金沢 浅田屋
- 旅先でも外さない!グルメな大人のための店 -

加賀百万石の伝統を体現する美食の名旅館へ

日本海に面した金沢は、日本アルプスの山並みにも近く、新鮮な海の幸や山の幸を堪能出来る最高の立地条件を備えている。魚介類の旨さは言うまでもなく、金沢で栽培される野菜類は「加賀野菜」としてブランド化されているほどだ。2回連載の金沢の旅。第2回目は、そんな加賀百万石の食文化を満喫できる名旅館「浅田屋」を紹介する。

金沢の台所と称される近江町市場から金沢城址にむかう途中に、街中とは思えぬ喧噪とはかけ離れた情趣あふれる旅館がある。創業1867年の老舗料亭旅館「浅田屋」だ。暖簾をくぐり、石灯籠のある石畳のアプローチを静かに抜けて、玄関へと入る。 金沢「浅田屋」 季節で変わる暖簾 春の柄 「全5室だからこそできる、お客様ひとりひとりの嗜好に合ったお料理のご提供・おもてなしをこころがけております」と、女将の浅田郁子氏が話すように、スタッフ全員の心のこもった丁寧なサービスにより、チェックインからストレスを全く感じさせない。数奇屋造りの館内には、200枚以上の刀の鍔コレクションをはじめとした加賀の歴史を感じる美術品が多く飾られており、見ているだけで楽しめる。 金沢「浅田屋」刀の鍔コレクション 加賀百万石を偲ぶ刀の鍔コレクション 各部屋とも、季節感のある坪庭を配し、凛とした空気が漂う。ゆったりとした広さながらシンプルな造りの和室は心が落ち着く。部屋ではお抹茶や和菓子をいただけるのも、旅の移動と滞在の切り替えができていい。 14時にはチェックインできるので、金沢に到着して昼食を終え、旅館に荷物を置いて、兼六園や尾上神社、主計町など観光地を徒歩でまわることが可能な場所であるのも魅力の一つだ。 金沢「浅田屋」千歳の間 静寂な趣の「千歳の間」 金沢「浅田屋」不老の間 広々とした「不老の間」 特筆すべきは、金沢の海の幸山の幸を使用した「加賀料理」だ。宿泊客の嗜好を確認してから、当日の仕入れで献立を作るこだわりの料理は絶品の一言である。 黒い光沢の椀の蓋をそっと開けると、春らしい桜模様の蒔絵と治部煮(じぶに)が目に入ってくる。郷土料理の治部煮は金沢名物の生すだれ麩や鴨肉、野菜類を使用したとろみのある煮物である。まだ冷える早春の頃に身体を温めてくれる。 金沢「浅田屋」治部煮 治部煮はこってりとした味わい 春は、ホタルイカにイサザ、かわはぎ、蛤、筍、などが、お薦めの食材という。春告魚のイサザも魅力的だが、ホタルイカのしゃぶしゃぶはオーダー必須の一品だ。透き通るような新鮮なホタルイカを湯に数秒くぐらせると、ぷるっと赤く膨らむ。口に運ぶと、ぷりっとした食感とワタの風味が口に広がりたまらない旨さなのだ。 金沢「浅田屋」ホタルイカ まことに美味なホタルイカ 春に旬を迎える 器は最高級の骨董品から現代作家の作品まで、九谷焼に加賀蒔絵漆器といった一流の伝統工芸品が使用される。 金沢「浅田屋」金沢漆器に飾られる料理 桜模様の金沢漆器に飾られる料理 箸をつけるのが惜しくなる美しさ 工芸品に盛られる美しい料理の数々に、目で愉しみ舌で味わう時間は、金沢の文化にたっぷりと触れる時となるのだ。

Text by Junko Kurita

TOP Image:浅田屋のエントランス