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甦ったマッスルカー、ダッジ『チャレンジャーT/A』

最近、“マッスルカー”と呼ばれるアメ車がクルマ好きの40代を中心に人気となっている。その人気の理由は、一度はドイツ車を手に入れた彼らだが、街中で同型のドイツ車とすれ違うことが多く、また、上位グレードの多さにも興ざめ。そこで、子供のころに映画やテレビで見て憧れたマッスルカーに乗り換えているという。マッスルカーといえば、シボレー『コルベット』『カマロ』、フォード『マスタング』、ダッジ『バイパー』などが有名だが、そのなかでも大注目株の1台を紹介しよう。それが、ダッジ『チャレンジャーT/A』だ。

映画『バニシング・ポイント』や『デス・プルーフ』で活躍した伝説のマッスルカー

このクルマほど、多くの映画でその激走ぶりを披露したマッスルカーは他にない。たとえば、アメリカン・ニューシネマの代表作『バニシング・ポイント』(1971年公開)、この作品をオマージュしたクエンティン・タランティーノ監督の『デス・プルーフinグラインドハウス』(2007年公開)、さらに『ワイルド・スピード2』(2003年公開)等々。アメリカ映画の主役に、あるいは敵方として登場し、その格好良さに目を見張った人も多いはずだ。

さて、本題に入ろう。1970年に登場したチャレンジャーには、『T/A』という特別なモデルがあった。『T/A』とは「TRANS AMERICAN」の略称で、当時開催されていた「トランス・アメリカン・セダンレース」、通称「トランザム」のこと。このレースに出るために2500台だけ作られたホモロゲーションモデルが『T/A』だ。

ダッジブランドを擁するクライスラーは、2016年9月、伝説ともなっているこのクルマをチャレンジャーシリーズの2017年モデルとして復活させると発表。幻の『チャレンジャーT/A』が現代に甦ることになったのだ。

ライバル『カマロ』『マスタング』を打倒するべく投入された『チャレンジャーT/A』

1970年デビューのチャレンジャーは、大排気量のV8エンジンからハイパワーを発揮するスペックで、タービン・エンジンの搭載を想定したグリルデザインが特徴的だった(最終的には搭載されなかったが)。

低く精悍なボディシルエットで、当時流行の「コークボルトライン」と呼ばれたデザインを採用。グレードは3種類あり、最上位の『チャレンジャーR/T(ロード/トラック)』をベースにして、トランザムレース出場用のホモロゲーションモデル、『チャレンジャーT/A』が製造された。当時はトランザムレースの結果がマスタングやカマロなどのマッスルカー市場の販売実績に大きな影響を与えており、『チャレンジャーT/A』は既存のマッスルカーを追い上げるべく投入されたモデルだった。

そのため、ワークス参戦は絶対条件で、『チャレンジャーT/A』に搭載されたパワーユニットは、340キュービックインチ(5700cc)V8エンジンに3つの2バルブキャブレーターで、290馬力を絞り出したという。軽量化のために、専用のFRP製エンジンフードが採用され、排気管をボディのサイドにレイアウト、リアデッキスポイラーも標準装備していた。

下の写真の手前が先代の『チャレンジャーT/A』、奥が2017年モデルだ。

『チャレンジャーT/A』の393万円から、自分のなかの狼を呼び起こしたい大人の男へ

今回発表された2017年モデルの『チャレンジャーT/A』には、2種類のグレードが用意されている。

現行モデル『R/T』の排気量5700cc V8エンジン(370馬力)と、同じく『SRT392』の排気量6400cc HEMI(ヘミ)仕様V8エンジン(485馬力)があり、両グレードとも先代の『T/A』を思い起こさせるボディシルエットと装備になっている。この「ヘミ」とは、ダッジを作っているクライスラーのパーツ部門の中のレース活動を行っている「MOPER(モパー)」が仕上げたエンジンのことだ。

エンジンフードはFRP製ではないが、太陽光の反射を防ぎ、レースに出場した際はカーナンバーが目立つつや消し黒のサテンブラック仕上げで、アクセサリーとしてフードピンが純正装備されている。ルーフもサテンブラックなうえ、リアデッキスポイラーも装備し、これらによって否が応でもレーシング気分を盛り上げてくれる。
内装は現行モデルと大きな変更はないが、スピード・タコメーターはホワイトメーターが採用され、シートの背もたれには『T/A』の刺繍が入っている。復活モデルだからといって、仰々しい記念プレートもナンバリングもない。この潔さが逆にうれしい。
北米での予約注文は10月から始まっており、価格は下位グレードなら約393万円からとなっている。意外にお手頃だけに、そろそろ「自分のなかの狼」を呼び起こしたい大人の男は、そのきっかけのひとつとして『チャレンジャーT/A』を選択肢に加えてみるのもいいのではないだろうか。

Text by Katsutoshi Miyamoto