911ターボに挑む最強仕様のメルセデスAMG「GT R」
- スーパーカーブランド【メルセデス・ベンツ】 -

911ターボに挑む最強仕様のメルセデスAMG「GT R」

世界中のスポーツカーの頂点に立つポルシェ「911」シリーズ。メルセデス・ベンツが究極のハイパフォーマンスを追求するブランドとして設立したメルセデスAMGが自社開発した「AMG GT」は、このポルシェ911を仮想敵とするスーパースポーツだ。そして、メルセデスAMGは2016年6月、911シリーズのトップモデルである「911ターボ」に挑むべく、GTのさらなる高性能バージョンを発表。それが、英国で行われたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでお披露目された最強のメルセデスAMG、「GT R」である。

ポルシェ911を仮想敵とするスーパースポーツ

メルセデスAMG GTは、2013年秋に生産を終了したメルセデス・ベンツ「SLS AMG」の後継モデルとして2014年に登場したスーパースポーツ。ロングノーズ・ショートデッキのエモーショナルなスタイルに、最新の技術が詰め込まれた4.0L・V8直噴ツインターボエンジンを搭載する。

SLS AMGは、かつてF1グランプリでパートナーだったマクラーレンと共同開発した約6000万円もする「SLRマクラーレン」の後継モデルという位置づけで、約2500万円と高額だった。ライバルのポルシェ911が約1500万円であることを考えると、いかにも割高感がある。

そこで、AMGがモータースポーツの世界で培ってきた技術を惜しみなく投入しながら、911と同じ価格帯のスポーツカーとして2015年にデビューしたのがGTだ。全長4550mm、全幅1940mmという車体のサイズも911に近く、こうした点を見てもGTが911に対抗すべく投入された戦略的なモデルであることがわかるだろう。

911ターボとほぼ同等の性能の「AMG GT R」

このAMG GTの最強バージョンとなるのが「GT R」だ。ポルシェ911には「カレラ」「カレラS」「GTS」など、多彩なモデルが用意されているが、このうちGT Rがターゲットとしたのは「911ターボ」。言わずと知れた911を代表する高性能モデルである。

そのため、GT Rには、最高出力を510ps(375kW)に強化した従来の高性能バージョン「GT S」のさらに上をいくスペックが与えられている。搭載されるエンジンはGT Sと同じ4.0L・V8ツインターボだが、最高出力は585ps(430kW)に高められ、最大トルクはGT Sの5.1kgmから71.4kgmにアップ。7速デュアルクラッチトランスミッションの変速スピードも見直すなど改良を重ね、0-100km/h加速は3.6秒、最高速度は318km/hをマークする。

加速力こそ911ターボの3.0秒に及ばないが、ほぼ同等のスペックといっていいだろう。GT Sと比べて90kgも軽量化されているうえ、AMGとして初のリヤ操舵システムを採用してコーナリング性能も高められているだけに、最新の電子デバイスなどとも相まって、まるでレーシングカーそのままのような走りが楽しめる。

「速さ」の911に対して「官能」で挑むGT R

外観では、「AMG GT3」をモチーフとした縦型フィングリルや大型ダクトがフロントフェイスに迫力を加えている。ルーフはカーボン製となり、大型のリヤウイングがスポーツイメージを強調。また、アクティブエアロの採用によって、レーシングカー譲りのエアロダイナミクスを実現した。

なかでも目を惹くのは、GT Rのために特別に用意されたヴィヴィットなグリーンのボディカラー、その名も「緑の地獄」を意味する「AMGグリーンヘルマグノ」。これは、GT Rの開発の舞台となったサーキット、かのニュルブルクリンク北コースの別名「グリーンヘル」に由来するという。
動画共有サービス「YouTube」には、ホイールスピンをしながらのスタートや、軽々とテールスライドを引き起こすコーナリングなど、グッドウットでのGT Rの公式走行動画がアップされているが、とりわけ印象的だったのは、ほかのスポーツカーでは滅多に聴くことのできない野太くワイルドな独特のエキゾーストノートだ。スポーツカーの頂点に立つポルシェ911ターボに打ち勝つのは並大抵のことではない。おそらく、真っ向勝負では歯が立たないかもしれない。ポルシェが持つ「速さ」という非常にはっきりとしたテーマに対し、音やスタイリングなど「官能」を売りとするのがメルセデスAMG GT Rともいえるだろう。

これで「AMG GT」シリーズには3つのモデルが用意されることとなったが、2018年には「GTロードスター」の登場が予定されるなど、最終的には5モデルがラインナップされるという。911シリーズに挑むメルセデスAMGの戦いはまだまだ続きそうだ。

Text by Tetsuya Abe