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アウディTT RS――6年ぶりに一新した最強グレード

累計販売台数は50万台以上。1998年の誕生以来、すでに3代目となる『TT』は、アウディを代表するスポーツカーとなった。その頂点に君臨するのが、Coupé(クーペ)とRoadster(ロードスター)をラインナップする『TT RS』である。「アウディスポーツGmbH」で生産される「RS」は、アウディの各モデルシリーズのなかでも、もっともパワフルなエンジンを搭載したバージョンを意味する。『TT RS』も当然、特別な一台だ。前モデルのデビューは2011年。長らく新型の登場が期待されていたが、ついに6年ぶりのフルモデルチェンジを果たした。

アウディのブランドイメージを大きく変えた歴史的な名車『TT』の頂きに君臨する一台

BMWやメルセデス・ベンツと肩を並べるブランドイメージを持つアウディ。しかし、40代の大人のカーガイが学生だったころ、日本ではアウディに今のような洗練されたイメージはなかったかもしれない。個人的には、クワトロシステムを引っさげて、WRCなどでレースシーンを席巻する通好みマシンといった印象。「ファーレン」や「DUO」といったディーラーでフォルクスワーゲンと併売されていたこともあり、「フォルクスワーゲンより少し高い車」といった程度の認識だった。

潮目が変わったのは1990年代後半、「アウディジャパン」が専売としてディーラー網を構築してからだ。その後の躍進はここで語るまでもないだろう。そんなブランドイメージの転換に大きく寄与した一台が、『TT』である。よくいえば質実剛健なセダンを作るメーカー、悪くいえば華がない。そんなアウディに、スポーティさというイメージを植え付けることに成功した名車である。

それだけに、『TT』にはアウディが持つ先進技術が惜しみなくつぎ込まれた。なかでも、その頂きに位置する『TT RS』は、数多くのこだわりが詰まっている。

歴代『TT』のなかで最速タイムを叩き出す『TT RS』の新開発オールアルミエンジン

新型『TT RS』の最大のこだわりは、パワートレインだ。新開発のオールアルミ製の直列5気筒ターボエンジンは、従来型に比べて26kgの軽量化を実現。新たなターボチャージャーを備え、先代モデルに比べて最高出力は60馬力アップの400馬力を発揮、最大トルクは30Nm高められて480Nmを叩き出す。

トランスミッションは、マニュアルトランスミッションのクラッチ動作を完全自動化した7速Sトロニック。エンジンとトランスミッション、そして、アウディのお家芸、クワトロフルタイム4WDシステムを組み合わせることで、いかなる路面状況においてもパワーを余すことなく確実に路面へ伝達し、優れた高速安定性と操縦安定性を実現した。その結果のひとつが、0-100km/h加速タイム。3.7秒(ロードスターは3.9秒)は、歴代『TT』で最速となる。

クワトロフルタイム4WDシステムも進化を遂げた。新型『TT RS』に合わせ、コンパクトかつ軽量な電子油圧制御式の多板クラッチをプロペラシャフトの後部に配置することで、前後重量配分を最適化。また、『TT RS』として初めてクワトロフルタイム4WDシステムと4つの走行モード、「comfort(コンフォート)」「auto(オート)」「dynamic(ダイナミック)」「individual(インディビジュアル)」が選択できる「アウディドライブセレクト」を協調制御することで、先代モデルよりも緻密なドライビングが可能になった。

具体的には、コーナリング時などに狙い通りのラインをトレースするようトルク配分を調整し、ドリフト状態になった場合でもESC(エレクトロニックスタビライゼーションコントロール)が内輪のブレーキを調整してくれるという。

ちなみに、足回りでは、4リンク式リヤサスペンションを採用し、ダイナミックで正確なハンドリングを実現。また、ステアリングでは、シーンごとに最適なハンドリング特性が得られる「プログレッシブステアリング」を採用し、そこに「RS」専用のスポーティなチューニングを施している。

アウディのブランドスローガンである「技術による先進」を具現した新型『TT RS』

エクステリアでは、存在感のあるハニカムメッシュのシングルフレームや専用のフロントバンパー、固定式スポイラーなどをフロントに装備することで、精悍さと特別感を強調している。また、リアでは、テールリッドに設置されたウイングがスポーティさを際立たせる。

テールライトには、アウディの量産モデルとして初のOLED(有機発光ダイオード)をオプション設定した。OLEDを採用することで、均質かつ明確なコントラストを持ち、部分的に明るさを調整することも可能となった。また、消費電力が少なく、ライトユニットの重量も軽減できたという。

インテリアは、スリムなインストルメントパネルが備わったコクピットがクリーンなラインでまとめられ、整然としたレイアウトを生み出した。シートはアルカンターラを採用し、ダイヤモンドのパターンが刻み込まれた。バックレストには「RS」のロゴを見ることができる。

操作系はドライバーファーストだ。主要な機能は、ステアリングから手を放すことなくコントロール可能。また、先進的な「アウディ バーチャル コックピット」を標準装備した。インスツルメントパネルに標準装備された12.3インチのTFTディスプレイには、スピードメーターやタコメーターだけでなく、ナビゲーションシステムをはじめとする様々な情報を表示できる。
販売は5月中旬からで、価格は『TT RSクーペ』が962万円、『TT RSロードスター』は978万円となっている(いずれも税込み)。アウディのブランドスローガンである「技術による先進」を具現した装備やエンジンを搭載した新型『TT RS』。どこかで聞いた台詞ではないが、最新こそ最良といえる一台だろう。

Text by Tsukasa Sasabayashi