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ロータス『3-イレブン』―—世界一高価なホビーカー

イギリス、ウェスト・サセックス州グッドウッドで年に一度開催される自動車の祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」。クラシックカーから最新のスペシャリティカーまで一堂に会する、世界的にも注目度が高い催しだ。主催者は貴族であるリッチモンド侯爵家。英国郊外の荘園文化も相まって、「モータースポーツのガーデンパーティー」とも称される。そのグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2015において披露されたのが『ロータス・3-イレブン』だ。それから2年、待望の日本でのデリバリーが開始された。

ロータスの哲学「より速くより軽く」から生まれた史上最速の量産車『3-イレブン』

ロータスのブランドコンセプトは「余計なものは、ない方がいい」。常に、『Faster and Lighter(より速くより軽く)』を追求する車作りには、ある種の哲学さえ感じる。そのロータス哲学を新たな次元に引き上げたのが、『3-イレブン』だ。いわく「ロータス史上最速の量産車」である。

圧倒的な速さを実現した最大の要因は、言わずもがな「軽さ」だ。ボディは重量、空力、構造的な要求に応えるため、軽量なカーボン複合材を採用。FRP(繊維強化プラスティック)を使用した場合に比べて40%の軽量化を実現した。この製造方法は、ロータスの量産車として初めて。しかし、ただ軽いだけでは史上最速は望めない。そこには、レースで培った機能美を有するエクステリアの力も関係する。

助手席すらオプション、「形は機能に従う」という言葉通りの『3-イレブン』の機能美

ロータス哲学によって形作られたボディは、最適化された断面積で冷却を最大限に活用。ドラッグ(抗力)を可能な限り抑えた。レースカーの技術を導入しながら、公道走行が可能なスーパーカーとしても洗練された見た目を実現したエクステリアといっていいだろう。

ダイナミックなサイド部分は、フロントホイール・アーチからきれいに抜けており、空力学的に優れたロールバー・カバーが車の輪郭を特徴づけている。ちなみに『3-イレブン』には、ウインドスクリーンとドアがない。

また、アグレッシブな印象を与えるフロントフェイスの大開口は、パワートレインとトランスミッションに必要な冷却を実現するために必要不可欠なもの。リアウイングもアグレッシブなスタイルを強調しているが、当然これも空気抵抗を考えてのものだ。

インテリアに目を向けると、これも必要最小限。レースバージョンに至っては、助手席さえもオプション設定である。まさに、「余計なものは、ない方がいい」、『Faster and Lighter(より速くより軽く)』を地でいく作りだ。

この結果、『3-イレブン』の2つあるグレード「ロードバージョン」と「レースバージョン」の乾燥重量は、いずれも驚異の1t切り。ロード925kg、レース890kgまで絞り込んだ。

車体が吹っ飛びかねない驚異のパワーウェイトレシオ1.91kg/psのレースバージョン

これだけ軽量化されたボディに搭載される心臓部は、『エヴォーラ400』の3.5L V6 水冷インタークーラー付スーパーチャージャーエンジンの改良版だ。

ロードバージョンの最高出力は416ps(306kW)/7000rpm、最大トルク410Nm(41.8kgm)/3000rpm。レースバージョンの最高出力は466ps(343kW)/7000rpm、最大トルク525Nm(53.5kgm)/3500pm。最高速度は、ロードが280km/h、レースは290km/hを記録し、0-100km加速はロード3.4秒、レースは3.0秒を叩き出す。

この数値と車両重量から割り出すパワーウェイトレシオはロード2.22kg/ps、レース1.91kg/ps。パワーに対して車両が軽すぎて吹っ飛んでしまわないように、レースバージョンは240km/h時に215kgのダウンフォースを発揮させるように設計されたという。

ちなみに、トランスミッションはクロス・レシオ6 速マニュアル。レースバージョンは、パドルシフト付6 速シーケンシャルトランスミッション(セミドライサンプ)が組み合わされている。

販売台数はプレミア必至の世界限定311台(3-イレブン)、価格は1495万円〜2025万円

驚異の加速と最高速を受け止める足回りには、前後ダブルウィッシュボーン、調節可能なアンチロールバー、アイバッハ製コイルスプリング、調節可能なオーリンズ製のダンパーを装備。強烈なパワートレインながら、高いハンドリング性能を実現した。

強烈な動力性能を受け止めるストッピングパワーを得るために、AP レーシング製の4 ポットキャリバーを2 ピースベンチレーテッドブレーキディスク(前332mm)で補完。レースバージョンには、さらにアップグレードされたブレーキパッドが採用された。

価格は、消費税込みでロードバージョンが1495万8000円、レースバージョンは2025万円。誤解を恐れずにいれば、世界でもっともエクスペンシブなホビーカーかもしれない。しかし、世界限定で311台(3-イレブン)の限定生産なので、あっという間に入手困難なプレミアムカーになってしまうのだろう。

Text by Tsukasa Sasabayashi