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初めての「高級紳士靴」。正しい選び方は?

普段使いの通勤靴とは別に、一足は持っておきたいのが上等な革靴。ビジネスにもパーティーにも使える「ホンモノの紳士靴」は、ここぞの場面でのとっておきの一足として重宝することだろう。

そこで、伊勢丹新宿本店メンズ館にて紳士靴を担当する塚原拓也さんに、大人の革靴選びにあたり押さえておきたい基本的なポイントについて伺った。

■まずは「好みのタイプ」を絞り込む

訪れたのは伊勢丹新宿本店メンズ館、地下1階に広がる紳士靴売り場。見るからに上等な革靴が並ぶフロアのなかでもひときわ目を引くのが、イギリスの一流ブランド「CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)」の棚である。
「CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)」の棚
「特に40〜50代の方に根強い人気ですね。英国靴は『グッドイヤー・ウェルト式製法』と呼ばれる、伝統的な技法でカッチリと縫い合わせたタイプのものが主流です。最初は革が硬く感じられますが、耐久性があり、長く履き込んでいくうちに足に馴染んでいきます」(塚原さん、以下同)

カラーやデザインも至ってシンプルで、まさに王道の紳士靴という印象だ。
一方、別の棚にはやや派手な装飾の、遊び心を感じさせる革靴も。こちらはイタリア製だという。

「イタリア靴は『マッケイ製法』と呼ばれる、ノーズが長いタイプのものが多いですね。硬めの英国製に対し、ゆったりとラフな履き心地が特徴です。デザインは比較的華やかなものが多く、スーツスタイルでも個性を出したい方に好まれます」

塚原さんによれば、革靴とひと口にいっても製法やブランドによって大きく特徴は異なる。まずはそこを押さえることが第一歩。耐久性の「グッドイヤー・ウェルト式製法」か、履き心地の「マッケイ製法」か。あるいは、トラディショナルな英国靴か、色気のあるイタリア靴か。ざっくりとで構わないので、自分の好みをある程度イメージしたうえで来店するといいようだ。

■何より大事な「サイズ感」。ベストな一足を選ぶポイントは?

では、大まかに好みのタイプを絞り込んだら、次に重要視すべきポイントは?

「一番大事なのはサイズ。長く履き続けるためには、そもそも自分に合ったものを選ぶことが原則です。では、自分に合ったサイズ感とは何かというと、それは人によっても違いますし、ブランドによっても選び方は異なります。きつめが好きなのか、ゆるめが好きなのか? また、同じ26cmでもブランドや靴の形によってサイズは微妙に異なりますので、数字が合うからといってぴったり履けるとは限りません。

たとえば、グッドイヤー・ウェルト式製法の場合、経年とともに中に入っているコルクが沈んで2~3mmほどサイズが馴染んできます。ですから、最初は少しきつめくらいのサイズを選ぶと徐々にちょうどよくフィットしていくんです」
こちらが塚原さんの靴。プロのサイズ感を参考に…
足も靴も、その形は一つひとつ違う。そのため、ベストな一足を選ぶためには実際に紳士靴売り場を訪れ、プロのアドバイスを聞くのが一番だ。そして、来店の際にも気を付けるべきポイントがあるという。

「まずは足のコンディションです。足がむくんでいる状態でご来店されると、正しいサイズが計測できないことがあります。一般的に足が最もむくむのは夕方といわれていますが、前日の過ごし方や水分の取り方などでも変わってきます。いずれにせよ、平常時に近いベストなコンディションでご来店いただくことが望ましいですね。

また、ご来店時のファッションも、スーツ、あるいはその革靴を合わせたい服装で来ていただけるとよろしいかと思います。そのほうが、我々もお客様の系統お好みに合わせ、一緒にコーディネートのアドバイスができますから。スーツで来るのが恥ずかしければ、スマートフォンなどで写真を撮ってきてくださるだけでもとても参考になります」

■最初は「王道」をチョイスしたい

なお、“高級紳士靴”を初めて買う場合、5万円前後のものがおすすめと塚原さん。入門編としては最もスタンダードな価格帯だという。

「それくらいの価格帯になれば、5万円でも8万円でも品質自体に大きな差はありません。あとはブランド力と拘りをどこまで重視するか、というところだと思います。ちなみに、最初の一足はカラーもデザインも奇をてらわず、王道的なものを選ぶ方が多いですね」
伊勢丹新宿店メンズ館・紳士靴担当の塚原拓也さん
スーツスタイルに合わせるなら「内羽根」「ストレートチップ」「黒」が、やはり王道中の王道。店頭でもダントツに売れるという。二足目、三足目でトレンドや遊び心を取り入れるのはアリだが、やはり一足は定番を押さえておくのがいいようだ。

「たとえば、10年前はつま先部分がスクエア調になったタイプのものが流行でした。昨年はモンクストラップが2本ある『ダブルモンク』が流行しましたが、今季はラウンド調の取扱が多くなってします。一方、王道だけはずっと変わらず、普遍的な人気があります。流行に左右されず、長く使うことができますよ」


もちろん、最終的には自分が気に入ったものを選ぶのが一番だ。とはいえ、安くはない買い物。長く愛用したいなら、これらのポイントを参考にしてみるのはいかがだろうか?

text by Noriyuki Enami(Yajirobee)

photograph by Masahiro Kojima