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ワイルド・スピード解剖──ヒットを生む5つの常識外

『ワイルド・スピード』シリーズ第8作であり、最新作となる『ワイルド・スピード ICE BREAK』が大ヒットしている。数々のカスタムマシンやスーパーカーが登場してストリートレースを繰り広げる作品だけに、クルマ好きの男性にも映画を観たことのある人、観ていなくても作品名を聞いたことのある人が多いはずである。『ワイルド・スピード』はなぜ多くのファンを惹きつけ、8作を数える長寿シリーズになり得たのか。これからこの最新作を観る人のために、『ワイルド・スピード』について「知っておくべきこと」を紹介しよう。

常識を突破して回を重ねるごとに興行収入がアップし続ける『ワイルド・スピード』

現在大ヒット中の『ワイルド・スピード ICE BREAK』は、ストリートレースの世界を描いた『ワイルド・スピード』シリーズの第8作目にあたる。ド派手なカーチェイスに、肉体派スターたちによる迫力バトル、仲間の絆を描いた熱いドラマが支持を集め、世界中で大ヒットを記録している。

『ワイルド・スピード』をハリウッドによくありがちな娯楽大作と考えるのは間違いだ。それだけではこのモンスターシリーズを推し量ることはできない。圧倒的なスケール感のみならず、製作スタッフの見事なチームワークと綿密なマーケティングにより、従来の「ハリウッドの常識」を突破したからこそ、ナンバーワンアクションムービーとして人気を不動のものとしているのである。

そもそも『ワイルド・スピード』が常識外れなのは、シリーズを重ねるごとに興行収入がアップし続けていることだ。ハリウッド製アクション映画はヒットすればシリーズ化するのがセオリーだが、その反面、観客を飽きさせないようにシリーズを作り続けることは困難を極める。キャストやスタッフを再び揃えるのも大変なので、普通ならシリーズ3作目を超えたあたりから息切れし、自然消滅してしまうのがパターンなのだ。

しかし、『ワイルド・スピード』は2000年に第1作が公開されて以降、ほぼ2年に1本のペースで新作が作られ続け、現在8作目という記録的な長寿シリーズとなっている。2013年には、1作目から出演していた俳優ポール・ウォーカーが事故で急死するという痛ましいアクシデントが起きるが、スタッフ・キャストが一丸となってこの悲劇を乗り越え、彼の遺作となるシリーズ7作目『ワイルド・スピード SKY MISSION』を完成させた。同作は歴代最高のヒットを記録しており、その勢いはまさにノンストップといえる。
(C)Universal Pictures
(C)Universal Pictures

都市部より地方、“ストリート・クラスタ”から熱い支持を受ける稀有な映画シリーズ

ヒットの「中身」も常識外れだ。『ワイルド・スピード』は英語圏向けのハリウッド映画だが、じつは北米よりもワールドワイドの興行成績のほうが上回っている。ヨーロッパをはじめ、南米、オセアニア、さらにアジア諸国でも軒並み大ヒットを記録しており、全世界累計の興収は3800億円を超えるという。

日本でも「『ワイスピ』は地方に強い」といわれており、地方都市での観客動員数が堅調だ。『ワイルド・スピード』は、日ごろから映画館によく足を運んでいる映画ファンだけではなく、世界中の“ストリート・クラスタ”からも熱い支持を受けている稀有なシリーズなのである。

そして、回を増すごとにアクションの物量とキャストの充実度がスケールアップしていくという、「奇跡のインフレ」を起こし続けている点も常識外れといえるだろう。純粋にストリートレースをテーマにしていた初期はフレッシュな俳優を多く起用していたが、4作目の『ワイルド・スピード MAX』でヴィン・ディーゼルが復帰。さらに、5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』でドゥエイン・ジョンソン、6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』のラストでジェイソン・ステイサムが登場するなど、主役級のアクションスターが次々と集結していく。

最初は敵として登場したキャラクターが、次作では一転して味方になるという、まるで少年マンガのようなシステムにより、シリーズを重ねるごとにキャストが豪華になっていくのだ。
(C)Universal Pictures
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GT-Rやスープラ、スーパーカーやマッスルカーが繰り広げる前代未聞のカーチェイス

もうひとつ常識外れなのは、作品の目玉というべきカーアクションだ。公道を猛スピードで駆け抜けるストリートレースで登場人物たちがしのぎを削るのは毎回のお約束。洞窟内を疾走したり、飛行機とバトルしたり、高層ビルの間を飛び越えたりと、カーアクションも毎回スケールアップしており、常軌を逸したカーチェイスが次々と展開されるのである。

作品に登場するクルマもケタ違いの高性能マシンやスーパーカーばかり。主人公ドムの愛車は、NOSシステムによるスーパーチャージャーを備えたダッジ『チャージャーR/T』。最高出力900馬力というモンスター級のマッスルカーだ。

この怪物マシンと争うのが『R34 GT-R』や『スープラ マークIV』といったストリートレースで人気の日本車たち。さらに、世界に4台しか存在しないケーニグセグ『CCXRエディション』、約3億4000万円の『ライカン ハイパースポーツ』などの超高級スーパーカー、そして戦車や巨大な軍用特殊車両まで登場する。クルマ好きに限らず、男なら見ているだけで興奮を覚えるに違いない。

最新作『ワイルド・スピード ICE BREAK』では、ダッジ・チャージャーを氷上走行用にカスタムした「アイスチャージャー」が登場。氷海を割りながら迫りくる潜水艦とチェイスするという前代未聞のカーアクションが展開する。

限界突破し続けるアクションとキャストの一体感でファンを惹きつける『ワイルド・スピード』シリーズ。すでに10作目まで製作が決定しているといわれており、主人公ドムとその仲間たちの活躍はまだまだ続いていく。未見の人もいま“乗車”しておけば、このシリーズがさらに限界を超えていくシーンを一緒に体験できるはずである。
(C)Universal Pictures

Text by Kiyoshiro Somari

Photo by (C)Universal Pictures(main)