男の隠れ家 201701
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洗練されつつ素朴な雰囲気も残る 歴史ある温泉地の宝庫

雪の便りを聞く時季になると、温泉が恋しくなる
宿の玄関で温かい笑顔の女将に迎えられ
温泉に浸かって降る雪を眺める幸せを味わいたい

城崎温泉
どこか懐かしく、そして新しい――
情緒あふれる温泉街の小粋な宿
但馬屋 [兵庫県豊岡市]

女将 柴田美鈴さん/女将の柴田美鈴さんの明るく華やかな笑顔に、気持ちがすっとほぐれていく。

女将のオススメ

一 3つの個性的な貸切風呂を満喫
二 但馬の海山の恵みあふれる会席料理
三 全て意匠が異なる風情ある12の客室

心を込めて花を生け
お客様をお出迎え

からん、ころん。浴衣姿の人々が暮れゆく町を背景に、しだれ柳の下をそぞろ歩く。城崎温泉の外湯巡りの風景は、ゆったりと艶めいて情緒にあふれている。

その中心地、人気の「御所湯」のすぐそばに建つ、風格ある宿が「但馬屋」である。創業は大正15年(1926)、現在は四代目当主の柴田良馬さんと、母である女将の美鈴さんが宿を切り盛りしている。
館内は和風モダンのシックな佇まいで、隅々まで小粋なセンスが息づく。柔らかな風合いの土壁、古木や竹などの木材を随所に生かして、自然な温かさを醸し、心地良い癒しの空間をかたちづくっている。

客室は全12室。古木や和紙などを効果的に配し、古民家の安らぎや隠れ家のような心地良さを表現したゲストルームは、それぞれに異なる趣向を凝らしている。雪見障子から漏れる光、趣ある網代天井、繊細な障子の桟、床暖房を施したメープル材の床の柔らかな色合いなど、どの部屋も上質な空気に満ちている。毎回異なる部屋に泊まる人、気に入りの部屋を何度もリピートする人など、ゲストも様々な楽しみ方をしているという。
古民家のような風情が漂う部屋は「宵ごころ」の間。

 

女将の美鈴さんはゲストが到着した後に必ず、着物姿で部屋まで挨拶に出向く。
「最近はお部屋でのご挨拶をしないスタイルのお宿もあるようですが、うちではご挨拶をとても大切に考えているんです。会話を楽しみにしておられるお客様もいれば、静かにお過ごしになりたい方もおられます。あるいはお料理についてなら、苦手な食材やアレルギーについてお聞きしたり、明日のご予定なども確認して、スケジュールのお手伝いをしたり。お顔を見ながらお話をすることで、お客様のご希望や旅の目的を把握して、程よい距離感の中で、痒いところにも手が届く。そんなおもてなしを心がけるようにしています」

美鈴さんの一日は忙しい。朝、チェックアウトしたゲストをお見送りし、いったん、自宅で家事を済ませた後、午後にまた出勤する。今日のゲストの確認をして、館内全体をチェック。部屋の見回りを兼ねて、部屋ごとに似合う花を生けて回る。そうこうするうちにゲストが到着し始めて、女将の忙しい時間が始まる。
笑顔で挨拶をする女将。さりげない会話から、ゲストのニーズを読み取る。

和モダンな空間美と
地産地消の味を愉しむ

館内には3つの内湯があり、それぞれが個性的な貸切風呂になっている。「竹葉の湯」は格子状に組み上げた竹が上品な雰囲気を醸し出す優雅な空間。なんと畳敷きの風呂になっていて、小さな赤ちゃん連れの家族などに喜ばれているそうだ。「花玄の湯」は2つの大釜が据えられており、ゆったりとジャグジー風呂を楽しめる。「きららの湯」はレトロな雰囲気の中、自然な風合いの信楽焼の風呂釜にゆっくりと浸かり、露天風呂の風情を満喫できる。
上:美しい格子に組まれた竹から柔らかな光が漏れ、『竹取物語』の世界を思わせる「竹葉の湯」。畳敷きで優美な雰囲気が漂う。中:開放感ある露天風呂の「きららの湯」。信楽焼の風呂釜が素朴な優しさを添える。下:2つの大釜が据えられた「花玄の湯」。釜にすっぽりと体ごと浸かって、ジャグジー気分を満喫できる。

冬の城崎の贅なる美味
ぎっしりと身の詰まった津居山がに

温泉宿のもうひとつの楽しみはもちろん食事だ。湯に浸かって疲れを洗い流した後は、但馬の食材をふんだんに取り入れた地産地消の味わいに舌鼓を打つ。春から秋はまろやかなサシが細やかに入った但馬牛、冬場はもちろん津居山港を中心とした近海の海の幸と松葉がに。野菜や米も地元産をメインに揃える。和洋折衷でメリハリの効いた会席料理を、地酒とともに堪能するひとときはまさしく、温泉旅のクライマックスと言えるだろう。
冬の華やかなりし味わい、津居山がに。誇らしげな青いタグがブランドの証し。
上右:甘エビ、イカ、寒ブリなど津居山港に揚がる新鮮魚介を中心に、日本海の恵みをたっぷりと盛り込んだ造り。上中:しっとりと仕上げた但馬牛のローストビーフは、ワインにもよく合う。上左:姿も美しい津居山がにの刺身。ぷりぷりの身はジューシーな甘みに満ちている(かに料理は11月~3月の間のみ)。下右:まろやかな味わいの汲み上げ湯葉。下中:洋風のモダンな一皿がコースに盛り込まれることも。下左:松葉がにと並んで人気がある但馬牛のしゃぶしゃぶ。※料理は季節やコースによって異なる。また、アラカルトも豊富に揃っている。
旬の魚介をはじめとする地産地消の料理にはやはり、地元但馬の酒を合わせたい。但馬屋オリジナル地酒のほか、香住鶴や竹泉などの地酒も豊富に揃う。地酒3種を選んで楽しむ飲み比べは864円~。ほかに城崎の地ビールもおすすめ。

 

食後は色とりどりのデザイン浴衣から選んだ浴衣を着て、外湯巡りや夜の散策を楽しむのもいい。
「さりげなく、優しさのあるおもてなしをモットーに、日々、精進していきますのでぜひおいでください」

女将の柔和な笑顔ともてなしの心が、大切な旅の時間をさらに温かく豊かなものにしてくれる。
色とりどりのデザインが揃う浴衣と帯から好みのものを選べる。男性用も2種からチョイスできる(ブランド浴衣は1296円プラス)