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- 最も多い突然死、虚血性心疾患・心筋梗塞とは? -

心筋梗塞も!? お風呂での突然死を防ぐ入浴法とは?

一日の疲れを癒やすために、毎日湯船に浸かる人も多いはず。しかし、一歩間違えると、心筋梗塞などの突然死を招く可能性があるという。心筋梗塞による突然死の「危険地帯」と呼ばれる風呂場での過ごし方について専門医に聞いた。

■今回のアドバイザー
池谷医院 院長
池谷敏郎さん

医学博士。心臓、血管、血液などの循環器系のエキスパートとして、さまざまなテレビ番組に出演し、わかりやすい解説が好評を博す。『血管力』(成隆出版)、『血管を強くして突然死を防ぐ!』(すばる舎)など、著書多数。

入浴時の急激な血圧の上昇や脱水が心筋梗塞を招く可能性大!?

そもそも、なぜ風呂場が心筋梗塞の「危険地帯」と呼ばれるのだろうか?

池谷さん「日本全国で入浴中に亡くなる方は、毎年1万7000人ほどにのぼると推測されています。その主な死因は溺死ですが、同時に脳卒中や心筋梗塞などの血管事故を発症しているケースが多く含まれています。血管は温度差に敏感なので、急激な温度差が血管のトラブルの原因になります。とくに冬は、冷えた脱衣所で服を脱ぎ、洗い場の冷たい床に一歩を踏み出したときに、血管が収縮して血圧が急上昇します。続いて熱い湯船に入れば、さらに血圧が上昇して血管が傷つき、心臓の負担も大きくなります。このように、風呂場では脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高くなるのです」

入浴時の心筋梗塞で注意すべきなのは冬場だけではない。42度以上の熱いお湯に浸かると、夏場でも血圧が急上昇するので、高血圧の持病がある人は注意が必要という。

池谷さん「入浴時の急激な温度変化はもちろん危険ですが、ぬるめの温度の湯船に長く浸かるのもNG。長湯によって大量の汗をかくと、脱水症状に陥ります。水分が不足すると血液がドロドロになるので、血管が詰まりやすくなってしまうのです。時間の経過とともに今度は逆に血圧が低下して脳の血流が低下し、脳梗塞のリスクが高まります。原則として、お風呂にはあまり長居すべきではないでしょう」

湯船の温度や入浴前の行動が、心筋梗塞による突然死を防ぐカギ

心筋梗塞による突然死とも関わりの深い入浴だが、正しく入ればそのリスクを回避することができる、と池谷さん。

池谷さん「入浴には、血流をよくして細胞中の疲労物質の代謝を促すほか、安眠や快眠につなげる生活習慣でもあります。夜の入浴には就寝時に血圧を低下させ、心血疾患の予防にも効果的であることがさまざまな調査で明らかになっているので、上手に入浴すれば、突然死を防ぐことにも役立つはずです。そのものが悪というわけではありません」

それでは、どんなことに気をつけるべきだろうか?

池谷さん「お湯の温度は39〜41度のぬるめに設定し、足先からゆっくりと浴槽に入ります。くれぐれも、血圧を急上昇させる42度以上のお湯には入らないでください。また、湯船に入るときに『あ〜』と、声を出しながら入ると全身の筋肉の緊張がほぐれ、血圧の急上昇を防いでくれます。そして、10分以内に湯船から出るように心がけましょう」

また、飲酒後の入浴にはさらに注意が必要とも。

池谷さん「お酒を飲んだあとは、血圧が下がりやすくなります。その状態で長湯をすると、発汗による脱水とともに末梢血管が開いて血圧が極端に下がります。そうすると、お風呂のリラックス効果も相まって入浴中に眠ってしまう可能性も。脳の血流が減少すると失神してしまい、溺死する恐れもあるので、お酒を飲んだときはシャワーで済ますか、酔いを覚ましてから入浴してください」

入浴中は手足の血流を促す動きをするのがオススメ

入浴中、適度に体を動かすことで血行を促進する方法もあるとのこと。

池谷さん「湯船の中では足を伸ばし、手の指と足の指をグー、パー、グー、パーと、何度か閉じたり開いたりすると◎。手足の血流が促され、血行促進につながります」

最後にアドバイザーからひと言

「サウナに入ったあとに、水風呂に入るという男性も多いと思いますが、血管に負担をかける急激な温度変化の最たるもの。心筋梗塞を防ぐ場合には、絶対にNGです」

Text by Miki Ohnuki(Seidansha)