ジュネーブショー(Geneve Show)コンセプト
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コンセプトカーが魅せるジュネーヴの春

毎年、自動車ファンの注目を集めるジュネーヴショー。今年も3月5日~15日まで開催され、多くのクルマがワールドプレミアとして発表された。中でも今年のジュネーヴで目立ったのは、かつてスーパーカーと呼ばれた超高性能スポーツカーと、メーカーが近未来のクルマを見せるコンセプトカー。2回連載の第2回目はジュネーヴを彩ったコンセプトカーたちを紹介していく。

  ジュネーヴショーは、その立地からも特別に華やかなショーとなる。その理由は2つあって、ひとつはイタリアのトリノショーがなくなって以来、カロッツェリア系の華やかなコンセプトカーの発表の場に選ばれることが増えたこと。もうひとつは、デトロイトやフランクフルト、パリでのショーと違ってスイスには”地元メーカー”というのがほぼ存在しないため、贔屓されるメーカーもないこと。そんなジュネーヴで、近未来のクルマへの期待を持たせてくれたコンセプトカーを紹介する。 ジュネーブショー(Geneve Show)ベントレー(Bentley) Bentley EXP10 Speed6 ジュネーヴで発表されたコンセプトカーの中で、「このまま発売してほしい」と思わせたのがベントレーの「EXP10 Speed6」だ。スピードシックスといえばベントレーの歴史の中でも重要な名前。1928年にデビューした6気筒エンジン搭載車で、1929-30年とル・マン24時間レースを連勝した名車である。その名を冠するだけあって、現行のコンティネンタルGTよりもグリルもライトも低く、スポーティなツアラーになりそうなデザインだ。またその名前から、これまでより小さい6気筒ターボエンジンの搭載が想像され、新しいモデルレンジとなるのではと期待される。 ジュネーブショー(Geneve Show)アウディ(Audi) Audi Prologue Avant & Italdesign GEA アウディはデトロイトで発表したコンセプトカー「プロローグ・クーペ」に続いて、そのシューティングブレーク版である「プロローグ・アヴァント」を発表した。これは今後のアウディのデザイン言語を示唆するモデルで、彼らが15年前に発表したコンセプトカー「アヴァンティッシモ」を思い出させるような、近未来のアウディ像を想像させる1台だ。今年のフランクフルトにひかえているであろう新たな発表を期待させる。 また同じVWグループからもう1台、アウディのコンセプトカーが発表された。それがイタルデザインによる「ジェア」。メルセデスのSクラス以上に巨大なこのセダンは、昨年アウディからイタルデザインに移籍したウォルフガング・エッガーによると、「近未来の贅沢とは時間を指すだろう」というコンセプトのもと作られた。コントローラーひとつで、オフィスにもジムにも、ベッドルームにもなるインテリアがその核。SOHOの次はMHO(Movable House Office)の時代がくるのだろうか? ジュネーブショー(Geneve Show)ベルリネッタ・ルッソ Touring Berlinetta Lusso & IED Quattroruote Syrma イタリアからも魅力的なクルマが発表された。1台は、カロッツェリア・トゥーリング・スーペルレッジェーラが発表した「ベルリネッタ・ルッソ」。これはフェラーリのF12ベルリネッタをベースにした特注車で、名前は明かされなかったが、とあるプライベート・コレクターのために作られたという。こうしたワンオフモデルをショーに出展するという文化がいまだ生きているところがなにより魅力的だ。またイタリアのデザイン学校IED(Istituto Europeo di Design)と同じくイタリアの自動車雑誌Quattroruoteのコラボレーションから生まれたのが「シルマ」だ。安全性を追求した3人乗りの高性能車で、IEDの中国人学生のアイディアからスタートした。学生と企業が協力して作り上げたコンセプトカーには、クルマだけでなく学生たちの未来の可能性が詰まっている。 ジュネーブショー(Geneve Show)マグナ・シュタイア Magna Steyr MILA plus & NanoFlowCell Quantino 最後に現代を象徴するような2台のコンセプトカーを紹介しよう。マグナ・シュタイア社は自動車の開発において世界的に貢献しているエンジニアリング会社で、普段は表立って名前を出すことはあまりないのだが、このジュネーヴでは彼らの技術力を示すプラグインハイブリッド・スポーツカーの「マイラ・プラス」を発表した。軽量なシャシーに3気筒ガソリンエンジンとバッテリーとモーターを搭載し、トータルで500kmの走行が可能。0-100km/hの加速に要する時間はハイブリッド・モードで4.9秒と、スポーツカーとしてのポテンシャルも必要充分といえるだろう。またさらに印象的なモデルとしては、ドイツのナノフローセル社が発表したコンセプトカー「クアントF」があげられる。フローセル・バッテリー(流動電池)という発電技術を用いた電気自動車で、走行可能距離は800km、最高時速は300kmにまで達する。車重2.3トンの巨体ではあるが、0-100km/h加速は2.8秒と驚異的な速さで、90%は量産可能な状態のプロトタイプでもあるという。 こうして未来に思いを馳せることができるのも、モーターショーの魅力であり、また役割でもあるのだろう。今年の東京モーターショーにも期待したい要素だ。

Text by Koyo Ono