メガーヌRS273ファイナルエディション画像01_R(2)
- 大人のための最新自動車事情 -

現行最後のメガーヌR.S.──熟成を極めた特別仕様車

自動車メーカーがモデルの「世界最速」を謳うとき、その根拠となるもののひとつにドイツ・ニュルブルクリンク北コースでのラップタイムがある。自動車開発の聖地であり、世界一過酷といわれるこのサーキットで、かつて2度にわたって市販車の“FF最速タイム”を記録したのが、ルノーが誇るホットハッチ『メガーヌ R.S.』である。しかし、現行の『メガーヌ R.S.』は新型の発売に伴って2016年に生産を終了し、日本での販売も間もなく終了する。そこで、フィナーレを飾るべく発表されたのが、限定200台の特別仕様車『メガーヌ R.S. 273ファイナルエディション』だ。

市販FF車最速の『メガーヌR.S.トロフィーR』をベースにしたファイナルエディション

現行の3代目『メガーヌR.S』は、4320×1850×1435mmというグラマラスな3ドアハッチバックボディに、250psを発揮する2.0Lターボエンジンを搭載したFFスポーツモデルだ。

2014年にリリースされた「トロフィー」シリーズでは、最高出力が273psに高められ、2シーターモデルやオーリンズ製ダンパーなどを採用した超絶スパルタンな「トロフィーR」も登場。ニュルブルクリンクで当時の市販FF車最速となる7分54秒36のタイムを記録した。

ルノーのスポーツ部門、ルノースポールが開発段階で採った手法は、可変ダンパーや電子制御デフなどの最新技術を積極的に開発に組み込むのではなく、あくまでエンジンの出力特性やドライバビリティの向上を開発メニューの主軸に置くという、いわば古典的なもの。それでいて、並み居るライバルに競り勝ち、市販FF車最速の称号を手にしたのだから、そのチューニングノウハウの高さがうかがえる。
『メガーヌ R.S. 273ファイナルエディション』は、この最強モデルの『メガーヌR.S. トロフィーR』をベースに、現行『メガーヌ R.S.』のフィナーレを記念した特別仕様車である。

ボディカラーは4色、スペシャルなアイテムを備えた『273ファイナルエディション』

パワートレインは『メガーヌR.S. トロフィーR』と変わらず、2.0L直列4気筒DOHCターボエンジンに6段MTを組み合わせた。ルノースポールが手がけたエンジンは、最高出力273ps、最大トルク360Nmを発生する。

専用のサスペンションと、ステアリングシステムの総称であるシャシーカップ、さらにブレンボ製のフロントブレーキキャリパー、「R.S.ダイナミックマネジメント」と呼ばれる3モードのESCなど、メカニズム面の仕様も『メガーヌR.S. トロフィーR』を踏襲した。

ファイナルの証となるのは、ボディの「シルバーサイドデカール」や、ルノースポールのテストドライバー、ロランウルゴン氏による「サイン入りシリアルナンバープレート」といったスペシャルなアイテムだ。

ボディカラーは、イメージカラーでもあるイエロー系の「ジョンシリウスM」、ホワイト系の「ブランナクレM」、レッド系の「ルージュフラムM」、そしてブラック系の「ノワールエトワールM」の4色が用意された。前者2色はアップチャージが発生する。
また、『メガーヌ R.S. 273ファイナルエディション』と同時に、20台限定の特別仕様車『メガーヌR.S.273 パックスポール』も登場。こちらは、レーシング&スポーツホイール設計者のロベルト・マルケジーニ氏がデザインした特別な軽量鋳造ホイールを採用し、1本あたりノーマル比で3.3kgの軽量化を実現した軽量モデルだ。マフラーもノーマルにくらべて4kg軽いアクラポヴィッチ製のチタンマフラーを採用し、よりスペシャル度が増したモデルとなっている。

熟成を極めたファイナルエディション、「モデル末期」はネガティブワードではない

『メガーヌ R.S.』の開発チームであるルノースポールは、フランス本国やニュルブルクリンクだけでなく、日本でもサーキットやワインディングロードをクローズドにして、開発を行っている。以前、ルノージャポンの担当者に『メガーヌR.S.』の開発について聞いたことがあるが、その担当者はテストドライブに同乗した際に尋常じゃないほどのスピード域を体験したという。

ルノースポールは、その熟練のチューニングノウハウにより、年数を重ねるごとに車両を熟成させ、魅力を高めていく。ニュルブルクリンクFF最速の称号は伊達ではないのだ。すでに本国では4代目『メガーヌ』がデビューしており、新型『メガーヌR.S.』の登場も予想されるが、あえて熟成を極めたファイナルエディションを選ぶ価値は十分にある。乗ってみれば、「モデル末期」という言葉がけっしてネガティブワードではないことがよくわかるはずだ。

ただし、残念ながら20台限定の『メガーヌ R.S. 273パックスポール』は抽選販売で、すでに応募受付が終了している。『メガーヌ R.S. 273ファイナルエディション』は200台限定だが、気になる人は急いだほうがいいだろう。価格は399万円からとなっている。

Text by Taichi Akasaka