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V-ROD──生産終了する異色のハーレーダビッドソン

ラインナップで唯一の水冷Vツインを搭載し、その流れるような独特のドラッグスタースタイルなどにより、新たなハーレーファンを獲得してきた異色のハーレーダビッドソン『V-ROD』。2017年4月、この『V-ROD』ファミリーが2016年の生産分をもって販売終了することがアナウンスされた。ファイナルエディションとなるのは、「ナイトロッドスペシャル」「V-RODマッスル」の2機種だ。

「これがハーレー?」、ファンを唸らせた水冷Vツインの異色のハーレーダビッドソン

突然の発表に、思わず「えぇ!?」と声をあげたファンも多いことだろう。ハーレーダビッドソン ジャパンが、『V-ROD』ファミリーと2017年型Sシリーズ3機種を2016年生産分の出荷とともに販売終了することを発表したのだ。

『V-ROD』は、2002年に登場した水冷Vツインエンジンを搭載したモデル。1994年からレーシングシーンで活躍したスーパーバイクレーサー「VR1000」のエンジンをベースに、ポルシェと共同で公道向けモデルとして開発した。

「ハーレー=空冷VツインOHVエンジン」というイメージを覆し、ラインナップ唯一の水冷DOHCエンジンを搭載。外観も、全体をシルバーで統一し、前後のディッシュホイール、従来のバイクにはない形状の流麗なマフラーと、こちらもハーレーのイメージを覆す近未来的なデザインだ。それだけに、登場したときから賛否両論、いや、どちらかといえば否定的意見のほうが多かった。

しかし、ドラッグレーサーというジャンルを開拓し、これに日本や欧州のメーカーが参入したこともあり、『V-ROD』はその後、新しいファンを獲得する。2008年モデルでは1131ccだった排気量を1246ccに拡大、サーキットからフィードバックされたスリッパークラッチなど、『V-ROD』には先進的な技術が惜しみなく投入されていくこととなった。

2機種をラインナップ、5カラーが用意された『V-ROD』のファイナルエディション

ファイナルエディションとなる2017年モデルでは、「ナイトロッドスペシャル」と「V-RODマッスル」の2機種をラインナップする。

いずれもドラッグレース譲りのロー&ロングの車体デザインで、レーサーを彷彿とさせる流線形のヘッドランプが特徴的だ。そして、ドラッグスタイルの低く設定されたローライズハンドルと、尻が滑らないようデザインされた深めのバケットシートは、スロットルを回して急加速しても、ライダーをしっかりと低い位置(675mm)で安定させ、車体を制御できる。またがってみると、予期せずアドレナリンが分泌していることを感じるだろう。

心臓部には、デュアルオーバーヘッドカム、4バルブヘッド、ダブルバレルエキゾースト、さらにパワーを供給する気筒ごとのインテークといった、同じくドラッグレースに由来する本格的な機能が詰め込まれたパワフルな水冷60°Vツインエンジンを搭載。極太の240 mmリアタイヤにパワーを伝え、強烈な加速が味わえるのが大きな魅力となっている。また、高性能なブレンボ製デュアルディスクブレーキを採用し、走行時のあらゆる場面で一貫した制動力を発揮する。
『V-ROD』のようなモンスターバイクが生産中止になるのは残念としか言いようがない。理由は明らかになっていないが、国産バイクと同様に、「ユーロ4」などの排ガス規制によるものと容易に想像できる。もともと、環境問題など将来を見越して開発されたはずの水冷エンジンだったが、なぜか空冷OHVはモデルチェンジを経て継続され、水冷DOHCエンジンの『V-ROD』ファミリーがファイナルを迎えるというのも、なんだか皮肉な話だ。ちなみに、アメリカのハーレーダビッドソンオーナーが唯一認める日本製バイク、ヤマハ『VMAX』も2017年8月で生産終了となる。バイク乗りにとって、悲しい時代になってしまった。

アメリカのハーレーダビッドソン本社は、2016年の年間生産計画台数を出荷すると、以後は『V-ROD』の増産はしないという。つまり、いつ完売するかわからないということだ。狙っていたライダーは、今すぐ販売店に急いだほうがいい。

2017年モデルの「ナイトロッドスペシャル」は5カラーが用意され、価格はそれぞれ224万5000円。2017年モデルの「マッスル」も5カラーで、価格は210万3000円から218万3000円となっている。

Text by Katsutoshi Miyamoto