未来に近づいたメルセデス・ベンツ新型『Eクラス』
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未来に近づいたメルセデス・ベンツ新型『Eクラス』

『Eクラス』は、メルセデス・ベンツの中核を成す主力モデルである。その歴史を遡ると、1953年に発売された『180(W120型)』にたどり着く。量産車初となる衝撃吸収構造ボディの採用など、最先端技術が惜しみなく導入された1台だ。その伝統は受け継がれ、名車として名高い『W124』型ではABSを、『W210』型ではESP(横滑り防止装置)を採用。『Eクラス』は、最先端技術の普及に先鞭をつける存在なのだ。もちろん、日本での販売が始まった新型『Eクラス』も、その先進性に注目が集まっている。

メルセデス・ベンツEクラスに搭載された世界最先端の自動運転機能「ドライブパイロット」

2016年1月のデトロイト・モーターショーでベールを脱いだ新型『Eクラス』。7年ぶりのモデルチェンジは大きな注目を集め、この6月にはついに日本でのデリバリーが開始された。

目玉は、ステアリングコラムにあるレバーを手前に2度引くと起動する「ドライブパイロット」だ。起動した状態では、設定された速度を維持しながら、先行車との車間を自動的に調整。先行車が停止した場合にも自動で停止し、停止時間30秒以内なら発進も自動だ。ステアリング操作もカメラが車線を認識して自動で、もし車線が見えなくなっても、先行車に追随して自動で操舵をしてくれる。

しかし、ここまでは、従来の高級車にも搭載されている機能。新型『Eクラス』でさらに話題になったのが、「アクティブレーンチェンジングアシスト」だ。ウインカーを 2 秒以上点滅させると、行き先の車線に車両がいないことを確認後、自動で車線変更。また、走行中にドライバーが気を失うなど、万が一の場合は、自動的に車線を維持しながら緩やかに減速・停止する「アクティブエマージェンシーストップアシスト」を世界で初めて搭載した。

ドライビングプレジャーを突き詰めたEクラスの走行性能

快適性や安全性を大幅に高める世界初の革新技術が導入された新型『Eクラス』。しかし、それだけに注目してしまうと、「本質」を見誤ってしまう。その本質とは、圧倒的な走行性能である。

エンジンはラインナップによって異なる。『E200 アバンギャルド』『E200 アバンギャルド スポーツ』『E200 4MATIC アバンギャルド』『E250 アバンギャルド スポーツ』には、「2L直4 BlueDIRECT ターボ」を、『E400 4MATIC エクスクルーシブ』には、「3.5L・V6ツインターボ BlueDIRECT」を搭載。また、『E220d アバンギャルド』と『E220d アバンギャルド スポーツ』は、新開発 となる「2L直4 BlueTECディーゼルエンジン」を搭載した。

これらのエンジンに組み合わされるトランスミッションは、9速オートマティックの「9G-TRONIC」だ。現在市販されているなかで変速段数が最も多く、ひとつのギアが受け持つ速度域が狭い。そのため、変速ショックとエンジン回転数の上昇が抑えられ、静粛性と燃費の両方を高いレベルで達成している。

足回りでは、『E400 4MATIC エクスクルーシブ』に新設計の「AIR BODY CONTROL(エアボディコントロール)」を設定。路面状況、運転状況、乗車人数や積載状況に応じて減衰力を常に最適に保ち、ソフトな乗り心地に加え、速度が増せば増すほど優れた操縦安定性を発揮する。

ボディには軽量高強度の超高張力鋼板を多用しながら、フロントフェンダー、ボンネット、トランクリッド、フロントエンド&リアエンドの大部分に最適なアルミニウム素材を積極的に採用。軽量化と剛性を両立させ、高い走行性能に一役買っている。

官能的純粋を突き詰めたEクラスの外観と内装

エクステリアとインテリアも、「さすがはメルセデス」といった内容だ。

エクステリアでは、最新のメルセデス・ベンツデザインの基本思想「Sensual Purity(官能的な純粋さ)」を踏襲。長いボンネットからクーペを想わせるルーフライン、そしてショルダー幅の広いテールエンドにいたるまで、刺激的なシルエットを描いている。

リアエンドは、リアホイールアーチ上方の幅が広いショルダーにより、パワフルで力強い印象だ。また、ボディに埋め込まれ、2 本のバーデザインを取り入れた一体型リアコンビネーションランプも最近のメルセデスデザインの特徴である。
「官能的な純粋さ」はインテリアにも活かされており、室内は明確な造形と官能的な流れを基本としている。特に目を引くのが、2枚の高精細12.3インチ・ワイドディスプレイだ。この2枚を1枚のガラスカバーで融合することで、空中に浮かんでいるように見え、水平方向の流れを強調する中心要素となっている。

ステアリングには、タッチセンス機能を内蔵したボタンを備えた。縦方向及び横方向のスワイプでインフォテイメントの各機能にアクセスし、確定することができるので、ステアリングから手を離す必要がない。自動運転ほど派手ではないが、これも安全性能を高めるひとつの施策である。

シートは人間工学に配慮し、メルセデス・ベンツならではの優れた長距離快適性と、洗練されたスポーティなデザインを融合。特に、『アバンギャルド』のシートはスポーツ性が強調されている(写真は本国仕様)。
『Eクラス』が持つ、世界での累計販売台数1200万台以上の数字は、常に進化を求めつつ、車がもつ本質を見極めてきたからこその勲章だ。そして、新型『Eクラス』でも、最先端技術を活用した安全性能と人が操るドラビングの愉しさを見事に両立させた。これから自動化がより進むであろう自動車。その方向性の一端を垣間見せてくれる一台だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi