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- 酒?料理?個室?目的別の接待の切り札店 -

銀座「日本焼肉 はせ川」で愉しむ“超和風”な焼肉料理

男女の仲では「焼肉店に行くようなカップルは、かなり深い関係だろう」といわれることがある。匂いがついても、お互い困らない間柄ということらしい。それに、同じ釜の飯ではないが、同じ網で焼いた肉を食べることから生まれる仲間意識も関係しているのだろう。もちろん、接待でも親密度を高める演出として焼肉店は有用な選択となる。しかし、そのスタイルからして落ち着いた接待がイメージしにくい面があるのも事実だろう。そんな既存の焼肉店のイメージにカウンターを食らわせるがごとく存在しているのが、銀座・ソニービル向かいにある「日本焼肉はせ川」だ。

母体は日本料理店。脂がのった和牛の旨味を教えてくれる名店

ステーキの国といえばアメリカ、ソーセージの国といえばドイツが真っ先に思い浮かぶように、焼肉の国といえばまず上がるのは韓国だろう。そこにおいて「日本焼肉」とは、なんとも不思議な響きである。

「関西を中心に展開してきた日本料理の店、はせ川が母体です。新たに銀座という土地で肉料理の店を出すにあたり、既存の業態では面白味に欠けると思いまして。最終的に、焼肉と元々得意とする日本料理を融合させる形で始めました」(日本焼肉はせ川マネージャー・柴田さん)

赤身熟成肉ブームの今、あえて脂ののった和牛のうまさを伝えたい…。そうした思いもあるという。

お通し、野菜のすり流しから入る「日本焼肉」のコース内容

ここで同店の接待使いで最人気の「源氏」コース(10,800円)のメニューをまず見ていただこう。

源氏〜げんじ〜【十二品】肉4種(10,800円)
・お通し 日替わり旬の三品
・吸い物 飲むお野菜(野菜のすり流し)
・八寸 季節を感じる一皿
・お野菜 はせ川厳選 早採り野菜のサラダ
・お肉 厳選お肉3種食べ比べ
・蒸し物 日替わり旬の蒸し物
・海鮮 焼きふぐ
・お肉 希少部位の網焼きしゃぶ
・お食事 本日の御飯物
・デザート しぼりたてソフトクリームとわらび餅

思いのほか焼肉部分は少ないと感じたのではないか。流れの要所に、焼肉が登場するという形となっており全体的に日本料理の占める割合が多くなっている。

聞けば焼肉にしろ、タレが鰹ダシであるとか、肉が昆布じめされているとか、そういう“日本風”な焼肉、が出てくるわけではないらしい。焼肉のメニューと、日本料理のメニューが共存し、料理は和食器で提供。焼肉店定番のサイドメニュー、キムチ、ナムルは無く、代わりに「ガリ」など日本料理の漬物と季節の和え物がある、といった部分が「日本焼肉」なのである。
実食してみたが、お通し〜お野菜までその味付けも盛り付けもやはり日本料理のものであった。もっとも、八寸には牛たんわさび漬け和えといった「肉」が忍ばせてあり、焼肉パートへ向けて肉気分を盛り上げる演出も忘れられてはいない。

焼肉店なのに野菜もウリ、焼肉店なのにしゃぶしゃぶも…?

野菜をウリにした焼肉店は聞いたことがないのではないか。こちらの店では野菜ソムリエが厳選し、農家から直接仕入れた野菜たちもウリの一つとなっている。特に成長しきる前のアクの少ない段階で収穫した、早採り野菜が自慢。ほうれん草も根まで生で味わうことができ、独特の甘さも楽しめるのだ。
もちろん、和牛を使った焼肉の良さはいわずもがな。銘柄、ブランドにこだわるのではなく、その時々の良い肉を専門の目利きが選んでいるという。

面白いのがその厳選した肉を、「変わり焼肉〜網焼きしゃぶ」で食すという試み。これは、薄切り肉を網で手早く焼いて、しゃぶしゃぶのゴマだれでいただくという趣向となっている。焼き方が難しいため店員がサーブしてくれるのだが、確かに脂が落ちてしゃぶしゃぶのようにさっぱりとした味で楽しめる。

さて、焼肉の最後は締めであるがそれはクッパか、冷麺か? そこは日本焼肉を標榜するこちらの店、季節により、そうめん、うなぎ茶漬けと異なるがやはり「和の締め」が待っている。ちなみに、取材時にいただいたのは、うなぎ茶漬け。山椒の佃煮がピリリと効いており、焼肉のシメに驚くほどしっくりきた忘れられない味であった。
なお、個室が充実しているこの店だが、ここでは特に少人数であればカウンター席での接待をおすすめしておきたい。注文ごとに肉の塊が切り分けられている様子を見ることができ、さらに寿司屋のように「板さん、こっちにもその脂ののったところ頂戴」なんて頼み方も可能である。

こうした趣向は“接待慣れ”してしまった相手にも新鮮な体験になるだろう。接待相手が海外からの来訪者であれば、その効果はいうまでもない。ちなみに、ビールも国産主要メーカー3社のものを準備と、接待ビジネスマンのかゆいところに手が届く点も嬉しい。

変わりダネ、の店ではあるがそれを冗談に振った形の奇をてらった店ではない。まだ砕けた関係には至ってない相手に対しても、適度な遊び心を感じさせる接待ができる…。こうした店は、貴重といえるだろう。

Text by Masayuki Utsunomiya