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- 40男が嗜む逸品 -

さまざまなシーンで“使える”久留米絣の現代風「もんぺ」

「もんぺ」と聞くと昭和な印象があるが、最近はファッションにも取り入れられるなど、その良さが見直されている。福岡県八女市にある「うなぎの寝床」の久留米絣もんぺは、これまでのもんぺのイメージとは一線を画す現代風のもの。多彩な柄とカラーの久留米絣を使って細身のシルエットに仕上げており、日常着としても楽しめる。

着心地抜群の久留米絣を細身のもんぺに

「うなぎの寝床」は、作り手と使い手を繋ぐアンテナショップとして、福岡県南部の筑後地方周辺で作られた生活用品を中心に取り扱う。今回紹介する現代風のもんぺは、同社のオリジナル製品で、久留米絣の織元とともに作り込んだ生地を用いたものだ。

同社代表の白水高広さんによると、久留米絣は1800年頃にその歴史が始まった。筑後地方には現在も約30件の織元があり、日本の絣産地のなかでも生産者が残っている地域と言えるそう。久留米絣を使ったもんぺの良さは2つあると白水さんは教えてくれた。

「まず1つは柄です。久留米絣は糸を縛って染め、縛った部分が模様になる技法を用いていて、かすれた感じに味わいがあります。2つ目は自動織機で織られた生地の着心地です。60年〜70年前に製造された着物幅の自動織機を織元さんがメンテナンスしながら使っています。ゆっくりと織られた生地は風合いがよく、着心地が抜群です」(白水さん)
同社のもんぺは、基本的に機械織りで化学染料染めの久留米絣を使っている。そのため、多彩な柄に加えて、色も豊富なのが特徴だ。そして、現代風である所以は、そのシルエットにある。

「かつてのもんぺは、お尻周りが本当に大きくダボッとしていました。うなぎの寝床のもんぺは、細身なのが特徴です。また、あとから絞れるようにゴムと紐を併用したウエストやゴムを使った裾部分、前ポケットや膝当てといったもんぺの機能を残しつつ、現代でも履けるように工夫しています。細身ですが、男女兼用でS・M・Lの3サイズがあり、身長や体型に合わせて選べます」(同)
畑から街へそのまま繰り出せそうなデザインで、いろいろなシーンに合わせやすい現代風のもんぺ。細身になった背景には、久留米絣の特色や「うなぎの寝床」ともんぺとの歴史も絡んでいるそうだ。「うなぎの寝床」では、オリジナルのもんぺを手がける前から「もんぺ博覧会」なるイベントを開催しており、その始まりは2001年に遡る。

「久留米絣を使った製品は呉服や婦人服が多く、唯一自分でも着られそうだと思ったのがもんぺでした。もんぺは、もともと戦時中に活動衣として指定され、久留米絣のもんぺは着心地の良さから戦後もこの土地で農作業着として定着しました。そこで、日常着として提案しなおしたら、まだまだ着てもらえる可能性があるのではないか、という思いで博覧会の企画を始めました」(同)

当初は1回きりの開催の予定だったが、織元が作ったもんぺを展示・販売したところ、好評を博し、継続することに。そして、2年目には、現代風もんぺの型紙の販売を開始する。筑後地方では、久留米絣の生地や着物が箪笥の肥やしになっている家庭があり、「もんぺは買わなくてもいいけど、型紙が欲しい」との要望が多かったのだそうだ。

「要望に応えるため、妻と義母に型紙を引いてもらいました。久留米絣の生地は着物に合わせた着尺の幅(約36〜8cm)で、型紙もそれに合わせて取っています。昔は久留米絣も大量生産されていましたが、今は普通の布よりも高価です。そのため、なるべく効率良く布を使えるように型紙を取った結果、生まれたのが細身の『現代風もんぺ型紙』なんです」(同)

現代のニーズにマッチした腰回りがすっきりとしたデザインは、こうして生まれたのだそうだ。すると、今度は「型紙を使ったもんぺが欲しい」という声があがるなど、様々な要望と高まる需要に対応していった結果、ついには「うなぎの寝床」が自らメーカーとして織元への生地の発注から製造、卸までを手がけることになったという。

全7色ある無地やポップな十字模様など豊富に取り揃え

織元とともに作ったオリジナルの生地を用いた「うなぎの寝床」のもんぺ。そのいくつかを紹介すると、まず、コーディネートしやすい「無地」のもんぺは、久留米絣の風合いがよくわかる一着だ。

写真のベージュをはじめ、ブルー、ブラックなどカラーは全7色と豊富。また、同社のもんぺの生地の厚さはベーシックと厚地があり、「無地」では7色中5色で2種類の生地が用意されている。ベーシックは夏場を中心に春から秋にかけて涼しく過ごせ、一方の厚手は肌寒い時期にまで対応したオールシーズン用。なお、真冬に着こなす場合は、厚手を履いたうえで、もう一枚下に履いておくレイヤリングをすれば安心だそうだ。
こちらは「ずらしストラップ」で、ブラック、グレー、ブルー、ベージュの4色がある。ぱっと見はふつうのストライプのようで、実は線が少しずつずれているという久留米絣の特徴を活かしたデザインになっている。4色とも、生地はベーシックと厚手の両方が用意されている。
「十字模様」は、無地と十字柄という2枚の生地を組み合わせたポップなデザイン。こちらはベーシックのみの展開となっており、汗をかきやすい時期に活躍する一着だ。

このほかにも、「うなぎの寝床」のもんぺは、多彩なデザインが揃えられている。従来のワークパンツ的な用途はもちろん、街着、軽ハイキング、部屋着と日常のさまざまなシーンで活躍してくれるだろう。

なお、「うなぎの寝床」では、前述した型紙も販売(税込1,080円)。どの程度の腕前があれば作れるものか聞いてみたところ、「ジッパーのようなものや複雑な部位はありません。服をつくったことがある人でしたら、ハードルは低いと思います!」と白水さん。手先に自信のある人は、お好みの生地を使ってチャレンジしてみるのもいいかもしれない。

Text by Fumio Miyata