“アンコール”したくなる上質な一皿を南青山「bis tris」で
- 40男、至高のグルメガイド -

“アンコール”したくなる上質な一皿を南青山「bis tris」で

2016年3月、南青山にオープンしたイタリアンレストラン「bis tris」(ビス トリス)。オーナーシェフは、トスカーナ料理の名店「リヴァ デリ エトゥルスキ」でイタリア人シェフ、ヴィットリオ・コッキ氏とピエトロ・アンドロソーニ氏に師事し、副料理長として腕をふるってきた對馬幸憲氏である。シックでモダンな内装に、四季折々の食材を活かした絵画のように彩り美しい料理が映える。仕事でもプライベートでも「ここぞ」というときに使いたくなる一軒だ。

遊び心のつまった色彩豊かなコース料理

イタリアの舞台などで使われるアンコールの掛け声、「bis」(ビス)。そこに2回目のアンコールの「tris」(トリス)を続けた「bis tris」という店名には、「何度訪れても新しい発見があり、いつも居心地の良い空間が広がっている。そんな感覚をお客様にも味わっていただきたい」という想いが込められているそうだ。

そんな店名に応えるように、ディナーは7〜9品のおまかせコース(8000円/税別・サービス料込)のみ。料理にあわせたワインペアリング(4杯・4200円/税別)も用意されている。コースの内容は季節やその日の仕入れ食材によって変わるので、いつでも新鮮な気分で愉しめるのが嬉しい。
旬の貝の旨味を凝縮させた「貝のズッパ」(写真上)は、出汁の味わいに、カラスミ、海苔、ドライトマト、ルーコラを入れたクルトンがアクセントと深みを加えている。「タリアテッレ 鳩 とうもろこし」(写真下)は、自家製手打ちのタリアテッレ。スプーンにのったとうもろこしの甘いムースを鳩のラグーソースに溶かしながらいただくモダンなひと皿だ。
パスタとメインの間に供される「ソルプレーザ」は、「サプライズ」という意味の名前通りに遊び心たっぷりのメニュー。フォアグラを使ったカプチーノにミニアイスバーに見立てたテリーヌが添えられ、まるで食後のコーヒーとデザートのように見える。
料理は、フロアの奥にあるカウンターで最後の仕上げをしてから運ばれてくる。シェフの手さばきを見ながら次のひと皿を待つ時間もご馳走だ。まさに一幕一幕、演劇を見るようにワクワクしながらコースを堪能できる。

料理を引き立てるシックでモダンな内装と厳選された食器

ランチは全部で4コース。日替わりの自家製生パスタがメインの「PASTA」(1500円)と、肉料理を中心にした「CARNE」、魚中心の「PESCE」(各1800円)は、それぞれパン、サラダ、小菓子とコーヒー又は紅茶付き。さらにガツンと食べたいときにはディナーコースを短く仕立てた「CHEF’S LUNCH COURSE」(4000円)がオススメだ。こちらはパスタとメインの両方がいただけて、さらに最初の一口、前菜、デザート、コーヒー又は紅茶が付く。ちなみにランチタイムは料理の他、飲み物などもすべて税込価格だ。
ランチといってもひと皿ひと皿が丁寧に盛り付けられ、夜のコースに引けをとらない美しさ。シンプルな器に料理が映える。料理の色味や盛り付けにこだわるため、食器やカトラリーなどもそれを最大に活かせるものを厳選しているそうだ。
シックでモダンな内装もまた、料理を楽しむ舞台装置のひとつ。全部で16席というこぢんまりとした店内だが、カウンターが臨めるテーブル席や落ち着いたソファ席などレイアウトが多彩。料理好きの女性とシェフの手さばきが間近に見られるカウンター前の席に陣取れば、会話が弾むことは間違いないだろう。一方、窓際にはパーテーションで区切られた半個室スペースもあるので、接待など仕事がらみでも使い勝手が良さそうだ。

昼間は窓からの柔らかな光が店内を明るく照らし、夜はダウンライトの穏やかな明かりがゆったりとした空気を演出する。上質な料理と時間が愉しめる、名前の通り「もう一度」とアンコールしたくなる店だ。

Text by Kazumi Kera