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至高のマグロ。ついに観光客にも開かれた大間のマグロ漁の今

「大間のマグロ」と言えば、誰もが知るマグロの王様。そのブランドは世界一と言っても良い。同時にそのマグロ漁は極めて過酷でありロマンに満ちた一面も持つ。最近ついに観光客向けのマグロ漁乗船ツアーも始まった「大間のマグロ漁」の姿に迫る

最高級マグロを支える一本釣り漁

大間のマグロ―――
そのブランドは、2001年の築地市場におけるマグロの初セリで2020万円もの値段がつき、世間を驚かせたところから、一般の人にも知るところになったと言われている。
それ以来、「大間のマグロ」と言えばマグロの中のマグロ、マグロの王様として認知されている。
しかし意外と知られていないのが、大間のマグロ漁の過酷さだ。

大間岬の沖は狭く、潮の状況も刻々と変わる漁場である。だからこそ最高のマグロを捕ることができるのだが、同時に漁の方法も制限される。特に、巻き網など大掛かりな仕掛けを使うことは不可能な漁場なのである。

だからこそ大間では、かの有名な「マグロの一本釣り」というスタイルを取り続けている。
一本釣りはその名の通り、網を使わずにマグロ単体を釣り上げる手法。だからこそ魚体を傷つけることがなく、最高級の大間のマグロを、味も形も落とさずに市場に届けることができる。

しかし同時に一本釣りは、高い技術や能力が求められるスタイルだ。
一度海に出れば、マグロを求めて漁場を移動しながら、マグロが現れるまで何時間も神経を張り巡らしながら待機をする集中力と精神力が必須である。
マグロの餌になるイカは夜間に獲れるので1日を通して漁を行う強靭な体力も必須だ。
そして一度マグロを発見した際に魚群の動きを読む経験や、素早く回り込む操船技術も非常に高いレベルで求められる。

そこまでしても、マグロの動向によっては、何日間も続けて一匹も釣れない場合もある。
大間のマグロは高値で取引されるとは言え、極めて高い能力が求められる上にリスクの高い仕事なのだ。

観光客も見学できるようになった大間のマグロ漁

漁師にとっては過酷でも、観光者目線では、マグロの漁場に何十隻もの船が集う様は壮観だし、マグロが釣れる迫力に触れることができるのは非常に魅力的な体験だ。

これまでマグロ漁を部外者が見学することは極めて難しかった。そもそも漁師たちは、その生活のかかる真剣勝負の舞台である漁場や漁船に、素人が入り込むことを嫌う。漁の邪魔になる可能性があることを考えれば当然のことだ。

しかし大間では2017年秋から、観光客にもっと大間のマグロの魅力を知ってもらおうと、なんとマグロ漁ウォッチングのツアーを開始した。大間のマグロ漁という伝統を、多くの人に知ってもらうための取り組みなのだ。

このツアーでは、大間で代々漁師を務めてきた泉さんの船で沖に出ることができる。

彼は小学生の頃から親の漁を手伝い、中学生の頃には自分ひとりで船を出して漁をしていたほどの生粋の漁師。今ほど魚群探知機が発達していなかった時代には、なんと船から海の中のマグロの魚影を確認し、群れのルートを読んで漁をしていたという。最高で1回の漁で12本ものマグロを揚げたこともあるほどの凄腕の漁師だ。
今でこそマグロの漁獲高が安定している大間だが、実はかつては一時期マグロが全く来なくなった時期がある。その冬の時代には、彼は稚内まで遠征してヒラメ漁をしたり、遠洋漁業に出るマグロ漁船に乗って生計を立てていたという。

その時期の大間の漁師たちの環境は悲惨だったというが、それでも彼は漁師を辞めず、いまの大間のマグロ漁を受け継いで守り続けてきた。

それだけ漁師という生業への愛情が深いため、彼は観光客には非常に気さくにマグロ漁について解説をし、マグロ漁の面白さや魅力を伝えてくれる。漁師というと強面でとっつきづらいというイメージをお持ちの方もいるかもしれないがその印象は覆されるだろう。

いざマグロ漁。漁師たちの戦場へ

船を出すと沖合に向けて20~30分ほど操行をする。波打つ海の上で傾く船体。船はここまで傾いても大丈夫なのか、と実感することになる。支給されるライフジャケットの着用厳守で乗船するとは言え、しっかりと船に捕まっていないと危険だ。
そしてマグロ漁船が集まる漁場に到着する。漁場は360度、見渡す限り海だ。そこに、波に揺られる漁船が十数隻、時には100隻近く集まって漁をしている様はそれだけで壮観だ。

その後は泉さんのマグロ漁の解説を聞きながら、マグロ漁を見守ることになる。マグロの魚影を確認するために急発進する船や、マグロの群れを捉えてエサとなるイカを撒く船。逐一解説をしてくれるので、何が起こっているのかはすぐにわかる。
そして漁船がマグロを捉える。
マグロ漁船がマグロを釣ると、船から煙を上げるのが慣習だ。

確実に毎回マグロ漁に成功したところを見ることができるわけではないが、見ることができればその迫力に圧倒されるだろう。何せ相手は100kgを優に超える巨大なマグロなのだ。

大間ならではのマグロ尽くし料理も

マグロ漁を楽しんだら、港に帰って大間のマグロを使った料理に舌鼓を打つ。マグロのトロが豪勢に乗ったマグロ丼だけでなく、大間だからこそ食べられる、マグロの皮や内臓などの料理を楽しむこともできる。
夏から秋にかけて最盛期を迎える大間のマグロ漁。なかなか気軽に赴ける場所ではないが、青森に観光に行った際、また函館からフェリーも出ているので北海道旅行の際に、足を延ばして体験してみてはいかがだろうか。