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革靴を長く履き続けるための手入れ方法とは

どんなものであれ、長く、良い状態で使うには「手入れ」が重要。特に革靴は、手入れの仕方によって寿命が大きく変わるとされる。それだけに、その手順や使用するアイテムも多種多様で、ビギナーには若干ハードルが高いイメージだ。

そこで、伊勢丹新宿本店メンズ館にて革靴のケアサービスを担当する“シューシャイニスト”の山田浩彦さん(株式会社コロンブス)に、簡単かつ効果的な手入れ方法を伺った。

■手入れは2週に1度、ブラッシングとクリームが基本

まず、使用するアイテムは「ブラシ2本」「クリーナー」、そして「ツヤ出し用のクリーム」だ。最低限、この4点があれば事足りるという。

「最初に『馬の毛のブラシ』で靴全体をブラッシングして埃を落とします。あまり力を入れず、ささっと。ブラシで落ちない汚れはクリーナーを使いましょう。やわらかい布を指に巻いて、表面をさっとふき取る感じですね」(山田さん、以下同)
ブラッシングとクリーナーで、靴の表面のホコリや古いワックスを落とす。そこに、ツヤ出しのクリームを塗っていく。

「これも布にちょんとつけて、少量をのばしていくように塗ります。全体にまんべんなく、履き皴(しわ)の部分にもしっかり塗ってください。クリームは、茶系だけでも20色くらいあります。色合いをキープしたいなら、靴の色になるべく近いものを選びましょう」

塗り終わったら、再びブラ
ッシングで最後の仕上げだ。

「塗りっぱなしで放置するとムラができてしまいます。クリームが均一に、まんべんなく馴染むようブラッシングしてください。ここではコシのある『豚の毛』のブラシを使います。最初のブラッシングより、少し強めに力を入れてしっかり全体にいきわたらせましょう」
ここまで、所要10分程度。あっという間にピカピカになった。基本的にはこれだけでOK。意外に簡単だ。

「革靴には常に潤いが必要なんです。乾燥すると革に柔軟性がなくなり、ヒビ割れを起こしやすくなってしまう。しばらく履いていなくても、2週間に1度程度はクリームを使った手入れをしたいところですね。逆にやりすぎても靴が傷むことはありませんが、クリームの中に入っているワックスが蓄積していくとギトギトで安っぽい感じになってしまいます」

本格的な手入れは2週間に1度程度。履くたびにここまでの手入れをする必要はないが、1日履いたらシューズキーパーに入れてブラッシングで埃を落としてあげるといいそうだ。雨に濡れた場合は、帰宅後なるべく早めにタオルで水をふき取り、風通しのよい場所で陰干しして乾かすこと。乾いたあとにクリームを塗れば万全だ。

■素材に合ったクリームを選ぶこと

ちなみに、クリームひとつとっても種類はさまざまで、価格もピンキリだ。どれを選べばいいのか迷ってしまうが…。

「基本的な成分はワックス、つまり水と油です。中に入っているワックスの種類、保湿のためのオイルの種類によって値段で差があります。世の中にはたくさんのクリームが売られていますが、中には質の低いワックスがはいっていることもあります。基本的には購入時に販売員に相談した上でその靴に合うものを選ぶことが大切です」
合わないクリームを選ぶと、かえって靴を傷めてしまうのだとか。

「革の仕上げ方や素材の種類によっても選び方は異なりますね。エナメルなのか、クロコダイルなのか、コードバンなのか素材別に使い分けるべきです。

また、クリームの色は、先ほども言いましたが靴の色と合わせること。ただ、茶色などは完全に色を合わせるのが難しいと思いますので、ぴったりのものがなければワントーン明るめのものをお勧めします」

これらをふまえ手入れすると、ある程度は良いコンディションをキープすることができるようだ。

なお、ここまでは基本。やや上級者向けのテクニックも教えていただいた。

「クリームの前に『アルガンオイル』を薄く塗るのもアリです。ブラッシングで汚れをとったあとに塗ると油が入りやすくなって、よりツヤが出ます。あとは、あえて『つま先』だけ光らせてみるとか。ハイシャインポリッシュ(鏡面磨き)といって、表面の凸凹を埋めてから水で湿らす。すると高級感のある仕上がりになるんです。靴の存在感がぐっと出てきますよ」
靴磨きは「やればやるほど結果が出る」と山田さん。そして、それを追求し出すとどんどんハマってしまうそうだ。

大人の趣味としても、なんだか高尚な感じがする靴磨き。極めてみるのもいいかもしれない。

text by Noriyuki Enami(Yajirobee)

photograph by Masahiro Kojima