奥渋谷・松濤の通いたくなるトラットリア「TRATTORIA Babbo」
- 誰にも教えたくない。「行きつけの店」 -

奥渋谷・松濤の通いたくなるトラットリア「TRATTORIA Babbo」

女性は、男性の「いきつけの店」を意外と冷静に値踏みしているものである。たとえば少し背伸びしたくなるオーセンティックなバー。店構えはくたびれていても抜群に美味しい焼き鳥屋。そんな好ましい「いきつけ」のなかでも、気さくで居心地がよく、なにより美味しいトラットリアは、かなり好感度の高い部類に入るだろう。昨年10月、松濤にオープンした『TRATTORIA Babbo』は、まさにそんな「いきつけ」にしたい魅力たっぷりの店だ。

居心地のいい店内で楽しむ伝統的なイタリアン

東急本店前から松濤郵便局方面へ歩いて数分、松濤の静かな裏通りに佇む『TRATTORIA Babbo』は、伝統的なイタリアンをベースにしたトラットリアだ。フィレンツェ、ボローニャ、ミラノで修行を積み、長い間高級レストランで仕事をしてきたシェフの松田宏昌氏が、この店では原点に戻って「友人や家族に毎日食べてもらいたい、素材を活かしたシンプルな家庭料理」を目指しているという。
店内に足を踏み入れると、まずは印象的なのが木材をヘリンボーンに組み合わせた床。天井までがぐるりと板張りで、通りに面した窓からたっぷり入る日差しが、さらに温かみのある雰囲気を醸し出している。席間もゆったりととられているので、居心地の良さは格別だ。

最初の一皿には、ぜひ「Babbo プレート」(4000円/税抜)を。生ハム、サラミ、田舎風パテ、サルシッチャなどの肉料理と、 バーニャカウダとピクルスの野菜料理が両方楽しめる欲張りな盛り合わせ。あふれんばかりに盛りつけられた肉と野菜が贅沢なBabboの名物料理だ。
「北海道産蝦夷鹿のロースト 赤ワインソース」(2600円/税抜)は、あっさりしていながらコクのある蝦夷鹿肉を、甘夏のジャムとピンクペッパーと赤ワインソースでいただく一品。あざやかな赤身に甘夏ジャムのオレンジが映え、目も舌も楽しませてくれる豊かな一皿だ。
「白エビとイカのスパゲティ イカスミ仕立て」(1600円/税抜)は、皿にぐるりと塗ってあるイカスミを自分でパスタと絡めて完成させるメニュー。こんなちょっとした遊び心が、食事を楽しくしてくれる。

100種類以上のビオワインに、自家製リキュールも

肉料理はシンプルな炭火焼がメイン。サルシッチャや大山鶏、イベリコ豚などの定番メニューに加えて、今季は良質な牧草で育った福永牛がいち押しだそう。
その他にも炭火で焼き上げた鴨胸肉と夏野菜を合わせ、レバーペーストでコクを出した「鴨と夏野菜のファルファーレ レバーペースト和え」(1600円/税抜)など、どれも奇をてらわないシンプルでしっかりとした味つけは、確かに毎日食べても飽きない美味しさ。量もたっぷりなので、二人で違うメニューを選んでシェアするのがオススメだ。

店長兼ソムリエの唐澤崇氏が選ぶワインは、ブドウそのものの風味が活かされたビオワインを中心に100種類以上が用意されている。暑い季節のおすすめはさっぱりしたロゼだとか。他にもグラスワインは700円から。自家製のリモンチェロをはじめ、オレンジ、りんご、イチゴなどのフルーツリキュールも揃っている。

偵察がてら、まずはランチに足を運んでみるのもいいだろう。パスタランチ(1180円/税込)はミニサラダとパン、食後のドリンク付き。日替わりのパスタも、ランチとは思えないほど力が入った一皿だ。さらにオリジナルブレンドのスペシャルティコーヒーも美味しいのが嬉しい。
入口のカウンターではコーヒーのテイクアウトもしている。コーヒーを待ちながら立ち話に興じるお客さんたちの姿からは、街に馴染んだ店ならではの心地いい空気が漂ってくる。まさに気軽さと質の高さが同居した、通いたくなる店なのだ。
ちなみに店名のTRATTORIA Babboは、訳すと「オヤジの食堂」という意味だそう。タイミングを見計らって「そういえばこの店名ね……」と切り出してみてはいかが。

Text by Shoko Iwane