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- 最も多い突然死、虚血性心疾患・心筋梗塞とは? -

浮気のほうが危険!? 脳梗塞、心筋梗塞による「腹上死」の実態

映画やドラマのワンシーンで描かれることのある“腹上死”。創作上の演出かと思いきや、実際に不倫相手とのセックス中に心筋梗塞を起こして最期を迎えるケースも少なくないという。専門医に腹上死の実態と、そのメカニズムについて聞いた。

■今回のアドバイザー
池谷医院 院長
池谷敏郎さん

医学博士。心臓、血管、血液などの循環器系のエキスパートとして、さまざまなテレビ番組に出演し、わかりやすい解説が好評を博す。『血管力』(成隆出版)、『血管を強くして突然死を防ぐ!』(すばる舎)など、著書多数。

統計的にも意外と多い腹上死。日本国内での実態は?

2013年7月、米国心臓協会と欧州心臓学評議会が腹上死に関する「共同声明」の中で、セックス中に死を迎えた人のうち92.6%が男性だったことを発表し話題となった。このように、一般的に“腹上死”と呼ばれる、性行為中の心筋梗塞や脳卒中による死は、は意外と身近な存在なのだ。日本国内での実態について、池谷さんはこう語る。

池谷さん「実際の救急医療の現場でも、性行為中に心筋梗塞や脳卒中で倒れて病院に運び込まれてくるケースは確かにあります。このような場合、もともと発病リスクとなる生活習慣病を有していたことに加えて、性行為による心拍数の増加と血圧の急上昇が引き金となって発症に至ると考えられます。とりわけ、年齢差のある浮気相手との情事のさなかに腹上死を迎える、というケースが多いと推定されますが、プライバシーの観点から報告がなされていない可能性もあり、正確な数字が出ていないのが現状ですね。医学的には性交死と呼ばれますが、診断書にはその病名が記載されることはきわめて稀で、心筋梗塞による急性心不全などと記載されます」

ここで気になるのが、池谷さんが指摘する「浮気による腹上死」の多さ。なぜ、特に浮気時に腹上死が多いのだろう?

池谷さん「精神的な“興奮”によっても、血圧は急上昇します。とくに危険なのが、男性側が奥さんよりも若い女性と浮気をしている場合。若い相手を満足させようと頑張りすぎると、突然死のリスクが非常に高くなります。そのほかにも、浮気をしている人は、秘密を隠すために常に緊張し、ウソがバレないように発言に気をつけ、配偶者の反応をうかがい続ける生活です。自宅もいても、リラックスできず交感神経が緊張しっぱなしでしょう。心拍数と血圧も上がりがちになり、血管に大きな負担がかかわるわけですね」

セックスだけではない! 過度な興奮には要注意したいところ

激しい性行為だけでなく、感情の高ぶりが血圧急上昇のキッカケになることもある、と池谷さん。

池谷さん「じつは、喜びも過度になると血圧が上がってしまいます。過去の事例では、ギャンブルで勝った瞬間に心筋梗塞を発症し、病院に運ばれた人もいるのです。血圧は自律神経と直結しているので、緊張すれば交感神経が優位になります。それにともなって心拍数が増え、急激に血圧が上昇。さらに血小板が活性化されて血液が固まりやすくなるので、血管が破れたり詰まったりする危険性が高まるのです」

心身ともにリラックスをしているときは、副交感神経が優位になるので心拍数が減って血圧も低下する。そのため、安らぎを感じられる環境で過ごすことは心筋梗塞などの突然死を防ぐカギとなる。

「腹上死を回避するためには、疲労時や飲酒後に激しい性行為をしないことがポイントとなりますが、まずは浮気をしないことですね。日常生活のどこにでも突然死のリスクがあるのだから、わざわざ浮気をして取り返しのつかないことになるくらいなら、家内安泰を心がけるほうが長生きできると思います」

最後にアドバイザーからひと言

「メタボ検診(特定健康診査)で数値が正常ではない場合、とくに浮気は避けるべきでしょう」

Text by Miki Ohnuki(Seidansha)