決めていたという。 ポール「自分がビートルズの一員として、本当にスタートとなったともいえる曲だ。まずジョンに聞かせたんだ。それまでも自分たちには曲が足りないと話していたので、曲が書けると互いに聞かせる、ということをよくやっていた。互いに聞かせて、“最初のフレーズが違うな”などと話しながらすぐにリライトする。そのやり取りを繰り返した結果として、スピーディーに曲が増えていったんだ」 ビートルズ(The Beatles) ビートルズ4人。左からジョージ、リンゴ、ポール、ジョン CURT GUNTHER / Photoshot / ゼータ イメージ ビートルズ(The Beatles) 1964年、エド・サリバン ショーのリハーサル風景 CURT GUNTHER / MPTV / Photoshot / ゼータ イメージ Cavernでのライブ、ファースト・アルバムのリリース…瞬く間にスターダムに上り詰めたビートルズ。 50年代のロックンロールやR&Bを吸収し、リバプールから発信した彼らの曲には、ポップな響きと実験的な要素が密接に結びついている。A面が『Paperback Writer』、B面が『Rain』の組み合わせでリリースされたシングルはその象徴のひとつだ。 ポール「ビートルズのメンバー4人は、『Rain』みたいな曲が好きだった。ちょっとオフビートというか、アンダーグラウンドなテイストがある曲だ。それに比べると、『Paperback Writer』はもっとラジオ向けで、キャッチーだと考えた。曲をカップリングするバランスについて、プロデューサーのジョージ・マーティンといつも熱心に話し合っていたんだ。 『Rain』は最初にかなり速いテンポでレコーディングして、それをスロー再生するという手法をとった。私はよく、テープレコーダーのピッチコントロールを使って実験するのが好きだったので、その遊びをレコーディングスタジオに持ち込んだ。レコーディングのスピード調整をしながら、『Rain』はどのキーにまとめるのがベストか、実験を繰り返した。ラジオでかけてもらえるポップさも必要ということで、『Paperback Writer』を組み合わせた」 ビートルズ(The Beatles) 記者会見でのビートルズ4人。撮影は1964年 CURT GUNTHER / MPTV / Photoshot / ゼータ イメージ ビートルズの大きな特徴のひとつは、シングルのA面のみではなく、キラーチューンがB面からも生まれていることにある。 それは音楽的な幅の広さ、実験をいとわないアプローチの姿勢を裏付けている。そして、ジョンとポールが牽制し合う絶妙なバランス関係も、バンドとしての表現力を豊かにした。例えば、ポールの『Penny Lane』は、ジョンの『Strawberry Fields Forever』へのリアクションとして書かれたのではないかと言われることも多い。 ポール「たしかに、ジョンがいい曲を書いたら、それに負けないいい曲を書こうという意識はいつも持っていた。『Penny Lane』は少しノスタルジックで、ジョンも自分も知っている場所のことを描いた曲だ。ペニー・レーンという実在するバス・ターミナルを舞台にした曲なんだ。ジョンの家に行くときに私はそこでバスに乗ったし、ジョンがうちに来る時もそうだった。 Biolettiという名の理髪店を2人とも知っているし、私はそこのヘアスタイルの写真がアートのように並ぶ風景が好きだったんだ。近くの銀行も消防署も含めて、お互いがそこにまつわるストーリーを共有している。どうやって始まったかは覚えていないが、最後にジョンと一緒に曲を仕上げたということはたしかな記憶として覚えているよ」 ポール・マッカートニー(Paul McCartney) ギターを持つジョンの後に続くポール CURT GUNTHER / Photoshot / ゼータ イメージ ポール・マッカートニー(Paul McCartney) 2013年10月にロンドンのコベント・ガーデンでパフォーマンスを行った Pete Mariner / Retna / Photoshot / ゼータ イメージ ビートルズ時代から近年の楽曲まで、ポール・マッカートニーの音楽の革新性をたどる来日公演が、大阪と東京でついに実現する。 Top Image: 2013年10月、ニューヨークのタイムズスクエアでコンサートを行った Photoshot / ゼータイメージ

Text by Ryohei Nakajima