ルノー トレゾア画像01_640x396
- 大人のための最新自動車事情 -

ルノーの提案、クルマのデザインは●●年にこうなる

パリサロン2016のプレスデー。ルノーは『TREZOR(トレゾア)』と名づけた1台のコンセプトカーを発表した。近未来のEV(電気自動車)グランツーリスモは、どのようなものになるのか? そして次世代のカーデザインとは? こうした問いに対してルノーが自らの進む道を示唆したのが、このトレゾアである。

ルノーがパリサロン2016で発表した大胆なデザインのEVコンセプトカー『トレゾア』

コンセプトカーは、自動車メーカーが最先端のテクノロジーやデザイン、ビジョンを示す試作車である。メーカーが描くクルマの未来像を感じ取ることができる一方、市販を前提としていないので、奇抜で現実離れしたスタイリングのモデルが多いのも事実だ。

そういう意味で、ルノーがパリサロン2016で発表した2シーターのEVグランツーリスモ『トレゾア』は、極めてコンセプトカーらしいコンセプトカーといっていい。

全長4700mm×全幅2180mm×全高1080mmというディメンションを持つ低く幅広いボディの下には、ルノーも参戦するEVレースの最高峰、「フォーミュラE」マシン用の350hpモーターを搭載。0-100km/hを4秒以下で駆け抜けるという。しかし、このクルマで注目すべきは、パワートレインではなく、やはりその大胆かつ奇想天外なデザインだろう。

ボンネットからルーフが一体となって持ち上がるトレゾアの「クラムシェルルーフ」

ご覧の通り、このクルマにはドアがない。その代わりとなるのが、ボンネットからルーフまでが一体になった「クラムシェルルーフ」。乗り降りの際には、このクラムシェルルーフが前方に大きく持ち上がる。ドライバーや同乗者はサイドシルをまたいで室内にアクセスしなければならない。

この大胆な仕掛けによって実現したのが、ボディパネルの継ぎ目のない美しいスタイリングである。大きな曲線を描いて盛り上がるフロントフェンダーも、ボディパネルの継ぎ目がないからこそ可能となったものだろう。
各部に配された「六角形」のモチーフも特徴的だ。フロントグリルやボディ後部に六角形のテクスチャーが施され、見る角度によって異なる表情となるマットな質感を醸し出している。ボンネットの中央にも六角形の模様が見えるが、これは一つひとつが可動式になっており、必要に応じてエアインテークとして働く。

真っ赤なレザーが印象的な室内は、ドアがないためにトリムとシートが一体となっている。スクエアなステアリングと大型ディスプレイだけで構成されたシンプルな運転席周りは、自動運転を見すえたものだろう。全体的に未来を強く感じさせるデザインだが、インテリアを囲うレザーやシフトノブなどに使われている金属の質感からは普遍的なスポーツカーらしさも感じられる。

ルノーの次世代市販車で採り入れられる可能性が大きい『トレゾア』のデザイン要素

このトレゾアというコンセプトカーが示唆しているのは、次世代ルノーのデザインだ。ルノーは、2010年に発表したEVコンセプトカー『デジール』で示したデザインのエッセンスを『ルーテシア』『メガーヌ』などの市販モデルにフィードバックしている。

なかでも、2013年登場の新型ルーテシアは、その後のルノー全モデルに採り入れられた新デザイン戦略のスタートを宣言したものだった。おそらく、これから生まれるルノー車にはトレゾアで示したデザイン要素が採用されることになるはずだ。

コンセプトカーだけに、どうしてもクラムシェルルーフなど奇抜な部分に注目してしまいがちだが、シャープな形状のヘッドライトやラグジュアリーな印象を与えてくれるボディラインは、市販モデルでも実現可能なものだ。

数年先、ルノーのニューモデルを街で見かけたときには、このトレゾアを思い出してほしい。きっと、その面影を見ることができるはずである。

Text by Muneyoshi Kitani