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- スーパーカーブランド【フェラーリ】 -

フェラーリ初の4シーターV8ターボ『GTC4ルッソ T』

フェラーリのスペチアーレ、『ラ・フェラーリ』のオープンモデルである『ラ・フェラーリ アペルタ』のワールドプレミアが注目を集めたパリサロン2016。しかし、この自動車ショーではもう1台、フェラーリがサプライズ的に発表したモデルがあった。それが『GTC4ルッソ T』だ。ボディはV型12気筒自然吸気エンジンの『GTC4ルッソ』と同じだが、『GTC4ルッソ T』はV型8気筒ツインターボエンジンを搭載する、フェラーリ初の4シーター・V8ターボモデルである。

SUVが持て囃される時代にあえて「シューティングブレーク」を採用したフェラーリ

マセラティ、ベントレーなどのブランドも、実用性の高いSUVをラインナップするようになった近年の高級車市場。あのランボルギーニでさえSUVモデルの開発を進めている。

しかし、フェラーリの場合、SUVをラインナップするのはその歴史や伝統が許さない。そこでフェラーリが出した答えが、2011年デビューの『FF(フォー)』と、その後継モデルとして2016年に登場した『GTC4 ルッソ』だ。

あえてSUVという流行に乗らず、クーペボディにステーションワゴンを融合させた「シューティングブレーク」スタイルを採用し、フェラーリ初の4WDを搭載。スポーティさに加え、その高い実用性から新たな顧客の獲得に成功した。
『GTC4 ルッソT』は、この『GTC4ルッソ』から派生したターボ搭載バージョンだ。モデル名の『GTC4ルッソT』にある「T」とは、ターボを意味する。

従来の『GTC4ルッソ』より実用域の使い勝手が高められたターボモデルの『GTC4 T』

『GTC4ルッソT』が搭載する3.9L V8ターボエンジンは、最高出力610ps、最大トルク760Nmを発生。駆動方式も4WDからFR(フロントエンジン+後輪駆動)に改められた。

12気筒から8気筒、4WDからFRへ。そう聞くと、前者がフラッグシップで、後者が下位モデルのように思うかもしれない。しかし、もちろん『GTC4ルッソT』は『GTC4ルッソ』の廉価版などではない。

従来モデルの6.3L V12エンジンは、最高出力690psとV8ターボよりもパワフルだが、最大トルクは697Nm。むしろトルクは『GTC4ルッソT』のほうが上回っている。また、最大トルクを発生するエンジン回転数は、V12の5750rpmに対し、V8ターボは3000~5250rpmと幅広い。これは、単に最大トルクが増強されただけでなく、実用域での使い勝手が高められたということだ。

最高速度こそ、パワーに勝る『GTC4ルッソ』が上だが、0~100km/h加速はV12を搭載する『GTC4ルッソ』の3.4秒に対して『GTC4ルッソT』は3.5秒とほぼ同じ。ちなみに、このV8ターボエンジンは『カリフォルニアT』のエンジンがベースだ。しかし、そこはフェラーリだけに、単純に流用するのではなく、馬力もトルクも大幅に向上させ、最新の技術を用いてリファインしてある。

『GTC4 T』は普段使いからサーキットまであらゆるシーンに対応するオールラウンダー

『GTC4ルッソT』のもうひとつのポイントは、その軽さだ。エンジンと駆動方式の変更により、車両重量は『GTC4ルッソ』より55kgも軽い1865kgを実現。これによって限界領域での基本的な運動性能が向上した。

さらに、『GTC4ルッソT』にはサイドスリップコントロールや電子制御サスペンションなどの最新デバイスが組み込まれており、すべてが統合制御される。ルッソから継承された4WS(四輪操舵)は、FRとの相性も抜群。ワインディングやクローズドコースで、さらに軽快でリズミカルなドライビングが愉しめるだろう。

V8ターボのFRとなったことで、フェラーリらしいピュアスポーツカーに軸足を向けた側面もある。普段使いからサーキットのスポーツ走行まで、あらゆるシーンに対応するオールラウンダーとなった『GTC4ルッソT』。古くからのファンも初めて跳ね馬に触れる人も、すべての人を満足させるフェラーリとなりそうだ。

Text by Tetsuya Abe