コルビュジエの絵画作品も鑑賞できるポンピドゥー・センター傑作展
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コルビュジエの絵画作品も鑑賞できるポンピドゥー・センター傑作展

世界文化遺産に登録されることが決まった、ル・コルビュジエ設計による建造物「国立西洋美術館本館」。そのコルビュジエ、実は建築と並んで絵画にも取り組んでいたことをご存知だろうか。その作品が現在開催中の「ポンピドゥー・センター傑作展―ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで―」に展示されている。

画家でもあった建築家コルビュジエ

JR上野駅を降りてすぐ、上野公園の入口近くに立つ直線的な建物――1959年に開館した国立西洋美術館だ。20世紀を代表する建築家コルビュジエは、鉄やコンクリート、ガラスといった新しい素材を使い、ピロティ、自由な平面、自由な立面、水平連続窓、屋上庭園という「近代建築の五原則」を提唱、装飾を排除し合理性・機能性を追求した建物を設計した。国立西洋美術館もコンクリート製であり、特徴的なピロティ構造など「近代建築の五原則」に則った、機能美溢れるモダニズム建築だ。

そのコルビュジエが建築家として活動する傍ら、絵を描いていたことは案外と知られていないだろう。そのコルビュジエによる絵画作品「静物」が、国立西洋美術館と同じ上野公園内にある東京都美術館で開催中の「ポンピドゥー・センター傑作展―ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで―」に展示されている。
ちなみに東京都美術館を設計した建築家前川國男はコルビュジエのアトリエで学んだ建築家であり、国立西洋美術館の建築にも携わっている。「ポンピドゥー・センター傑作展」へ行った際は、コルビュジエの影響を受けた東京都美術館の建物にも注目してほしい。

20世紀美術を心ゆくまで堪能できる展覧会

1977年、パリ4区にオープンした総合文化施設「ポンピドゥー・センター」(この名は芸術を推進する政策を行い、同施設の計画を発案したフランス大統領ジョルジュ・ポンピドゥーに由来する)。近現代アートを数多く所蔵するポンピドゥー・センターのコレクションから厳選された作品が、このたび「ポンピドゥー・センター傑作展―ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで―」として来日している。

コルビュジエの作品は1922年に描かれた油彩画「静物」(トップ画像)だ。実物を見に行ったら、じっくりと作品のすみずみまで見て欲しい。実はコルビュジエの本名は「シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ」といって、ちょうどこの作品を描いた30代半ばに先祖の名字から「ル・コルビュジエ」と名乗るようになったそうだが、この作品は本名の「ジャンヌレ」で描かれており、右隅にその名がサインされているのだ。さらに同展には巨匠の作品から現代美術、そして玄人好みの名品まで展示され、20世紀美術を心ゆくまで堪能できる。
激しい色彩の絵画「フォービズム」を生み出したマティスの『大きな赤い室内』(上)は、黒い線と赤を中心とした色彩で構成された強烈な画面が印象的だ。モンドリアンやマレーヴィチとともに抽象絵画の先駆者と呼ばれ、ドイツのバウハウスでも活躍したカンディンスキーの「30」(下)は、その名の通り30個に区切られた画面が目を引く。
ある物体(中身は不詳)を布と紐で包んでしまう『パッケージ』(下)という作品を生み出したクリストは、後に島の海岸線に布を浮かべたり、橋や美術館を丸ごと布で覆ってしまうなど大がかりなプロジェクトを行っている。
また同展には日本初来日となるピカソの代表作『ミューズ』や、シャガールの『ワイングラスを掲げる似たりの肖像』、レディ・メイドで有名なデュシャンの『自転車の車輪』など、約70作品が展示されている。

「ポンピドゥー・センター傑作展―ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで―」のコンセプトは「1年1作家1作品」。様々なアーティストの作品が創り出してきた、現代美術史のダイナミズムを体感できる。

Text by Tamotsu Narita

トップ画像:ル・コルビュジエ 《静物》1922年 (C) FLC / ADAGP,Paris & JAS-PAR,Tokyo,2016 E2181